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2019年2月 9日 (土)

曾田本その2を読み解く3大森流居合抜方3の10虎乱刀

曾田本その2を読み解く
3、大森流居合抜方
3の10虎乱刀
古伝神傳流秘書
虎乱刀:是は立事(業 ?)也幾足も走り行く内に右足にて打込み血震し納るなり但し膝をつけす
行宗先生
追懸(追風 大江派)(乱刀山川久蔵先生の伝書には虎乱刀とある:走りながら抜き付け左足を踏み込み冠り右足を踏み込み切る血振ひ立ちたるまゝ納刀
大江先生
追風:直立体にて正面に向ひ、上体を稍前に屈し、刀の柄を右手に持ち、敵を追い懸ける心持にて髄意前方に走り出で、右足の出でたる時、刀を首に抜付け、直に左足を摺り込み出して上段に冠り、右足を摺り込み左足は追足にて前面を頭上直立体にて斬り。刀尖を敵の頭上にて止める、血拭ひは右足を引き中腰のまゝ刀を納む。
 まず、これだけ業名が違うとは何か理由があるのでしょうか。大江先生の場合は第三者の圧力があったかもしれません。
 行宗先生、大江先生とも走り込んで抜付け・打込みしています。古伝の文言の抜けを補足すれば「右足にて抜付け、左足を踏込み上段となり右足を踏込み打込み血震し納る」となります。
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 細川昌義系統の梅本三男先生は「虎乱刀」:正面へ向ひ、立歩みつゝ右足踏出しながら鯉口を切り、左足踏出しつゝ右手を柄に掛け、更に右足踏込んで(対敵左側面へ)抜き付けたるも剣先が届かぬため、直ぐ左足を踏込みつつ諸手上段に引冠り、更に又、右足踏込んで斬り込み血振ひして(立身のまま)刀を納め終る。
 業の動作は梅本先生の抜きつけ失敗は何を意味するのでしょうか、古伝の「右足にて打込み血震し」という打込みとは抜付けとは違って上から斬り下ろす場合の古伝の表現です、古伝は打込みだけで抜きつけは省略しているかもしれません。梅本先生の場合もう一つ「走り行く」古伝の動作が歩足に変わっています。 
中山博道先生「虎乱刀」:敵が逃れ去らんとするを追ひ掛けて斬る動作であって終始立姿にて行ふ即ち立居合である。
 正面に向ひ直立す左足を約一足長前方に出す(抜刀を容易にする目的)と同時に右手を以て鍔に近く握り右足を約一歩前方に踏み出し初発刀の要領にて抜刀し、次に左足より二歩前進しつゝ刀を頭に振り被り右足が地に着くと同時に切り下ろす、以上の動作は成るべく神足に行ふを理想とす。次で、立ちたる儘で初発刀に於ける血振ひをなして刀を納める。
 中山博道先生も歩み足で走り込まない、抜付け・打込みとあって古伝とは異なります。
 この業は追懸とか追風の業名では無く「虎乱刀」ですから、虎走りの要領で敵を追う事がポイントでしょう。走るにしても歩むにしてもですが、それでは「虎走り」はいかようにすべきものなのでしょう。
 現代居合の無双直伝英信流正統会では「我れ小足、小走りに追込み」と有って「右足を半歩程前に出すや否や、左あしより進み出る、左足一歩踏出すや右足を連れ足捌きにて左足の土踏まずの処位まで引き寄せる。次で再び左足より出で右足を同じく連れ足捌きにて左足に引き寄せる。この際、決して右足を左足より先に繰り出さざる事。間合いに接する迄、此の足捌きにて小走りにてじっしする事肝要(第22代池田先生著無双直伝英信流居合道解説より)」
大江先生直伝と称する「図解居合詳説」の山内豊健・谷田左一先生の足運び「追い懸ける時の足は、小足で踵を以て踏みしめて音を立てるのである。動作は軽妙迅速に行ふ事。足を踏みしめて音を立てるのは、追い掛ける者の多勢を示して、敵をして畏擢せしめるのである」
とされています。現在でも音をドタドタたてている人が居る様です。
 英信流居合目録秘訣の外之物ノ大事では「虎走」:仕物抔を云いつけられたる時は殊に此の心得入用也、其の外にても此の心得肝要也。敵二間も三間も隔てゝ坐し居る時は直に切る事不能、其上同坐し人々居並ぶ時は色に見せては仕損る也、さわらぬ躰に向へつかつかと腰を屈め歩み行く内に抜口の外へ見えぬ様に躰の内にて刀を逆さまに抜き突くべし虎の一足の事の如しと知るべし、大事とする所は歩みにあり、運び滞りなく取合する事不能の位と知るべし」
 ドタバタ走って追い掛けるのではなく、スルスルと滞りなく追いすがって抜付け、打込むのがどうやらベターの様ですが、いかがでしょう。
 

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