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2019年2月17日 (日)

曾田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の6岩波

曾田本その2を読み解く
4、長谷川流居合抜方
4の6岩波
参考(曽田本その1より)
古伝神傳流秘書
英信流居合之事
岩浪:左へ振り向き左の足を引刀を抜左の手切先へ添へ右の膝の外より突膝の内に引後山下風の業に同じ
行宗先生
長谷川流居合抜方
左身
岩波:右向より左足を右後ろの方に引きて正面に向くや刀を抜きて(右拳を 曽田メモ)腰にとり右足踏み出して稍切先上りに敵の胸乳の上を突き引き倒して冠り正面を切る也
参考(剣道手ほどきより)
大江先生
左身
岩波:右に向き、左足を後へ引き、刀を体前に抜き直に左手にて刀尖を押へ、右膝頭の處へ着け、左足を右足に寄せ、体を正面に直し、左手と右手とを水平として、其右足を其儘一度踏み全体を上に伸し、直に体を落とし、左膝を着き右手を差伸し、左手は刀尖を押へたる儘、伸ばして刀を斜形として敵の胸を突き、右足を右へ充分引き変へ体を右向きとし、両手にて刀を横に引き、敵を引き倒し、其姿勢にて刀を振り右肩上にかざし、上段に取ると、同時に左足を後へ引き、右足を前にて踏み変へ正面に向ひて上段より斬る。(左の敵の胸を突く)
 古伝は「左へ振り向き左の足を引刀を抜」です。
 行宗先生は「左足を右後ろに引き正面に向くや刀を抜き」
 文章に違いがあっても、ここは左向きに座して居て、左に振り向いて刀を抜く事は同じです。
 大江先生は「刀を体前に抜き・・体を正面に直し」で抜刀のタイミングがずれています。大江先生は、敵が我が柄を押さえんとするのを、右向きの儘刀を抜き出し、敵がハッと手を引っ込めるスキに刀を抜き体を左にかえして敵を刺突する様に教える、現代居合の動作になります。
曾田本その2に第20代河野百錬先生が若い頃に、曽田先生に手紙で疑問を聞き糺しています。
 「居合は本来目的よりして剣道の所謂先々の先にあらずして先又は後の先の一刀と信じますが、上意抜打は別とし(之とて上意と呼びなすと聞かる)一切敵を「ダマシ」打にする事は無之と信じますが、立膝の岩浪に於いて左に向き右足にてトンと踏みたる時敵ハッと右に振りりたる其の胸(又はのど)をさすと説くは丁度之にては「ダマシ」打の教えあり。本業の正しき解義を是非御教示の程お願申上げます。」
 これに対し曽田先生は
 「正面より我刀柄を取り押えんとするにより我先に廻り柄を右に捩じて刀を抜き敵を突くの技にして決して「ダマシ打」にあらず、当突時足を「トン」と踏むは突く力勢を添ふるもになるにより(又一説には敵我刀を押さえんする其柄を踏む心持ちありと)音をせずして突くもあること心懸くべし」
 若き日の河野百錬先生の純粋な心が伝わってきますが、軽くいなされた曽田先生も見事です。・・であらねばならない、と云う事と、「兵は詭道也」で当たり前です。決められたとおりに演ずるのを演舞と私は言っています。
 古伝神傳流秘書の岩浪は動作のみ優先して想定は自分で考えろと云う様です。現代居合が想定迄統一する事により、おおらかな発想を奪われている事に危惧を抱いています。
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 中山博道先生の岩浪(居合読本より):意義、我が左側に接近して坐せる敵の季肋部を(上腹部で左右の肋骨下弓張部)刺突し直ちに敵を引き倒して、後、斬る業である。
 動作:正面に対し右向に箕坐す。上体を前に傾けると同時に左足を斜後方に引きつゝ抜刀し直ちには左手を刀尖に近き刀背に添へ、成るべく低く左向をなしつゝ右足を左膝附近に踏みつけ敵の季肋部を突き刺す。この時、刀は左手が刀身の中央に至る位突き出す。次に右手を以て刀を左手が刀尖附近に来る位迄引き、左膝をじくとして約90度右向をなし、右足を左膝附近に引きつゝ両手を以て、刀を引き、敵をひき倒す。この際右臂は充分伸ばすものとす。山下風に同じ。」
 博道先生は、座した方向のやや左向きに刀を抜いてから、左脇の敵に振り向いて刺突しています。大江先生と同じです。それは、抜刀時の左足を斜後方に退いている事によります。
 細川義昌先生の系統の梅本三男先生の岩浪(居合兵法無雙神傳抜刀術より)
 「・・腰を浮かしつつ前に俯き、左足を後へ退き、刀を前へ引抜き刀尖放れ際に、左膝頭をつかへ、刀尖の棟へ左手の拇指を示指で挟む様に添へ、右膝を左足に引寄せつつ、正面へ向く、同時に(刃部を下へ向け刀尖を前、柄は後、水平に)刀を右膝横へ引付け、右足を少し踏出すと共に、対手の左横腹へ突込み、刀の腰へ左手の四指を添へ、切先下へ柄頭を上へ引上げつつ右足を右後へ退き(体は再び正面より右向きとなりつつ)対手を押倒し、左膝を跪き右足を向ふへ踏出すと同時に刀尖を上より後へ振返へし、双手を向ふへ突出し、横一文字に構へ(視線は左正面の対手に注ぐ)左膝を右足に引寄せ正面へ向きつつ、右上段に振冠り、右足踏込んで斬込み、刀を開き、納め終る」
 この場合は刀を、抜いてから左に廻って敵に対する。対敵が我が柄を取りに来る、それを刀を抜いて取らせないようにする、その上で左に向いて刺突する、もう一方は、敵の害意をさっし、腰を上げ敵に振り向きつつ刀を抜く。と分かれます。何れも想定に在り得るものでしょう。但し、振り向いてから刀を抜き出すと、敵に柄頭を制されることもあり得ます。柄頭の方向は要注意です。
 ここでは、紹介してありませんが、座した斜め右に刀を抜いて左へ振り廻る抜方も行われています。
 
 



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