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2019年2月12日 (火)

曾田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の1横雲

曾田本その2を読み解く
4、長谷川流居合抜方
4の1横雲
原文
行宗先生
向身
横雲:正面に座シ抜キ付ケ冠リテ切ル血拭(振)ハ刀を横二開キテ納刀踏ミ出シタル足ヲ引キテ蹲踞ノ姿勢トナルヘシ但シウキタル膝ハ其ノ侭也
読み
横雲:正面に座し抜き付け冠りて切る血拭いは刀を横に開きて納刀踏み出したる足を引きて蹲踞の姿勢と夏べし、但し浮きたる膝は其の侭也。
 正面に向いて坐すのですが座し方は現在の様に左膝を着き左足踵に臀部を乗せ、右足膝は立てた体構えの休息姿勢であったかは何処にも記述されたものはありません。口伝口授により長谷川英信流は、かくあるべしと伝承されたと思われます。
 無双直伝英信流の各派によって教えはまちまちで、左足は膝を着き、右足は膝を立てた座し方が似て居るばかりです。
 昔の護衛者の絵で見れば、左膝を着き爪先立ち腰を上げ、右足は足裏を地について膝を立てた姿です。
* 
 故行宗貞義先生記録写長谷川流横雲では「敵ノ拳へ抜付(二星ヲ勝ツ故二拳ナリ)」と抜きつけは拳へ抜き付けるのだとありましたが、さてそれらしき動作は特定されていません。
 長谷川英信の時代は江戸前期後半から中期辺りでしょう。既に武士の城中での作法は胡坐から正坐に変わり始めています。
 刀も腰に吊るのではなく、腰帯に差す打ち刀になり、刀の長さにも制限が設けられ太刀で刃渡り2尺3寸5分、脇差は1尺5寸となっています。
 林崎甚助重信の開眼した居合兵法に変化を要求されている時代です。土佐の居合の根元之巻にある「柄口6寸」の極意は改変されて消失した可能性は非常に高いものです。
 古伝神傳流秘書英信流居合之事には、書き出しに「是は、重信翁より段々相傳の居合然るものを最初にすべき筈なれども先ず大森流は初心の者覚え易き故に是を先にすると云えり」と有るだけです。このまま読めば「英信流は重信翁から段々に相伝されてきたものだからこれを最初から学ぶべきものだが、大森流は初心者に覚え易いから大森流から先ず稽古する」と云う風に捉えられます。
 そうであれば、英信流は重信翁の極意「柄口6寸」による敵の拳に抜き付ける極意の仕草が手附けに語られても良さそうですが、そうはなっていないのです。それとも文章の奥に隠れていると見るべきなのでしょうか。
古伝神傳流秘書
 曾田本その1から引用します。
 英信流居合之事「横雲」:右足を向へ踏出し抜付打込み開き足を引て先に坐したる通りにして納める」
 是だけです、先ず如何様に座すかが語られていない、抜付の部位は何処か、どの様に抜きつけるか解らない、打込みは敵の真向なのか判らない、「開き」は多分横に開く血振りと思われるがそれで良いのか、納刀後の姿勢は「先に坐したる通り」と云われても、先の座した姿が示されていない。こんな解らないずくしです。
 それでは前に進めないので、この居合も変化し続けているだろうが、初めに習う事は概ね正しく伝承しているだろうと思い、現代居合の教えを其の侭取り込んで稽古して見る以外に方法は無いのです。
参考(剣道手ほどき)
大江正路(おおえまさじ)
曾田本その2には大江先生の、長谷川流居合の横雲以下抜打(真向)は記述が無く、長谷川流奥居合となります。ここでは参考の為、大江・堀田共著の「剣道手ほどき」から引用します。
 長谷川流居合(抜方と順序)横雲:正面に座して刀を右へ静かに抜きつゝ、三寸残りし時右足を出し、刀尖を抜付け、其の姿勢にて上段にて真直に前方を斬る血拭ひ刀を納む(敵の首を斬る)。
中山博道先生(居合読本より)
 長谷川英信流居合横雲:大森流との違いは坐法と血振り、血振りは斬り下し次に左手を放ち腰に当てつゝ右拳を右に開き刀刃を斜右下に向かわしむ。
 坐法は箕座(きざ 跪坐)左足上に臀部を託し、右足は足全体を地に付けることなく、小趾(小指)の側だけで附け右膝を僅かに挙げて坐る。
 正面に向い箕坐す、右足を僅か前方に踏み出し大森流の初発刀と同様に抜刀して直ちに頭上に振りかぶり、敵を斬り下ろし、直ちに陰陽進退の最初の血振り(横血振り)をなし、刀を納めつゝ右足を左足に引き付けて蹲踞し、後、徐か(しずか)に立ち上がる。
 初発刀の抜き付けは、敵の眼の附近を横薙ぎに切り付け、相抜の場合は敵の抜付けし拳に切り込む。
 博道先生の教えに拳への抜き付けは相抜の場合とあります、このに「柄口6寸」の教えが伝承されたのか、神道無念流以来の教えか定かではありませんが見えています。
 相抜の場合の拳への抜き付けは、敵刀が鞘を離れる前に、先んじて拳への抜き付けが出来なければ難しいものです。
 この博道横雲は、初発刀と同じ右足を踏み込むと解しますが、その後の夢想神傳流では左足を爪立て後方に退いて抜き付けています。
 

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