« 曾田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の4浮雲 | トップページ | 曾田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の6岩波 »

2019年2月16日 (土)

曾田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の5颪

曾田本その2を読み解く
4、長谷川流居合抜方
4の5颪
参考(曽田本その1より)
古伝神傳流秘書
英信流居合之事
山下風:右へ振り向き右の足と右の手を柄と一所にて打倒し抜付後同前但足は右足也 浮雲と足は相違也
行宗先生
右身
颪(山下、山下風):左向きゟ正面に柄頭を以て當て(柄頭にて水月、右拳にて人中に當てる 曽田メモ)右手をかけて体を左に捻りて敵の胸へ抜付け引き倒して正面(敵 曽田メモ)を切る也
参考(剣道手ほどきより)
大江先生
右身の部
颪(又山おろしとも云ふ):左向き腰を浮めて右斜に向き、柄止め、直に左へ足を摺り込み、其踵へ臀部を乗せ右斜向体となり、斜刀にて筋変へに打ち其形状にて左手は刀峯を押へ、左足を左横に変へ、刀を右へと両手を伸ばして引き、敵体を引き倒すと同時に右足を右斜へ寄せ、直に其刀を右肩上の處にかざし左足を後部に引き右足を出し、正面に向き上段となりて斬るなり。
 血拭ひ刀を納む。(敵の眼を柄にて打つ進んで胸を斬り更に頭上を斬る)
 古伝は、業名「山下風」ですが読みは「おろし」とも読んだでしょう。
 左向きに座す、我が右脇に敵が座し、我に仕掛けんとするのでしょう。右手を柄に掛け腰を上げ右に振り向くや右足で敵の刀を持つ右手を踏み付け、柄頭で敵の人中に打ち据えるのでしょう。
 打ち倒しと有りますが、次の抜き付けを考えると、打ち倒されそうになって踏ん張り逃げようとする相手の右肩に体を左に捻って抜き付け、浮雲の如く左手を刀峯へ執って右斜めへ引き倒す。
 直ちに刀を肩上にかざし、上段にて正面に直り斬り下す。血拭い納刀。
 吉宗先生も同様ですが、右足での攻撃動作が無く、柄頭で敵の水月を突き、右拳で人中を打つ、右手を柄に掛けて、刀を抜き出し、体を左に捻り敵の胸に抜き付け引き倒し同前。
* 
 大江先生は、「柄止め」の部位について不問です。堀田先生は手ほどきを受けたのでしょうか、看取り稽古だけだと、「柄止め」の位置と方法は、解らなかったと云えるかもしれません。
 大江先生の直弟子政岡壱實先生の颪によると「右脇に座した者が柄を取りに来たので、是を外しつゝ右脇迄来ている敵の眉間に柄頭を当て、退く処へ斜に抜きつけ・・。」とされています。
 中山博道先生の長谷川英信流居合(居合読本より)
 山下風:意義、右側面に坐せる敵が抜刀せんとするを取り敢えず刀柄を以てその手首を強打しヒルム所を抜刀して斬りつけ、其の殪るゝ(たおるゝ)を再び正面より胴部に向ひ斬り下す業である。
 動作、正面に対し左向きに箕坐す。左膝を軸として約90度右に向くと同時に刀に「反り」を打たせつゝ左手を以て刀を少しく前上方に出し、右足を約一歩前方に踏み着くると同時に鍔を以って敵の手を打つ・・*意義では柄を以て敵の柄手を打っています、ここでは鍔です、鍔は柄についていますね。
 ・・次に左手を以て刀を上方より敵の頭を越えて敵にふれない心持ちで右に旋回し、左拳を概ね右腰の附近より旧帯刀の位置に復しつゝ、右拳で刀柄を握り左膝右足尖を軸として左足を右に旋廻して、右足の後方に至らせ、腰を左に捻りつゝ抜刀して敵の胸に斬りつく。
 直ちに左膝及び右足尖を軸として左足を約90度左に旋廻して、左手を刀尖に近き刀背に当て右足を左膝附近に引き着け刀を右後ろに引きつゝ敵を切り倒す(刀を引く時身体に触れない様に注意するを要す)其の位置に於いて右拳を以て刀を反転し右足を約一歩前方に踏み出しつゝ左手を添へ、右足尖を軸として、左足を約90度右に旋廻し、概ね正面に向く間に全く刀を頭上に握り被り直に斬り下す。以下横雲に同じ。」
 現在の夢想神傳流の山下風との違いは「右足裏で敵の左股上と左手を踏み付けると共に刀を裏返したまま柄頭で敵の右手甲を打」動作ではない。大きな違いでしょう。
参考(居合兵法無雙神傳抜刀術より)
 細川義昌先生系統の梅本三男先生の山下風:「・・腰を伸しつゝ右膝を立て、体を右へ廻し正面へ向くなり、右足を引き付けると同時に柄を右胸上部へ引き上げ、右手を柄に逆手に掛け右足を踏出すと共に鍔にて対手の左横顔を打ち直ぐ右足を退き寄せる。
 同時に鯉口を腹部へ引付け、刀を右真横へ引抜き (切先き放れ際に)左膝を左へ捻り正面より左向きとなり、対手の胸元へ(切先き上りに手元下りに)斜に抜付け、更に体を右へ捻り戻しつゝ刀の腰に左手の四指を添へ刀尖を下へ柄頭を後上へ引き上げ体を右へ廻しつゝ対手の体を押し倒すなり、(正面より右向きとなり)左足を跪き刀尖を(上より)後へ振返し、右足踏出すと共に双手を向ふへ突出し横一文字に構へ(視線は左正面の対敵に注ぐ)、左膝を右足へ引寄せつつ諸手上段に振冠り、右足を正面へ踏出し(胴体へ)斬込み、刀を開き納め終る」
*
 「右手を柄に逆手に掛け右足を踏出すと共に鍔にて対手の左横顔を打ち」でまたまた、異なる手法が繰り出されました。
 この颪も、複雑な想定により幾つもの動作が生み出されたのでしょう。
 現在の無双直伝英信流正当会では、「我と同じ方向を向きて我の右側に、座し居たる敵が、腰を上げ一歩前に出て振り返りざま 、我が柄を取らんとし来るを、我れ腰を上げると共に左方に柄を逃がし、敵手を外し直ちに柄頭を以って敵の顔面人中(眉間)に打ち当て、敵退かんとする処を其の胸部に斬り込み右に引き倒して(押し倒して)、上段より敵胴を両断して勝つ意也(第22代池田聖昂先生著無雙直伝英信流居合道解説より)」
 敵が我が柄を取らんと手を伸ばして来る、それを逃がして、敵人中に柄当てする。と云う想定です。
 浮雲にしても颪にしても、想定を明確にして業を稽古し、いたずらに複雑にすべきものでは無いと思います。やるべき事を最も単純に修錬すれば、相手は我に逆らう余裕は無くなるものです。
 
 

|

« 曾田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の4浮雲 | トップページ | 曾田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の6岩波 »

曾田本その2を読み解く」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曾田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の4浮雲 | トップページ | 曾田本その2を読み解く4長谷川流居合抜方4の6岩波 »