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2019年3月21日 (木)

曽田本その2を読み解く8英信流居合の形8の1出合

曽田本その2を読み解く
8、英信流居合の形(大江先生独創)
8の1出合
参考
古伝神傳流秘書
太刀打之事(鞘木刀也 立合之事也)
1本目出合:相懸りにかゝり相手より下へ抜付るを抜合せ留めて打込相手請る右足也
大江先生(曽田本その2曽田先生剣道手ほどきより写す)
英信流居合の型
1本目
出合:(立姿)(納刀)打太刀は柄に手をかける、仕太刀も打太刀の如く柄に手を掛け、双方体を少し前方に屈し虎走りにて五尺の距離に出て、右足を出したる時、膝の処にて打は請け、仕は抜打にて刀を合す、仕は直に右足左足と一歩摺り込み、上段より真直に打ち込む、打は左足より右足と追足に退き刀を左斜にして受け、仕は二歩退り打は二歩出て、中段の構となり残心を示す、之れより互に五歩退き元の位置に帰り血拭ひ刀を納む
 古伝太刀打之事の一本目は「出合」です。大江先生の英信流居合の型の一本目も「出合」。
 同じ業名である事は、大江先生の守備範囲から想定すれば古伝の太刀打之事を以前に見知っていて、土佐の居合の形を取り入れつつ改変したものと推定できます。
 古伝は抜けだらけですが、武術の素養さえあれば動作は出来るものです。大江先生は稍々丁寧な手附ですから古伝とポイントを探ってみます。
1、
双方:刀を鞘に納めて立ち合う。
2、
大江先生:相懸かりに虎走りの要領で、柄に手を掛け、稍や腰を屈め、小走りにて数歩進み出る。 
古伝:相懸りに、立って向へ(双方相向かい合って)つかつかと行く(抜刀心持之事虎走りでは腰を屈めつかつかと行く)
3、
大江先生:右足を出したる時、膝の処にて打は請け、仕は抜打にて刀を合わす。この文章は意味が読み取れません、無理に考えれば、打は膝の処で請けていますから仕が抜打ちに打の膝に抜き付けたので打に受け止められた、と読む事も出来ます。
もう少し突っ込んで想定し「仕は抜打にて刀を合す」を強調すれば打が先に抜いて膝に切り込もうとしてきたが、仕は機先を制して打の膝に抜き打ったが打に請け止められた。となりそうです。
 どちらにしても、打に受け止められて刀をあわせることになって、是は相打ちでは無いと云う事です。
古伝:「相手より下へ抜付るを抜合せ留めて」ですから、明らかに打が先制攻撃し抜き付けて来たので仕は受け止めた、大江先生と逆の動作となっています。打ち込まれた部位は「下」です。
4、
大江先生:「仕は直ぐ右足左足と一歩摺り込み、・・打は左足より右足と退き」ですが、仕は右足を踏み込んで打に抜き付け刀を合わせているならば、右足から摺り込むのは、打が先に退いてくれないと難しい、一般的には、左足を右足に引き付け相手を圧して右足を踏み込むのが良さそうです。
古伝:「留めて打込む」仕は打の切り付けを受けていますから、即座に反撃に移る必要があります。相手の刀を摺り上げながら摺り込み、追い込んで打ち込むとも読めます。
5、
大江先生:打は後足の左足から半歩下がり、右足を追い足に引いて、仕の打込みを「刀を左斜にして受け」ています。
 この文章から「刀を左斜」とは、切先が左であるべきでしょう。見ていますと大方柄を左に切先は右斜め上です。何処で変わったのでしょう。
古伝:打は仕の打込みに「相手請る右足也」ですから左足右足と追い足で下がり右足前で「請る」でしょう。請け様は指定せずです。相手の打込みが充分読めていれば、切先左に刃を上左手を物打ち下に添えて顔前頭上で請ければ、其処から反撃も可能でしょう。
参考
曽田本その2の曽田先生記述
業附口伝
太刀打之位
1本目出合:是は互に刀を鞘に納めて相懸りにてスカスカと行、場合にて右の足を出しさかさまに抜き合せ、敵引く処を付込みて左足にてかむり右足にて討也、此の時敵一歩退き頭上にて十文字に請け止むる也、互に中段となり我二歩退き、敵二歩進み改めて五歩づつ退く也納刀。
 業附口伝は河野百錬先生の昭和13年発行の「無雙直伝英信流居合道」の第五節居合之形之部にあるものと同じ文面になります。曽田先生の書写された業付口伝を記載したもので「以下記し所は當流古伝傳の略述にして文責筆者に在り}とされています。曽田先生に敬意を払っていると思われます。
 昭和30年発行の「無双直伝英信流居合兵法叢書」には古伝神傳流秘書が全巻記載されこの業付口伝は先に発行した「無雙直伝英信流居合道」以外に在りません。
この業附口伝の出合
1、
互に刀を鞘に納め
2、
相懸りにてスカスカと行であって、虎走りの走り込みはしていない。
3、
さかさまに抜き合わせる、この文章は意味不明ですが、古伝から類推すれば双方刃を下に向け膝に抜き付けるのでしょう。
4、
敵引く処を打込む、仕は左足を踏み込み上段に冠リ、打が退く処を、右足を踏み込んで打ち込んでいます。
5、
相手頭上にて十文字に請け止むる。刀で刀を受ける場合十文字請けと云われますが、刀の運用は様々です。
 ここは、敵は、相打となった抜き付けから、直ぐに間を切って退いています。仕の打込みを予測すれば、刃を上に、切先を左に左手を物打ち下に添え、顔前頭上で十文字に請けるべきでしょう。
 この十文字受けは、次の打の反撃が予測されるものとなります。
 次いでですが、左手を添えた十文字受けの左手の添え方は、左掌を斜め左前で上向けにし、拇指は内側にして、相手側で人差し指の付け根に刀の峯を当て、小指下の膨らみにも峯が当たる様に掌で刀の峯を支える心持で添えるべきでしょう。
 拇指と人差し指の股で支えるべきものではありません。多くの教本が拇指と人差し指の股に刀の峯をのせて添わせていますが、上段からの斬撃は強く真剣でやるべき事とは言えません。
 尚、詰合などの組太刀では十文字受けした刀を摺り落して詰める展開が見られ、この出合でしっかり稽古しておくべきものです。
 従って大江先生の、意味不明ですが「刀を左斜」にして受けるだけの応じ方は進められるものではありません。
 打はあくまでも仕を導く上位者であるべきでしょう。かつて師匠に習ったからなどと云っている人が居ますが、現代居合の師匠ですか・・組太刀の精通者に出合ったことがありませんのでそこに拘るのはどうでしょう。
 もう一つ、仕の打込みに打が後ろへそっくり返って受けているのを見る事があります。いくつかの教本に見られますが、ありえない、あってはならない動作でしょう。
 そうならない体裁きが打に在るべきもので、組太刀の一本目に意味不明な踊りを踊っていてもおかしいだけです。
 打に受け止められて力押しで押しつぶす様にするのですか、いい加減に可笑しなチャンバラはやめたいものです。

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