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2019年3月 6日 (水)

曽田本その2を読み解く6長谷川流奥居合立業6の3惣捲り

曽田本その2を読み解く
6、長谷川流奥居合立業抜方
6の3惣捲り
参考
古伝神傳流秘書
抜刀心持之事
13本目
五方切:歩み行内抜て右の肩へ取り切又左より切又右より切又左より切段々に切下げ其侭上へ冠り打込也
 現代居合の惣捲りは古伝の五方切が相当します。
 曽田本その2で紹介した、英信流居合目録秘訣の外之物ノ大事に「惣捲形十」と云う教えがあります。
 「惣捲形十:竪横無尽に打振て敵をまくり切る也故に形十と有也、常に稽古の格には抜打に切り夫より首肩腰脛と段々切り下げ又冠り打込也」
行宗先生
長谷川流奥居合立業抜方
15本目
惣捲り(五方切):惣まくり、五方切りとも云う
大江先生
長谷川流奥居合立業抜方
11本目
惣捲り:(進行中面、肩、胴、腰を斬る 五方切共云う)右足を少し出して刀を抜き、其の足を左足に退き寄せ、右手を頭上へ廻し右肩上に取り左手をかけ稍中腰にて(右足より左足と追足にて)敵の左面を斬り、直に左肩上に刀を取り追足にて敵の右肩を斬り、再び右肩上段となり敵の左胴を斬り、再び左肩上段より右足を踏み開き敵の右腰を目懸け刀を大きく廻し体を中腰となして敵の右腰を斬り、中腰の侭上段より正面を斬る。
 行宗先生の惣捲りは業名称だけで内容がありません。大江先生の惣捲りと同じと云う事でしょうか、不明です。
 大江先生の惣捲りは、左面・右肩・左胴・右腰と切り下げます。
この際刀の振冠りと斬る部位は次の様です。
右肩上(右八相)から左面
左肩上(逆八相)から右肩
右肩上段(?)から左胴
左肩上段(?)から右腰
上段から正面
右肩上段の意味が解りません。
現代居合ではどうなっているでしょう。
池田聖昂先生の無雙直伝英信流居合道解説より
剣理:対敵、正面より斬り込み来るを、我れ抜刀しつつ一歩退きて敵刀を摺り落しつつ双手上段となり、対敵の退く処を左面、右袈裟、左胴、腰車、と追撃して勝つ意なり。
術理の注に、敵の切り込みに応じる池田先生の業の心持ちが伝わります。読ませてもらいます。
「本業を、単に前進し来たれる敵が我に斬り付け来るに対応して行う如くに解される向きも多きも、私は、対敵と互に前進し間合いを計りて互に斬り合わんとするに、一瞬敵の作動早き為、我刀を物打ち手前迄しか抜けず、抜き放つに放てず、故に我一歩退りながら敵の斬り込み来る刀を摺り落とす事により、敵の先の先を取らんとする気構えが必要な業にして、初めから後の先を取らんとする業に非ずと考える」
 この、想いはご自分で考えた事を書かれているもので、業の動作の奥にあるものを意識する、考える居合を教えていると思います。
 この教本は居合だけでなく剣術を学ぶ者が充分読み込んでみるべきものと思います、これ以上に克明に業の有り方を示された教本には他流も含めお目にかかった事はありません。
 さて、大江先生の不十分な教本の内、池田先生はどのような構えから何処を斬っているか見て見ましょう。
双手上段から左面
双手上段から右袈裟に斬り付け(敵の右肩から左胴へ)
双手上段から左胴
双手上段から腰車から腰を斬り払う
双手上段から真向
 全て双手上段からの作動となります。この刀の操作法は帝国剣道型の運剣法に依ったものと思われます。
 左面を斬るのに上段から八相に左面に斬り込むわけで、大江先生のように、右肩上に八相に構えて其の侭切り込めばいいと思います。
 二本目の右袈裟なども同様でしょう。
 三本目などは、双手上段から左胴を斬るですが、体を正面に向けたまま上段から左胴を切っても手切りになりかねません。
 古流剣術の体を替え乍ら斬る動作は、竹刀剣道も現代居合も忘れてしまった斬撃動作です。古伝を学ぶ者はもう一度初歩から学ぶ必要が有る所でしょう。
 とは言え、昇段審査や演武競技では現代の直線歩行の上段からの斜め斬りを演じざるを得ません。
次回は、細川先生の五方斬を勉強して見ます。
 
 

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