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2019年1月19日 (土)

曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の30声のひびき

曾田本その1
9.居合兵法の和歌読み解く
32首の30声のひびき
後より伐るをはつるゝ事ハ奈し
    聲の闇(響の誤字か)を是と云也
読み及び読み解く
 後ろより伐る(斬って来る)のを外す事は出来ない、声の響きを察するを是と云うのである。
 曽田先生は聲の闇を聲の響きと闇にヒビキとルビを打っています。
 後ろから斬って来られれば、「はつるゝ事はなし」を外す事は出来ない、と読んでみました、自分が斬り込むのであれば「後ろより斬るのを外す事は無い」でしょう。そこで敵の声の響きを察し外すことが出来る。自分が斬り込むのであれば声を抑えて「声の闇」を以て斬り込む。
 彼我を入れ替えて読んでみました。
 いま一つ読み方を考えて見ます。
 後ろより斬るを恥ずる事は無い、声の響き(掛け声)をかけて斬る事が是である。
 新庄藩の林崎新夢想流秘歌之大事に次のような歌があります。
 「後よりだますに手こそなかりけれ聲の抜とや是をいふらん」
 後ろより騙し討ちにしてくるのに手などない、声に応じて抜くとは是れを云うのであろう。
 山内豊健・谷田左一共著の「居合詳説」に同様の歌があります。
 「後ろより伐るを恥づる事はなし声のひびきと是をいふなり」
 後ろから斬るのは恥ではない、掛け声を発すること「声の響き」が是である。
 後ろから斬るのは恥ではないが、掛け声をかけて切れ、と云う歌であれば、掛け声は何の為に掛けるのでしょう。闇討ちでは無い、相手に応じる気を伝えてあったと云うのでしょうか。
  相手に技量が無く斬られたのだから、後から斬っても恥ではない。
 其処までの解釈ならば、奥義の歌にはなり得ないでしょう。
 後ろから来ようと、掛け声が「声の闇」であろうと、見事に外して斬る。是を学べという歌であってほしいものです。
 歌の解釈は、読む人の力量によってどのようにも読めるものです。
 居合兵法の和歌の9種目に「寒夜にて霜を聞べき心こそ敵に逢うても勝を取るなり」とありました。
 この歌は、後から斬るのは恥だと云う事を諭す様な礼法の歌などでは無いでしょう。研ぎ澄まされた心には眼に視、耳に聴くそれ以前にある、敵の起こりを察する事を学ぶ歌と詠む事であろうと思います。
 この居合が作られた時代は、現代人が想像もできない程の感覚を持っていた筈です。

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