« 曽田本その2を読み解く5長谷川流居奥居合坐業抜方5の3戸詰 | トップページ | 曽田本その2を読み解く5長谷川流奥居合座業抜方5の5四方切 »

2019年2月25日 (月)

曽田本その2を読み解く5長谷川流奥居合坐業抜方5の戸脇

曽田本その2を読み解く
5、長谷川流奥居合坐業抜方
5の4戸脇
参考
古伝神傳流秘書
抜刀心持之事(格を放れて早く抜く也 重信流)
4本目
両詰:抜て片手にて左脇を突き直に振り向いて右脇を切る(行宗先生 戸詰)
:右脇へ抜き打に切りつけ左を斬る(行宗先生 戸脇)
 古伝神傳流秘書の抜刀心持之事が現代居合の奥居合の居業(座業)及び立業を述べている手附になります。
 古伝では戸詰、戸脇の業は両詰として括られます。前回の5の3で其の内容は解説しています。
行宗先生
長谷川流奥居合坐業抜方
4本目
戸脇:左をつきて右をきる(両詰)
参考
大江先生(剣道手ほどきより)
長谷川流奥居合座業抜方
五番
戸脇:(左を突き右を斬る)右足を右斜へ出し刀を抜き左横を顧みながら突き、足踏みは其の侭にて上体を右横に振り向け、上段にて切り下す。
 大江先生の戸脇と行宗先生の戸脇、古伝の両詰の「抜て片手にて左脇を突き直に振り向いて右脇を切る」は同じ要領の業手附です。
 古伝の両詰を大江先生、行宗先生とも戸詰・戸脇とされたのでしょう。
 大江居合は独特の独創により土佐の居合の業名をいじってしまっています。
 「剣道手ほどき」や大江先生に直接手ほどきを受けられた方々から、現代居合として引き継がれているので、古伝を知る以前には違和感もなく稽古していました。
 しかし、この曽田本その2では行宗先生も大江先生の業名で同じ動作を書かれています、行宗居合も大江居合も同じものだったのか、そうであれば細川居合も同じであれば下村派の15代下村茂市の時代には古伝がいじられていたと想定できるのです。
 細川居合は大江・行宗居合業名と手附が異なります。江戸末期から明治にかけての不思議の一つでしょう。
 推測ですが、大江先生が土佐の居合の指導者として明治28年高地県師範学校教授委嘱以降、明治33年高地二中剣道教授になった頃、明治36年に行宗先生も高地二中で曽田先生を指導しています。
 其の頃の申し合わせで、業名合わせなど行われたかもしれません。細川先生は議員として別格だったかもしれません。
 土佐の有志の、事実関係と何故古伝をいじったかのご研究を期待します。
参考
細川義昌系統の梅本三男先生(居合兵法無雙神伝抜刀術)
5本目
両詰:(左右に座して居る者を斬る)右手を柄に掛けるなり、腰を伸し(右に掛かると見せて)右足を少し右へ踏出し其方向へ刀を引抜き、咄嗟に左へ振向き(右片手にて)左側の者の胸部を突き、直ぐ右へ振返へりつつ、諸手上段に引冠り右側の者へ斬込み、刀を開き納め終る。
 明治の先生方は、左右の敵に囲まれた時の攻防を業として示されています。業名は戸脇であっても、古伝の教えは引き継がれていたと思えるのです。
 それなのに、現代居合は、左右の敵の座す位置を戸脇と云う業名からおかしなものに変えて来ています。
 この事は、第20代河野百錬先生も大日本居合道図譜では「右向ふと左後に敵あり、左後敵を刺突し右敵に斬下して勝の意なり」と戸脇の意義を述べられ、戸障子の有無は触れていません。
 但し敵の座す位置を「右前・左後」に変えてしまっています。この頃河野先生は大日本武徳会達士ですから河野先生が無双直伝英信流の手附を変えてしまう権限はないだろうと思います。
 河野先生に手ほどきされた第18代穂岐山先生か第19代福井先生によると思います。
 敵が右前、左後ならば「戸脇」に座す我と敵二人の配置は如何に、と思いめぐらせてしまいます。
 現代居合が「我が直前に左右の戸(襖)があり、敷居の向こう右側と我が左後方に敵を受けるに、先ず左後方の敵を刺突し、更に右前方の敵を斬り下ろして勝を制する意也(第22代池田聖昂先生無雙直伝英信流居合道解説より」と、場の状況に対応しながら敵を斬る複雑な業技法となってしまいました。
 この「左右に戸あり云々」の文言は21代福井聖山先生の「無雙直伝英信流居合道第二巻」に明記されていますから、21代から始まったと云えるかもしれません。
 武術は最も単純な方法で持てる力を発揮する事が出来なければ、ものの役に立ちません。 奥居合だから複雑などと云う事はあり得ない事です。まず、左右から詰め寄る敵の気を察して機先を制する本来の武術に戻れないものでしょうか。
 この原因を作った張本人は「戸脇」と意味あり気な業名を付してしまった大江先生にあります。
 後世の者は、業名に業の奥義が籠められていると錯覚してしまう、あるいはそれを利用して新規の考えを正当化してしまう、陥りやすいものです。

|

« 曽田本その2を読み解く5長谷川流居奥居合坐業抜方5の3戸詰 | トップページ | 曽田本その2を読み解く5長谷川流奥居合座業抜方5の5四方切 »

曾田本その2を読み解く」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曽田本その2を読み解く5長谷川流居奥居合坐業抜方5の3戸詰 | トップページ | 曽田本その2を読み解く5長谷川流奥居合座業抜方5の5四方切 »