« 曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の14無き事 | トップページ | 曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の16無想の刀 »

2019年1月 4日 (金)

曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の15心明剱

曾田本その1
9.居合兵法の和歌読み解く
32首の15心明剱
 餘多尓て勝れさりしと聞しかど心明剱の太刀を楽し免
読み及び読み解く
 「あまたにて勝たれざりしと聞きしかど心明剣の太刀を楽しめ」読み下しはこのようなものでしょう。
 この歌は田宮流歌の伝にも新庄藩の林崎新夢想流の秘歌之大事にもありません。対比しながら読み解いていく事は出来ません。
 居合では大抵勝つ事は出来ないと聞いているが、心明剣の太刀を楽しんで見なさい。とでもいうのでしょう。
 古伝神傳流秘書の書き出しは「抜刀心持引き歌」から始まります。
 其の中に
 「居合と申は第一に太刀抜かぬ以前に勝事大事也 歌に
 抜ば切れ抜ずば切るな此刀たゞ切る事に大事こそあれ 
 あまたにて勝れざりしと聞しかど心明剱の太刀を楽しめ」
と、あります。
 「神明剣」はこの流の末尾を締める教えは「神妙剣」です。
「雷電刀は惣名也即ち柄口六寸也、変じて神妙剣となる、軍場の剣となる・・当流の極意は表裏の違い也、敵に向かえば如何なる人も心は暗闇となる也、その真方暗闇の所にて一つ行うべき事有り、すなわち柄口六寸の勝也。是当流の極意也・・。
 神妙剣他流にては心を明かにして敵の動きを見よと云うとは大いに違えり生死の境なれば平気とは異なり然れども忘るまじき事一つ有りすなわち柄口六寸也、柄口六寸実は抜き口の事に非ず、極意にて伝わる所は敵の柄口六寸也。
 構えは如何にも有れ敵と我と互に打ち下す頭にて只我は一途に敵の柄に打ち込む也。先ず我が身を敵にうまうまと振りて右の事を行う事秘事也、是神妙剣也。
 神妙剣 深き習いに至りては実は業に無し常に住坐臥に有の事にしてニ六時中忘れて叶わざる事也。
 彼怒りの色見ゆるときは直に是を知って怒りを抑えしむるの□知あり、唯々気を見て治むる事肝要中の肝要也。是戦に至らしめずして勝を得る也。
 さりながら我臆して謝りて居る事と心得る時は大いに相違する也。兎角して彼に負けざるの道也。
 止める事を得ざる時は彼を殺さぬうちは我も不死の道也。又我が誤りをも曲げて勝には非ず、謝るべき筋なれば直に謝るも勝也。
 彼が気を先に知りて直ぐに応ずるの道を神妙剣と名ずけたる也。詳しくは書面に表し尽くし難し、心おぼえの為に其端を記し置く也。」
 刀を抜き放って戦い己の我を通すのではなく、彼の思いを良く理解し我が思いも分かち合う、和していく心を楽しめとでも云うのでしょう。
 争いごとは、和する事が出来た時には殊の外うれしいものです。それには長いものに巻かれる様な腰抜けでは得られない、強い信念の裏打ちも必要です。
 

|

« 曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の14無き事 | トップページ | 曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の16無想の刀 »

曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の14無き事 | トップページ | 曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の16無想の刀 »