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2019年3月 5日 (火)

曽田本その2を読み解く6長谷川流奥居合立業抜方6の2連達

曽田本その2を読み解く
6、長谷川流奥居合立業抜方
6の2連達
古伝神傳流秘書
抜刀心持之事
10本目
連達:歩み行内前を右の拳にて突其侭に左廻りに振返り後を切り又前へ振向て打込也
行宗先生
長谷川流奥居合立業抜方
10本目
連達:左をつきて右を切る(立業両詰 曽田メモ)
大江先生
長谷川流奥居合立業抜方
連達:(進行中左を突き右を斬る)右横へ右足を踏み体を右に避け刀を斜に抜き左横を顧みながら刀を水平として左を突き右へ体を変して上段にて斬る
 古伝神傳流秘書の抜刀心持之事9本目行連が、行宗先生、大江先生の連達でした。従って、行宗先生、大江先生の教えは改変された現代居合の業名となります。
 古伝の連達は現代居合では行違に見られる動作になります。これは又別の項目で読み解きます。行宗・大江先生の連達の手附に相当する古伝の業は存在しません。
 座業で稽古した両詰の変化業、立業では行連の変化業です。通常はこの様に「詰め掛けられたる時は一人宛て切らんとする時は遅れを取る也、故に抜くや否や左脇の者を切先にて突き直ぐに右を切るべし」と土佐の居合のルーツ無雙神傳英信流居合兵法は心得を述べています。但し「右脇の者に抜手を留らるべきと思う時は右を片手に切り直に左を切るべし」と云って状況変化にも即座に対応する様に教えています。
 細川義昌系統の梅本三男先生の居合兵法無雙神傳英信流抜刀術では細川先生はどの様に指導されたのでしょう。
英信流奥居合之部
11本目
行連:(左右の者を斬る)正面に向ひ、歩み往きつつ、鯉口を切り右手を柄に掛け、右へ振向くなり、抜打ちに(右の者へ)斬付け、直ぐ左へ振返へりつつ諸手上段に振冠り、右足踏込んで(左の者へ)斬込み、刀を開き納め終る。
12本目
連達:(前後の者を斬る)正面へ歩み往きつつ、鯉口を切り右手を柄に掛けるなり抜打に(前の者へ)斬付け、直ぐ(左廻りに)後へ振返へりつつ諸手上段に振冠り、右足踏込んで(後ろの者へ)斬込み、刀を開き納め終る。
 細川先生の行連は行宗先生、大江先生と同じ想定でしょう。連達は行連の敵の位置が前後と云う変化業の様です。この想定は、細川先生独特のもので古伝にも見当たりません。
 しかし、古伝の抜刀心持之事9本目行連の「立って歩み行内に抜て左を突き右を切る両詰に同じ」が立業に見当たりません。
 座業の処に「両詰」の業があって、すでに読み解くに乗せていますがもう一度読み直してみましょう。
「両詰:(左右に座して居る者を斬る)正面に向ひ居合膝に座し、例により鯉口を切り右手を柄に掛けるなり、腰を伸し(右へ掛かると見せて)右足を少し右へ踏出し、其方向へ刀を引抜き、咄嗟に左へ振り向き(右片手にて)左側の者の胸部を突き、直ぐ右へ振返へりつつ、諸手上段に引冠り右側の者へ斬込み、刀を開き納め終る」
 この、両詰を立居合で演じれば、現代居合之連達に成るでしょう。
 現代居合の中興の始祖と云えるかもしれない、大江正路先生の残された手附は動作だけを抽出したものですから、居合心迄は示せなかった。書いたのは堀田捨次郎先生なので剣道の教本は書かれていても、居合心迄は至れなかったと思うしかありません。
 恐らく大江先生に直に指導を受けた生徒らは、口伝口授で技の動作の奥にある居合心迄指導を受けられたであろう、と思いたい。
 政岡壱實先生の無雙直伝英信流居合兵法地之巻を拝見しながら、大江先生を慕う心持が政岡先生の手附文章ににじみ出て来る時があります。
 居合の動作一つでも、自分の思いを伝えるには、譬え居合抜動作の順序の手附であってもご自分で書かれて居れば、もっと違った現代居合になっていたであろうなど、へそ曲がりは思うのです。
 河野先生の大日本居合道図譜も池田先生の無雙直伝英信流居合道解説などもご自分の言葉で、先師の教えを辿りながら書かれた教本には、それが古伝とはアンマッチであっても現代を生きる者の指標には十分すぎるものです。
 何度も読み返すうちに私の書架の中で、是等は最も手ずれが激しいものです。

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