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2019年3月16日 (土)

曽田本その2を読み解く7長谷川流奥居合その他7の1虎走

曽田本その2を読み解く
7、長谷川流奥居合その他
7の1虎走
参考
古伝神傳流秘書
抜刀心持之事
13本目(立業6本目)
追懸切:抜て向へ突付走り行其侭打込也
16本目(立業9本目)
虎走:居合膝に坐して居立って向へ腰をかがめつかつかと行抜口の外へ見へぬ様に抜付打込納又右の通り腰を屈め後へ引抜付打込也
* 
 古伝の追懸切は大森流の虎乱刀(是は立事也幾足も走り行く内に右足にて打込み血震し納る也但し膝を突けず)の様ですが、追懸切は既に抜刀して追い掛ける所が違います。相手に切先を突き付け追いすがるや上段から打ち込むわけです。どちらも上意討ちなどの心得に相当するものでしょう。
 追懸切は走り行きますが、虎走は抜き口が見えない様に腰を屈めつかつかと行のです。
行宗先生
長谷川流奥居合座業抜方
8本目
虎走り:虎走り (手附はありません ミツヒラ)
行宗先生
長谷川流奥居合立業抜方
9本目
追懸切:大森流10番に同じ(是も霞みてかかり右足にて突き真向を打つ也 曽田メモ)
行宗先生は虎走りを第14代下村茂市から伝授されていたのか曽田本その2からは、習っていなかった様に思えてしまいます。
お二人の出合いと別れの年表を確認して見ます。
嘉永3年1850年  行宗貞義生まれる
明治23年1890年 曽田虎彦生まれる
この年行宗先生40歳
明治36年1903年 曽田虎彦高知二中入学13歳
この年行宗先生に師事す、行宗先生53歳
明治41年1908年 曽田虎彦高知武徳殿助教師18歳
この年行宗先生58歳
大正3年1914年 行宗貞義没す64歳
この年曽田虎彦24歳
大江先生
長谷川流奥座業抜方
8番目
虎走り:(中腰となり走り抜斬又後しさりして抜斬る)座したる処より柄に手をかけ稍腰を屈め小走りにて数歩進み出て右足の踏出したる時抜き付け同体にて座して斬る(血拭い納刀するや)刀を納めて2、3寸残りしり時屈めたる姿勢にて数歩退り左足を退きたる時中腰にて抜付け上段となり座して斬る
参考
細川義昌先生系統の梅本三男先生
居合兵法無雙神傳英信流抜刀術より
英信流奥居合之部
9本目
虎走:(次の間に居る者を斬り 退る処へ追掛け来る者を斬る)正面へ向ひ居合膝に座し、左手を鯉口に右手を柄に執り抱へ込む様にして立ち上がり、上体を俯け前方へ小走に馳せ往き腰を伸すなり右足踏込んで(対手の右側面へ)抜付け、左膝を右足横へ跪きつつ諸手上段に引冠り、更に右足踏込んで斬り込み、刀を開き納めたるまま立上り、又刀を抱へ込む様に前へ俯き小走に退り腰伸すと同時に左足を一歩後へ退き、追掛け来る者へ(右側面へ)大きく抜付け、又左膝を右足横へ跪きつつ諸手上段に引冠り右足踏込んで斬込み、刀を開き納め終る。
 大江先生と細川先生の虎走りは同じ様な業でしょう。下村派第14代下村茂市から伝わっているのでしょう。古伝神傳流秘書の抜刀心持之事虎走は現代居合にも伝わる事は出来ました。
 但し、足捌きなどの細部に時代が経ると尾ひれがついて、意味不明な動作が入り込むのはやむおえないでしょう。
 見直して、「かたち」では無い居合心を見直すべきでしょう。
 三豊蘆洲会の故岩田憲一先生は曽田先生の曽田本を読まれ次のような文章を残されています。
参考
 第九代林六太夫守政 口授
 第十代林安太夫政詡 誌
 居合兵法極意訣
古書の技法を推察して
 古書の教示は、その時代に於ける種々な居合兵法的技法を考えたものであろうが現在我々の演武するものは、第17代大江正路先生が研鑽され纏められたもので、二百年の年代的間隔によって技法そのものにも非常に近代化されたものと思はれる。
 即ち二百年前の技法は主として兵法を考えて、それぞれの場合に即応した或は即応し得る様に誘導した対敵技法であり、現代のものは全くその実用性の無い時代故、大江先生が古技法を守りつつ体育的現代感覚を多分に加味して創案し、存続せんとされたものであろう所に両者の全く異なる点がある。
 亦、古書の技法は身命を賭して必勝を期した体験的戦力としての技法であるが、現在のものは技法の末葉を形に重きをおいて、それぞれ異なるものを作為した形の領域を多分に保有する技法である。
現代技法に対する状況の明確化
 ・・現代技法に対する状況が余り明確でないものが間々有る故に、これ等の技法に対しても古書に基き明確化する事が必要であろう。
 岩田先生は、太田次吉先生の御弟子さん(土佐英信流の打太刀を勤められた中田敏之先生)から曽田本の写しを譲られ、古伝のご研究をされています。
 曽田本を手にされたのが遅すぎたと云える先生です。「土佐英信流旦慕芥考」などでは語ろうとして語り切れないままであったろうと思われます。

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