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2019年3月 9日 (土)

曽田本その2を読み解く6長谷川流奥居合立業抜方6の5信夫

曽田本その2を読み解く
6、長谷川流奥居合立業抜方
6の5信夫
参考
古伝神傳流秘書
抜刀心持之事
11本目
夜ノ太刀:歩み行抜て体を下り刀を右脇へ出し地をパタと打って打込む闇夜の仕合也
行宗先生
長谷川流奥居合立業抜方
14本目
信夫(闇打 夜太刀):切先を床につけ敵をおびきて切る
大江先生
長谷川流奥居合立業抜方
13番目
信夫(闇打ち 夜ノ太刀):左足より右足と左斜方向に廻りつゝ、静に刀を抜き、右足の出たる時、右足を右斜に踏み、両足を斜に開き体を稍右横へ屈め、中腰となり、其刀尖を板の間につけ、左足を左斜に踏み込みて上段より真直に斬る、其まゝ中腰の体勢にて、血拭ひ刀を納む。
 行宗先生の手附は相変わらず無に等しい。是は大江居合と同じと云うつもりなのか意味不明です。
 大江先生の手附は判りにくい動作の仕方です、正面に向って歩みつつ、左足を正面斜め左に踏み出し爪先を正面に向け、其の左足の前に右足を正面に向けて踏み出しながら、静かに刀を抜き出し、右足を右斜めに踏み出して、「両足を斜に開」とは右足先は斜め前向き、左足先は正面向きの足踏み状態を云うのでしょう。体は斜め右半身です。その状態から中腰になってやや右に体を開き、刀の先を板の間に付け、左足を左斜め前に踏み込んで上段となり、真っ直ぐに斬り下ろす。「左足を左斜に踏み込みて」は何処かおかしい、相手の位置が想定されていませんので、足踏みの方向がおかしくなって何処を切ったのか、不思議な手附です。
 現代居合から、右斜めから斬り込んで来る敵を斬ったのだろうと推察するのですが、困ったものです。是では大江居合のバブルにはなり得ない。
 無双直伝英信流の夫々の指導者が勝手な想定をしていじくりまわすのもやむおえません。
 古伝の地をパタと打つ動作は、現代居合では闇夜で敵を認識できない、敵の存在を感知して、先ず左足を進行方向から外して、敵の攻撃を避け、我が存在場所を地をパタと打った位置と思わせ、斬り込んで来る敵に上段から斬り込む。何ともあやふやな業となっています。
 英信流居合目録秘訣の夜之太刀に「夜中の仕合にわ我は白き物を着るべし、敵の太刀筋能見ゆるなり、場合も能知るゝものなり、放れ口もなり安し・・。と云い却って目立ち相手の状況も見やすいと云っています。是も彼我ともの白い着衣ならいざ知らず、おかしいな教えです。現代では、かなり人里離れて灯りも無く、月や星も無い、ありえない真っ暗闇などなかなかないようです。
 しばらく、闇に目を慣らせば大方見当がつく状況でしょう。
細川義昌先生の系統の梅本三男先生の夜之太刀を居合兵法無雙神傳抜刀術から勉強して見ます。
英信流 奥居合之部
14本目
夜太刀(暗夜に斬込み来る者を斬る):正面に歩み往き止まりて、左足を左へ大きく披き、体を右へ倒し低く沈め、正面より来掛かる者を透し見つつ刀を引抜き向ふへ突出し、刀尖で地面を叩き、その音に斬込み来るを、急に右足諸共体を引起しつつ諸手上段に冠り、(空を斬って居る者へ)右足踏込んで斬込み刀を開き納め終る」
 大江先生と似たようなものですが、相手の状況や方向性が読み取れ、動作はこのほうが演じられます。
 恐らく江戸時代末期の夜太刀はこの様な業であったであろうと思います。然し古伝神傳流秘書の「・・刀を右脇へ出し地をパタと打って打ち込む」のは、相手も我が存在を感知して状況がつかめているが、抜き打つきっかけがつかめない時、「パタ」と地を打つ音に触発され打込む体制を整え其の機を発せさせることがこの夜ノ太刀の教えであろうと思います。
 古伝神傳流秘書に大剣取と云う組太刀があります。現在は之を打たれる方は極稀で知らない高段者も多々あります。
 其処にある、4本目鉄石:是も前の如く坐し是は廻り寄りて切らんと心得て抜かざる時、行なりに小太刀にて地をハタと叩いて気をうばうて入りてさす」
と云う、形では無い武術の奥義を示した業が存在します。
 我が相手の切り間に入っても、直ぐに斬って来ない、それ以上近寄れば斬られる可能性が高い、其処でハタと地を打ち、その瞬間に踏込み抜き手を制して、刺突する。ハタと叩いてももたもたして居れば脛に打ち込まれてしまいます。

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コメント

夜道を歩いて来る敵を物陰で待ち伏せし、横を通り過ぎし時、後ろからそうっと近付き、忍ぶ「信夫」の所作にて敵の左斜後ろより身を屈め、地面をトントンではなく敵の両足首をトントン拍子で薙ぎ切り、敵よろめいたところを前方踏み込んで斬り倒す。
如何に夜道とはいえ、歩いている以上、少しは夜目で見えているはずであるし、前方の敵の気配は分かりますから、手付の近間で筋を外してトントンしたところに切り込んで来るというのは荒唐無稽。
形に見えない教えの一つとして、上記想定です。 
敵が後ろに気配を感じて、振り返った刹那、我は敵の左後方に身を屈め、一瞬視界を外してますので、比較的容易に足を攻撃します。


一雲さま
コメントありがとうございます。
古伝では抜刀心持之事の「夜の太刀」が信夫に相当します。
「歩み行抜て体を下り刀を右脇へ出し地をパタと打って打込む闇夜の仕合也」
と云っています。
 現代でも、明かりの無い処では真っ暗闇と云うのはあるかもしれませんが、古伝の奥居合は「格を放れて早く抜く也」ですから手附や決まった形に捉われずにさっさとやりなさいと云っています。
 しかしそれは、伝承するものとは言えず自分だけのものとしておけばいいのだろうと思います。
 現代居合は、明治時代の第17代大江正路
の居合を伝承しているのですから「かたち」はそれでいいのでしょう。
 それからの「守破離」は自由ですよね。
      ミツヒラこと松原昭夫

投稿: 一雲 | 2019年3月 9日 (土) 22時56分

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