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2019年2月 1日 (金)

曾田本その2を読み解く2大森流居合抜方3の2左

曾田本その2を読み解く
2、大森流居合抜方
3の2.左刀
古伝神傳流秘書
左刀:左の足を踏み出し向へ抜付け打込み扨血震して時足を前の左の足へ踏み揃へ左足を引て納る以下血震する事は足を立替へ先踏出したる足を引て納る也
行宗先生
左身(左刀):右向きゟ正面に抜き付け冠りて切る也
大江先生
右:我体を右に向け正座す左足を出しつゝ右(左の誤植でしょう)敵首を切る心組にて抜付け、同体にて上段となりて前面真直に敵の頭を斬る。
 此左足を出したる時は右足の膝にて左へ廻る意を以て右足に体の重心を乗せ、左足を軽く出す事に注意すべし、血拭ひは一番と同じ要領にて行ひ、左足を後部へ引き刀を納むる事。
 大森流居合の二本目は「左刀」です。この場合古伝は「左足を踏み出し向こう(正面)へ抜き付け」ています。左刀の「左」は左足を踏み込むと、読む事も出来ます。
神傳流秘書から
一本目の初発刀が「右足を踏出し向へ抜付け」です。
二本目の左刀は、「左の足を踏み出し向へ抜き付け」で足を正面に踏み出す左右の足捌きの違いを言っている様に読み取れます。
 従って、初発刀も左刀も敵は我が前に対座して我の方を向いている想定で良さそうです。敵が我が右側とも左側にとも云っていない、右廻りとも左廻りとも動作を指定もしていません。
 山川久蔵幸雅が書き写す際誤って抜け落ちたとも思えそうにありません。ただ、正面向きに座し左足を向へ踏込んで抜き付ける動作はこの左身以外に見当たりません。
 正面の敵に抜付けるに当たり、右足または左足の状況による可不可の判断は敵の何処にどの様に抜付けるかによるもので、横一線の抜付けだけの現代居合では、寧ろ右足を踏出した方が左腰の捻りが有効で、抜き付けた右手が右に抜けない、切先に力のこもる体勢でもありそうです。
 亦、斬り下しも現代居合は真向上段からの打込みばかりですが、右からの八相の斬り下しを思うと、左足を踏み出し下からの斜め右への抜き付け、右から左への八相の打込みは可といえるでしょう。
 文言の過ちと捉えるか、発想を豊かにしてとことん稽古して見る価値はありそうです。
 吉宗先生と大江先生の違いは、動作に於いては無さそうです。業名の左身と右の違いは、行宗先生は、敵が我の左脇に我が方を向いて坐す、対敵意識を優先している様で、演武として場の正面右向きに座すと解されます。
 大江先生は、演武の場取りが先行して座す心組と思われます。ここでも「左足を出しつゝ左敵首を切る」と理解不能な文言になっています。
 ここは「左に振り向き左足を出しつゝ抜付け」るでしょう。しかしこれでは「左に向き直ってから、左足を出しつゝ抜付け」となっておかしい。此処は「左に振り向きつゝ刀を抜き出し、左足を踏み出すや抜付け」でしょう。言葉も、動作も理に叶わなければ武術が見えなくなります。

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