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2019年2月26日 (火)

曽田本その2を読み解く5長谷川流奥居合座業抜方5の5四方切

曽田本その2を読み解く
5、長谷川流奥居合座業抜方
5の5四方切
参考
古伝神伝流秘書
抜刀心持之事
三角:抜て身を添へ右廻りに後へ振り廻りて打込也
四角:抜左の後の角を突右の後の角を切右の向を請流し左の向を切又右の向を切る也
 三角、四角については曽田本その1で英信流居合目録秘訣上意之大事で解説されています。
三角:三人並居る所を切る心得也、ケ様のときふかぶかと勝んとする故におくれを取る也、居合の大事は浅く勝事肝要也三人並居る所を抜打に紋所のあたりを切先はづれにはろうときはびくとするなり其所を仕留る也三人を一人づつ切らんと思ふ心得なれば仕損ずる也一度に払ふて其おくれに付込んで勝べし
四角:三角にかわる事なし是は前後左右に詰合ふ之心得也故に後へ迄まわって抜付る也
行宗先生
長谷川流奥居合座業抜方
5本目
四方切り(四角):四方切り
大江先生
3番
四方切:右足を右斜に出し刀を右斜に抜き刀峯を胸の処にあて刀を平とし斜に左後を突き右側面の横に右足を踏み変え上段にてきり右足を左斜横に踏み変へて(受け返して打つ)上段となりて切り右足を正面に踏変へて上段より切る。
 行宗先生は四方切りは長谷川流奥居合座業の5本目(1霞・2脛囲・3戸詰・4戸脇・5四方切り(四角))ですが、大江先生は3番目になります(1霞・2脛囲・3四方切・4戸詰・戸脇)。
 「奥居合には順序なしと伝へたる」と添え書きがありますから、曽田先生はその様に行宗先生から指導されたのでしょう。
 稽古順序から言えば、安易な業から複雑な業に習うのが良さそうですが、すでに大森流・長谷川英信流を稽古済みならば順番は何処からでも良さそうです。
 何となく習いごとの習性で順序を意識させるのは戸詰・戸脇・四方切位でしょう。
 行宗先生の四方切り(四角)の手附は「四方切り」とあるばかりです。四方を好きに工夫して斬ればいいのでしょうか、なにを意味するのか不思議です。
 古伝は抜刀心持之事(格を放れて早く抜く也 重信流)で、その位置づけは大森流・英信流・太刀打之事・坂橋流之棒(棒合・太刀合之棒)・詰合・大小詰・大小立詰・大剣取・抜刀心持之事・夏原流和之事と大枠の稽古順序がそれと無く示されています。 
 現在言われる奥居合(古伝の抜刀心持之事)は充分対敵を意識した身のこなしが可能になって、居合の裏を返せるようになってから稽古する様な位置づけにあります。
 現在の無双直伝英信流が居合以外に大江先生が独創したと思われる組太刀7本(英信流)居合道型のみ、其れも演武会の出し物の踊りですから奥居合の妙は形ばかりにならざるを得ません。
 古伝の三角、四角が行宗先生、大江先生の四方切の心得を明確に伝えています。その心得は技よりも、対敵が何をしようとするのか、我は其れにどの様に応じるのか、刀を振り回す以前の、敵に対する「心得」を重要視して語られていると思って良いのでしょう。
 大江先生の対敵の配置は、敵は左後・右前・左前・正面です。場の状況や何かの仕来たりから、右後の敵が居ない場合はあろうかと思いますが、稽古としては聊か腑に落ちません。
 前後左右、あるいは左後・右後・左前・右前が詰めかけられる標準でしょう。どのような理由から、右後を欠いたのか知りたくもありますが、奥居合は「格を放れて早く抜く也」でしょう。
細川義昌先生の系統の梅本三男先生(居合兵法無雙神伝抜刀術より)
英信流奥居合之部
6本目
三角:(前右後の三人を斬る)正面より(左廻りに)後向き右手を柄に掛け前に掛かると見せて、右足を摺り出し腰を伸し、刀を引き抜くなり、右足を左足に引きよせるなり刃部を外へ向け、左腕外へ深く突込み、立ち上りつつ右へくるりと廻りながら前右後の三人を軽く斬り正面へ向く、同時に左膝を跪きつつ諸手上段に引冠り、右足踏み込んで斬込み刀を開き納め終る。
 「左腕外へ深く突込み」ですから、ここは抜刀して刀の刃を外向きにして平に左の方へ突き出し構える、あるいは元の右の敵(我が後ろ向きの為左座す)や、立ち上って右廻りに左(元の右)・前(元の後)・後(元の前)の敵を撫で切りにして、正面に戻って跪いて正面の敵(元の前)を上段から斬り下ろす、のでしょう。
 元の右の敵は刺突され、あるいは刺突すると云っていませんから撫で切りし・後の敵は撫で切りの際重傷を負うか臆して逃げるか、さて・・しっかり元の前の敵は上段から斬られています。
 この業も何故、我は敢えて後向きになるのでしょう。演武用に場取りをしているやに思うのですが、前の敵が本命で最後に切ると云う心得なのでしょう。
7本目
四角:(四隅に居る者を斬る)右手を柄に掛け腰を伸し右脛をたてつつ(右前へ掛かると見せ)、刀を其方向へ引抜き、咄嗟に左膝で(左廻りに)後斜へ廻り向き、左後隅の者を(右片手にて)突き直ぐ右へくるりと廻りつつ、諸手上段に引冠り右後隅の者へ斬込み、直ぐ左へ廻りつつ、刀を頭上へ振冠り(右前隅の者より斬込み来る太刀を受け流しながら)、左前隅の者へ斬込み、直ぐ再び右へ振向きつつ、諸手上段に引冠り右前隅の者へ斬込み、刀を開き納め終る。」
 細川先生の教えは、三角と異なり、左後・右後・左前・右前の順で一人づつ斬り込んでいます。
 多敵を相手の心得は伝わらなかったか、替え業が先行したのでしょう。
 左後の敵を刺突して、一気に右後ろの敵への270度の廻転が大江先生はできなかったか、時の中学生には難しかったかもしれません。
 三角では立ち上がって右回転ですが、ここでは左膝を軸にした右回転ですから難しいかも知れません。
 右足を浮かせ、体軸を意識し左足先と腰を以って右回転し、刀を左から引き被る様にして、左前の敵右前の敵を受け流す様に上段になれば、容易に行えます。
 
 

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