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2019年1月 7日 (月)

曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の18池の蛙

曾田本その1
9.居合兵法の和歌読み解く
32首の18池の蛙
世ハ廣し我ゟ外の事奈しと思ふハ池の蛙なりけり
読み及び読み解く
 世の中は広いもので、自分より他にこの事を越える者など居ないと思うのは池の中の蛙である。
 荘子の秋水第17に、河伯が黄河のほとりに立ってその雄大さに驚き、北海若に世俗に云う「聞道百以為莫己若者」(道を聞く事百にして以って己に若はなし)
 百程度の僅かばかりの道理を聞き齧って、自分に及ぶ者はないと云うのは自分の事である、と一人よがりを恥じていいます。
 北海若は「井蛙不可以語於海者 拘於虚也」(井の蛙以て海を語るべからずは虚なり)井戸の中の蛙に海のことを話してもわからないのは、自分の居る狭い場所に拘っているからである、と云っています。
 諺に「井の中の蛙大海を知らず されど空の深さを知る」が生まれているようです。
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 極意の歌は、その程度の力量でのぼせるな、お前より強いものは幾らでも居る程度の事を歌っているのでしょうか。
 そんな程度ならば、其の辺のへぼ十段でも口にして得々としています。歌の奥に有る思いを読み取りたいものです。
新庄藩の林崎新夢想流秘歌之大事に「世・・で始まる歌二首」
 世能中尓我与利外能物奈しと於もふ池農蛙奈利介利
 (世の中に我より他の者なしと思う池の蛙なりけり)
 世ハ廣し折尓与利てそ加者るらん者禮之満計与しと於もふな
 (世は広し折りによりてぞ変わるらん 我知るばかり良しと思うな)
 一種目は居合兵法の和歌と同様ですが、二首目はまさに極意の歌でしょう。恐らく二首目の歌は土佐の居合を習った第九代林六大夫守政に伝わらなかったか、伝わっても一種目の「のぼせるな」という戒めしか心に残らなかったものでしょう。
 世の中の移ろいは、人も、政治も、武器も武術も変化していくのは歴史が示しています。戦国時代はその大きな変化に如何に同化し抜きん出られるかも、生き残るすべであったでしょう。
 当然居合もそうあるべきものです。
 田宮流之妻木先生の田宮流居合歌の伝にも二首あります。
 世の中は我より外のことはなし思わば池のかへるなりけり
 世はひろし我より事の外なしと思ふは池の蛙なりけり
 だから謙虚にして慎ましく控えて居るべきだなど、誰も思いはしませんよね。若しそんな事を思う人は居合道歌を学ぶ資格も、居合を学ぶ資格も無いでしょう。
まして、それが武士道であるならば、武士道など権力者にとって都合の良い道標にしかなり得ないでしょう。

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