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2019年2月24日 (日)

曽田本その2を読み解く5長谷川流居奥居合坐業抜方5の3戸詰

曽田本その2を読み解く
5、長谷川流奥居合坐業抜方
5の3戸詰
古伝神傳流秘書
抜刀心持之事(格を放れて早く抜く也 重信流)
四本目両詰:抜て片手にて左脇を突き直に振向いて右脇を切る
 行宗先生の奥居合居業の三本目戸詰の「右へぬきつけ左をきる」業は古伝では四本目両詰の替え業として「右脇へ抜打切り付け左を斬る」として裏にあります。
 曽田本その1の「英信流居合目録秘訣の上意之大事」に詳細が解説されています。
 両詰:是又仕物抔言い付けられ、又は乱世の時分抔にわ使者抔に行、左右より詰かけられたる事、間々之有也。
 ケ様の時の心得也、尤其外とても入用也。
 左右に詰かけられたる時一人宛切らんとするときは遅れを取るなり、故に抜や否や左脇の者を切先にて突、直ぐに右を切るべし。その業唯手早きに有。
 亦右脇の者に抜手を留らるべきと思ふ時は右を片手に切りすぐに左を切るべし。
行宗先生
長谷川流奥居合抜方
坐業(奥居合には順序なしと伝へらる)
三本目戸詰:右へぬきつけ左をきる(両詰)
参考
大江先生(剣道手ほどきより)
奥居合
四本目戸詰:(右を斬り左を斬る)抜き付け、右の敵を右手にて切ると同時に右足を右斜に出す、其の右足を左斜横に踏み変へて上段にて左斜を真直に斬る
 古伝は、左の敵を刺突し、続いて右の敵を斬る、のが当然であるように書かれています。左の敵を刺突しようと右に刀を抜き出す時、其の柄手を留めそうな素振りがあるならば右片手抜打ちに右の敵を斬って左に振り向き、左敵を斬るとしています。
 変化業を行宗先生は三本目に、大江先生は四本目に戸詰と新たな業名を冠して置いています。
 この業は我を挟んで左右に敵に囲まれた時の業ですから、本来の業名は「両詰」なのです。
 「戸詰」は古伝神傳流秘書抜刀心持之事、所謂奥居合には業名として存在しません。場の状況を優先する考えは古伝は持たずに敵の存在に対する攻防を示す物なのです。
 大江先生は行宗先生の業名「戸詰」を引用したか、元々あったのか疑問です。
 古伝神傳流秘書の英信流居合目録秘訣上意之大事には「戸詰」「戸脇」と云う教えがあるのですが居合としての業名とは違います。
 既に曽田本その1で解説済みですが紹介しておきます。大江先生の奥居合の業名は古伝を無視したおかしなものになっていて何故なのか不明です。
 戸詰:障子或は戸を明けかけて内ヱ入れと云て入る所を戸にて立詰んとするときは是を察して扇を敷居の溝に入れ其扇の端を膝にて敷、然りして内ヱ入る時は立詰らるゝ事なし。
 戸脇:戸の手前に立って居てあれえ通れ戸云て入る所を切らんと心懸るならば、つかつかと戸口を入身に歩み行て柄にて胸を押しつけてしかして引抜て突べし、亦火急にて既に切懸けられたる時は、或は柄を以てはらいのけ早わざをきかすべし、亦戸の内に人ありと思わば戸口を入る事なく内に人の有る方に向て筋違て入るべし。
参考
山蔦先生の戸詰(夢想神傳流居合道より)
 戸詰(三角 みすみ)として奥居合居業の四本目に在ります。:自分の前の左・右に戸(または襖)があり、その陰に敵が潜んでいる。敷居ごしにまず、右足を一歩右斜め前に踏み出し、抜打ちに右の敵へ抜付け、ただちに右側より受け流しに刀を振りかむりながら右膝をつき、左膝を立て(右、左踏替え)、左側の敵を斬る。
 大江先生の戸詰の動作に戸襖の存在を加えてしまいました。現代居合の無双直伝英信流の考え方そのものです。夢想神傳流には奥居合伝承が無かった為大江居合を引用されたと思われます。
参考
 細川義昌先生の系統梅本三男先生の居合兵法無雙神伝抜刀術
 英信流奥居合之部は
一本目向払
二本目柄留
三本目向詰
四本目前後詰
五本目両詰
六本目三角
七本目四角
八本目棚下
九本目虎走
 となります。ここで云う行宗先生の戸詰「右へ抜付け左を切る」に相当する業は存在しません。
 古伝神傳流秘書の抜刀心持之事「両詰」と同じ動作であるのは「五本目両詰」になります。
 :(左右に座して居る者を斬る)右手を柄に掛けるなり、腰を伸ばし(右へ掛ると見せて)右足を少し右へ踏み出し其方向へ刀を引抜き、咄嗟に左へ振向き(右片手にて)左側の者の胸部を突き、直ぐ右へ振返りつつ、諸手上段に引冠り右側の者へ斬込み、刀を開き、納め終る。
 行宗居合も大江居合も、夢想神傳流も奥居合については古伝とは順番も業も、その心持ちも何処かおかしいものです。
 明治以降の土佐の居合は大江正路居合によって方向が見失われたとしか言いようはありません。
 しかし、それは現代居合として多くの愛好者を持つわけで其の内容で進んでいく以外に無いでしょう。
 江戸時代中期初めに土佐に持ち込まれた総合武術無双神傳英信流居合兵法は古伝神傳流秘書に秘められたのでしょう。
 一部変化して居ても「居合兵法無雙神傳抜刀術」として細川昌義系統の梅本三男先生伝として居合が引き継がれている様です。
 古伝研究には、古伝神傳流秘書を元に行うべきもので、復元を焦って、神伝流秘書以外の書物によって古伝の心を失うべきではないでしょう。
 神傳流秘所以外の内容になる資料を上げておきます。
曽田本その1にある資料
 1、谷村亀之丞自雄の英信流目録
   居合棒太刀合巻
   小太刀之位(神傳流秘書になし、出典伝承不明)
 2、曽田虎彦による業附口伝
(神傳流秘書に近いが曽田先生による第16代五藤孫兵衛正亮先生の時代のもので其の侭受け入れるわけにはいかない、「業附口伝では」とことわるべきもの)
   太刀打之位
   詰合之位
   大小詰
   大小立詰
曽田本以外の古伝参考資料 
 1、河野百錬の無双直伝英信流居合道
   曽田先生の業附口伝の転用に付同上注意を要す。
 2、河野百錬の無雙直伝英信流居合叢書
   曽田先生から送られた曽田本を読み下したもので信頼できる
 3、政岡壱實の無雙直伝英信流居合兵法地之巻
   曽田本あるいは細川家伝書を引用され信頼できる
その他ビデオ等の資料
  現存する物は、曽田本の曽田先生の業附口伝からの振り付けで信頼できない。
  例、第21代福井聖山の詰合之位
 
 
 
 

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