« 曽田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の9瀧落 | トップページ | 曽田本その2を読み解く5長谷川流奥居合座業抜方5の1霞 »

2019年2月21日 (木)

曽田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の11抜打

曽田本その2を読み解く
4、長谷川流居合抜方
4の11抜打
参考
古伝神傳流秘書
英信流居合之事
抜打:大森流の抜打と同じ事也
大森流居合之事抜打:坐して居る所を向より切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請け流し打込み開いて納る 尤も請流に非ず此所筆に及ばず
行宗先生
抜打(真向・止とも云う):大森流に同じ
大森流居合抜方抜打:(又は止めとも云う)正面向き両膝にて(膝頭を狭くす 曽田メモ)中腰にて抜き冠りて膝を進めながら(切り下す時膝頭を肩幅に開けば自ら進むものなり 曽田メモ)切り付け刀を開きて納刀
参考
大江先生(剣道手ほどきより)
真向:正面に向って座し、腰を伸し趾先を立て、刀を上に抜き上段となり、同体にて切る此時両膝を左右に少しく開く。
 血拭ひは其姿勢のまゝ刀を納め、伸したる腰は徐ろに正座に直り、刀の納まると同時に臀部を両足踵の上に乗せ、静に正座となる。
 刀を腰より抜取り、体前に置き礼をなし、左手に持ち適宜の所にて神殿に礼をなして退場す。
*
 古伝神傳流秘書の英信流居合の抜打は大森流居合の抜打と同じとされています。
 現代居合は「向より切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請け流し打込み」の想定とその対応動作が失伝して、太刀を腰に差した方向に床に水平に抜出してしまって頭上に引き上げ上段から真向に斬り付けるばかりです。
 これでは不意打ちに過ぎず、その上敵と相争う場合の心掛けも無い居合踊りとなってしまっています。
 現代居合の第22代も受け流す心持ちを説かれていますが、地区の指導者は抜いて斬るばかりです。心持ちは動作に現れなければ実現しないでしょう。
 しかし、英信流の真向を演じると、訳も解からずに、刀の刃を左に向け上に抜き上げて左肩を被う様にして上段に振り冠って相手の真向に斬り下しています。
 行宗先生や大江先生は、この抜打ちの業名を長谷川英信流は「真向」と云っています。真向だから刀を上に抜き、真っ直ぐ切り下ろす。
 抜打だから右斜めに抜き上段になる程度の認識しかなさそうです。何処かで指導不充分な時期があたのでしょう。
 真向と抜打の違いを相手を想定して考え直す必要があるでしょう。
 私は単純に、抜打は敵の害意を察して機先を制して抜き付けんとしたが、相手の抜き上げが早い為、即座に柄を上に振り上げ左肩を覆う様に抜き上げ摺り流して打込む。先後の先として現代居合の大森流抜打を演じています。従って、相手は目の前に接近していますから、敢えて飛び込み打ち下す必要はあるわけはありません。
 但し、真向打ち下しは、両膝を接近させ伸び上がる様にし両膝を開くや打ち下しています。
 真向は相手が先に抜き上げ真向に打ち込んで来るのを、踏ん伸んで刀を正中線を通して上に抜き上げ、相手が真向に打ち込んで来るや抜刀して請け流し、両膝を開きズンと斬り込んでいます。
 相手の斬り込んで来る刀を意識しなければ唯の棒抜きです。
*
 参考に中山博道先生の長谷川流抜打(居合読本より):大森流に全く同じ
大森流抜打:意義、彼我互に接近して対坐せる時不意に正面に向ひ斬り付ける動作である。
 動作、正面に向ひ正座す、彼我極めて接近しある場合を考慮せるものなるを以って抜刀に際しては成るべく右拳を前上方に向け動かしつゝ、概ね前額の前方に至らしめ、刀尖を左上膊の外側に近く移動せしめつゝ刀を頭上に振り被る(此際両膝を密接す)次で、直ちに両膝を開き刀尖が概ね地より二握り位の処に来る位に切り下ろす。
 中山先生は一方敵に抜き打つ心で実施されています、相手との間が近いので上に抜き上げであって、相手の斬り込みなどはさせない心でしょう。心得違いであっても形は古伝に相当します。
 真向を、お弟子さんの山蔦先生はどうされていたか興味が出てきました。夢想神伝流居合道から初伝の抜打と同意であるが中伝(長谷川英英信流立膝)では抜刀の動作が初伝より早く行われなくてはならない。
 意義、自分と敵は接近して向き合って、敵の害意を感知するや、すばやく抜刀して真向から斬下す。
 動作、・・両膝をそろえると同時に刀を左側で上方に抜き上げいっきに受流しにふりかむりながら左手を柄に添える、諸手で直ちに敵の真向を斬り下す。
「いっきに受流しにふりかむり」と書かれていますが、敵の機先を制して抜上げて居ますから、受け流しの形で抜上げるのでしょう。
 中山博道先生と同じ形になっています。
細川義昌系統の梅本三男先生の居合兵法無雙神伝抜刀術の長谷川流表之部抜打
 (対座している者を斬る)右手を柄に掛けるなり急に両膝を伸しつつ、刀を右斜前へ引抜き(膝が立つと同時に両足爪立て)刀尖を左後へ突込み、諸手上段に引き冠りて斬込み刀を開き納め終る。(抜打はすべて早業の事)
 大森流の抜打も英信流も同じ動作です。細川居合は行宗先生、大江先生と同門ですがブレが有るのは、教えられた時期の違いや教えられた者の力量、哲学にも左右されるものです。
 どの様に実施するかは、個々人のものですが、昇段審査や演武大会の競技では、良い成績を上げるためには、その団体の指導者の志す形に捉われざるを得ません。
 是に拘っても、其処から守破離の境地に達せなければ生涯棒振り踊に終わってしまうでしょう。
 形は真似られても、武的心持の居合にはなりません。
 守破離を求めるとすれば、一方的な抜打でも、打ち込まれて請け流すのでもなく、双方真向に相打ちとならざるを得ない場合に、居合による「合し打ち」というすさまじい刀法が存在する であろうことを忘れるわけにはいきません。

|

« 曽田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の9瀧落 | トップページ | 曽田本その2を読み解く5長谷川流奥居合座業抜方5の1霞 »

曾田本その2を読み解く」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曽田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の9瀧落 | トップページ | 曽田本その2を読み解く5長谷川流奥居合座業抜方5の1霞 »