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2019年3月11日 (月)

曽田本その2を読み解く6長谷川流奥居合立業抜方6の7袖摺返し

曽田本その2を読み解く
6、長谷川流奥居合立業抜方
6の7袖摺返し
参考
古伝神傳流秘書
抜刀心持之事
10本目
行違:行違に左の脇に添へて払ひ捨冠って打込也
行宗先生
長谷川流奥居合立業抜方
8本目
袖摺返し(伝書にはなし):人をおしわけて切る(左足にてかむり右足にて切る)
大江先生
長谷川流奥居合立業抜方
7本目(15番目)
袖摺返し(伝書にはなし):(進行中抜き放ち刀を左の身に添へ群衆を押開き進みつゝ斬る)
右足の出たる時刀を静に抜き直ちに右手は上へ左手は下へ胸の処にて組み合せ足は左右と交叉的に数歩出しつゝ両手肘に力を入れて多数の人を押し分ける如くして左右に開き直に上段に取りて中腰にて右足の出たる時前面を斬る(両手を開く時は両手を伸ばす肘の処を開くこと)。
 現代居合では「肘の処を開く」ではなく拳を開いている様です。
参考
細川義昌先生系統の梅本三男先生の居合兵法無雙神傳英信流抜刀術より
英信流 奥居合之部
13本目
行違:(摺違ひに左側の者を斬る)正面へ歩み往きつつ(右側を通り)鯉口を切り左足を踏出しながら右手を柄に掛け、右足踏出すなり刀を向ふへ引抜き、左足踏出しつつ(刃部を外へ向け)左腕外へ突込み、更に右足踏出すと共に摺違ひに刀を向ふへ摺抜き(対手の左側を軽く斬り)直ぐ左斜に振返へりつつ、諸手上段に振冠り、右足踏込んで斬込み、刀を、開き納め終る。
*
 吉宗先生、大江先生の袖摺返しは群衆の中に居る正面の敵を「人を押し分けて切る」と云う。
 古伝は、すれ違う際に刀を抜いて、相手の左側面を払い切り、振り返って斬り下ろします。
 刀の抜き方、左右の手の交叉はどちらも同じ様ですが、人を押し分けるか、行き違い様に払い切るかの違いから業が大きく変わります。
 「袖摺返し」「の呼称は古伝に有りませんから、下村派14代下村茂市から行宗先生、大江先生は奥居合は学ばなかったと思えます。
 若し後に谷村派16代五藤正亮に習ったとすれば谷村派に有った「行違」「の替え技を取り込んだのでしょう。
 行宗先生、大江先生の「袖摺返し」は、仮想群衆をかき分けるのが見事で無ければ、演武会の出し物としても見られたものではありません。
 大江先生の奥居合には古伝をもじって作られた替え業が正統正流の如く存在します。居合文化の伝承にこれでいいのか考えさせられる業の一つです。
 群衆の中で抜刀する業は奥居合立業に「人中」と云う業があり、現代居合では之を「壁添」と云う業に変えられ演じています。
 古伝の「行違」は、仮想敵相手に一人稽古で運剣を磨き、相手を設けて抜刀のタイミングを充分稽古する必要があります。
 古伝無雙神傳英信流を復元される場合は特に奥居合の各業に、運剣の妙技、や心得の認識が大切です。
 古伝「行違」を伝承されておられる方は、現代では広島の貫汪館森本邦生館長でしょう。
 
 

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