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2019年3月15日 (金)

曽田本その2を読み解く6長谷川流奥居合立業抜方6の11暇乞

曽田本その2を読み解く
6、長谷川流奥居合立業抜方
6の11暇乞
古伝神傳流秘書
抜刀心持之事
17本目抜打
18本目抜打
19本目抜打
(暇乞三本 曽田メモ):格の低き者に対する黙礼の時。等輩に対する礼の時。目上の者に対する礼の時。(曽田メモ)
 抜刀心持之事には(暇乞三本)は存在しません。曽田先生が「抜打」として付け加えたのではないかと思います。或は下村派の第14代下村茂市からの伝授かもしれません。証明のしようはありません。
 「抜打」の名称をあてています。「抜打」:歩み行中に抜打に切先に打心也。
 歩み行くので、現代居合の「暇乞」とは思えません。
行宗先生
長谷川流奥居合立業抜方
暇乞:存在せず
大江先生
長谷川流奥居合立業抜方
奥居合 立業の部
19番(11番 立業):(黙礼)(頭を下げ礼をする)正座し両手を膝の上に置き黙礼し右手柄に掛けるや刀を斜に抜き付け上段にて斬る。
暇乞
20番(12番 立業):(頭を下げ礼をする)両手を板の間に付け、頭を板の間近く下して礼をなし、両手を鞘と柄に同一に掛け直ちに上に抜き上段となり、前面を斬る。
暇乞
21番
暇乞(13番 立業):(中に頭を下げ右同様に斬る)(極意の大事 曽田メモ)両手を膝上に置き黙礼より稍や低く頭を下げて礼をなし、右手を柄に掛け刀を斜に抜き上段にて斬る。(止め)(立合終り)
 (之れは座業にて抜くべきものならん? 曽田メモ)。座業でしょうが、「止め」「立合終り」と云う事で長谷川流奥居合座業、立業の最後に大江先生は持ってきたのでしょう。
 暇乞の業は、古伝に無いのに一見有る様に曽田先生は抜刀心持之事の後ろの方に書き込んでいます。
 木村栄寿先生の「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流伝書集業手付解説」では「坪内清助長順 花押 右之通諸事手付不残令相伝者也 干時天保十二辛丑之年仲春 島村右馬亟(丞)殿」
 抜刀心持之事に暇乞に相当する抜打は存在しません。大江先生の独創に為るものだろうと思います。
 暇乞21番の曽田先生の添え書きに「極意の大事」と有ります。英信流居合目録秘訣の極意之大事一項目に「暇乞」の極意が述べられています。
 「暇乞:仕物抔を云付られたる時抔其者之所え行て四方山の咄抔をして其内に切べし隙之無のときは我が刀を取て又近日と立さまに鐺を以て突き倒し其侭引ぬいて突也 又は亭主我を送て出る時其透間を見て鐺にて突たおして其侭引ぬいて突くべし」
 大江先生の暇乞とは繋がる雰囲気は、動作からは感知しがたいものです。大江先生の19番目の暇乞を、考察する場合、状況の捉え方はいくつかあるでしょう。
一つは、黙礼するや相手の害意など無くとも、黙礼しながら体を起しつつ一方的に抜打ちする。
一つは、我が黙礼に合わせ乍ら、相手が一方的に斬り込んで来るので、刀を斜めに抜き上げ摺り落して打込む。
 この二つの動作は、20番、21番も同様でしょう。礼の仕方の浅いか深いかの違いに過ぎません。
 現代居合は頭の下げ様から、第22代池田先生の無雙直伝英信流居合道解説から
前提は、主命を帯びての上意討ちの際機先を制するものです。
暇乞その1:僅かに頭を下げて黙礼するや両手を刀に掛ける
暇乞その2:先ず頭をさげ、左手を着き上体を前に屈めつつ右手を着かんとして指先床に触れるや、その瞬間両手を刀に掛ける。
暇乞その3:両手を着き、最敬礼の要領にて頭が床に着かんとする処まで下げるや、直ちに上体を起こしつつ抜刀
 大江先生の暇乞は前提となる想定が不十分です。その上21番の順序は是で良いのか疑問です。
 暇乞は一方的な我からの攻撃で騙し討ちとされ、演武会での演武を現代居合の正統会ではご法度としていますが、上意討ちの際、相手の害意を察して機先を制するとしながら、騙し討ち、不意打ちは無いでしょう。
 礼の仕方の上中下に応じた抜打ちであり、「刀刃を左外に向け倒しながら右柄手を顔前を通して刀を己が上体の左外前方に抜き懸ける」、とされていますから、相手の斬り込みが早くとも摺り落せる技法を述べられています。
演武会での演武まかりならぬなど、あり得ぬものでしょう。
大江先生は特別に暇乞として「剣道手ほどき」の長谷川流奥居合の最後に置かれていますが、大森流の抜打、英信流居合立膝の部の真向によって抜打は稽古されています。
暇乞の状況下での礼の際の運剣法としてそれらの替え業に過ぎません。
細川義昌先生の系統の梅本三男先生、居合兵法無雙神傳抜刀術より
英信流 奥居合之部
20本目
抜打(対座して居る者を斬る):正面に向ひ対座し、刀を鞘なり前腹へ抱へ込む様に横たへ両手を前につかへ、頭を下げ礼をして俯きたるまま、両手引込め鯉口と柄へ執り、急に腰を伸しつつ、刀を右前へ引抜き刀尖を左後へ突込み、諸手上段に引冠りて斬込み、刀を開き納めつつ、両足の踵上へ臀部を下すと共に、納め終り、爪先立てたる足先きを伸し正座して終る。
 是は明らかに暇乞の運剣です。細川先生は、第14代下村茂市からこの抜打を伝授されていたのでしょう。大江先生も独創では無く伝授されていたものを伝えていたのかも知れません。
 しかし、それは江戸時代後期の替え業に依るもので、第9代林六太夫守政が土佐に持ち込んだ神傳流秘書の抜刀心持之事とは異なるものです。
「格を放れて早く抜く也 重信流」の「格を放れて」の教えに依るのかも知れません。

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