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2019年2月10日 (日)

曾田本その2を読み解く3大森流居合抜方3の11抜打

曾田本その2を読み解く
3、大森流居合抜方
3の11抜打
古伝神傳流秘書
抜打:座して居る所を向より切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請流し打込み開いて納る 尤も請流に非ず此の所筆に及ばず
行宗先生
抜打(又は止めとも云う):正面向き両膝にて(膝頭を狭くす 曽田メモ)中腰にて抜き冠りて(切り下す時膝頭を肩幅に開けば自ら進むものなり 曽田メモ)膝を進めながら切り付け刀を開きて納刀
大江先生
抜き打ち:正面に座す、対坐にて前の敵を斬る心組みにて其正座の儘刀を前より頭上に抜き、上段に冠り、身体を前に少しく出し、前面の頭上を斬る。血拭ひは中腰の同体にて刀を納む。
 古伝は「座して居る所を向より切て懸かるを其のまゝ踏ん伸んで請流し」と云って、攻防の状況を明確に云っています。行宗先生も大江先生も抜打の形ばかりの解説です。
 現代居合で河野百錬先生は「大日本居合道図譜」で抜打の解説では「腰を上げ乍ら刀刃を少し外向け右斜め前にスット物打辺りまで抜き出す。右拳を上に上げつつ抜きとり剣先は下げて左肩側より体を囲う様に把り(敵斬込むとも之を受流す心)て上段・・」と云っています。是では「敵斬込むとも」であって古伝は「「向うより切て懸るを」とは全く違います。
 斬り込まれる事を想定しておく稽古と、斬り込まれた時に応じる稽古の違いでしょう。無双直伝英信流正統会の抜打は安易な捉え方が多すぎる様です。
 大江先生直伝と云う山内豊健・谷田左一先生の図解居合詳説の抜き打ちはもっとひどい「目的 敵と接近して相対座して居る場合、不意に敵の正面に斬り付ける動作である」。
 山内豊健先生の居合を引き継ぐ京都山内派無双直伝英信流居合術の抜打「彼正面に切り来るを左に受け流して敵の真向に打ち下して仕止む」となって、古伝の思いがダイレクトに伝わってきます。
 あの共著は何だったのかと首を捻っています。共著とか監修する際自分の思いと違う場合は明確に述べるべきでしょうね。
 大江先生の居合も「剣道手ほどき」が堀田捨次郎先生の書かれたもので名ばかりの共著監修者だったと思います。大江居合は教え子によって違っていたとも聞くし、指導を受けた者の受け取れる力量にも違いがあったでしょう。何時も同じが全てでは無いし、生きてる間は進化していくのが武術の筈です。
 細川義昌先生系統の梅本三男先生の抜打「対座して居る者を斬る 正面に向ひ正座し、静かに左手にて鯉口を切り、右手を柄に掛けるなり、急に両膝を立て(両爪先立てる)同時に刀を右前へ引抜き刀尖を左後へ突込み諸手上段に引冠りて斬込み、刀を開き納め・・」居合心は伝わりにくいのでしょうか。
 細川義昌先生に指導を受けたという中山博道先生の抜打「敵と接近して相対して居る場合、不意に敵の正面に斬り付ける動作である ・・上体を稍々前方に屈し、刀を前から抜き上体を起こすと同時に、刀が鞘から全く離れて上段に冠る・・」
 中山博道先生は大正11年に無双直伝英信流谷村派第16代五藤孫兵衛の弟子森本兎身より免許皆伝を受けたという、細川居合は殆ど習っていないと思われます。森本兎身より細川義昌の方が格が上と夢想神傳流の方達が作り上げた話でなければいいのですが、ここでは業の根本を語りたいと思います。
 大江先生の直弟子だった政岡壱實先生の抜打(抜刀)「正座して対座せる者の殺意を感じて真向から切る動作・両手を同時に刀にかけつつ膝頭を合せ腰を浮かせ足先をたて(抜刀に必要な最小限に腰を浮かす)両踵の上に臀を軽くのせる。この間に刀を上に受流す気持ちで小さく抜き左手を添えつつふりかぶる。・・。」
 殺意を感じて先んじて斬る、と、しか読めないのですが、斬り込まれて請流して斬るとは違います。
 この抜打は大森流居合の最後にある業です。
 大森流が真陰流の大森六郎左衛門からの伝承であれば、新陰流の系統でしょう上泉伊勢守信綱の剣術心が組み込まれている筈です。
 活人剣の教えが組み込まれているとすれば、「懸は懸にあらず、待は待にあらず。懸は意待に在り、待は意懸に在り」と、敵の心の動きを我が内に持ち待つ、とでもいう処でしょう。
 曽田本その1の「居合心持肝要之大事 居合心立合之大事」に「敵と立合とやせんかくやせんと巧む事甚だ嫌う、況や敵を見こなし彼がかく打出すべし其の所を此の如くして勝たん抔とたのむ事甚だ悪し、先ず我が身を敵の土壇ときわめ何心なく出べし、敵打出す所にちらりと気移りて勝事なり、常の稽古にも思い案じ巧む事を嫌う、能々此の念を去り修行する事肝要中の肝要也」
 さて、抜打は、一方的に抜打ちすれば相手が優れていれば受流されて斬られてしまいます。懸待表裏の活人剣以外に勝は無さそうです。
 
 

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