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2019年4月13日 (土)

曽田本その2を読み解く10英信流太刀打之位10の5月影

曽田本その2を読み解く
10、英信流太刀打之位
10の5月影
参考
曽田本その1
古伝神傳流秘書
太刀打之事
5本目
月影:打太刀冠り待所へ遣方右の脇に切先を下げて構へ行て打太刀八相に打を切先を上て真甲へ上て突付て留め互に押相て別れ両方共車に取り相手打をはづす上へ冠り打込み勝
曽田本その2
業附口伝
5本目
月影:(仕下段、打八相)是も同じく抜て居るなり、相掛りにても敵待ちかけても不苦、敵八相にかたきて待ちかくる也、我は太刀先を下げてスカスカと行也場合にて敵八相に打処を出合て互に押合又互に開敵打込む処を我左足を引き立ち直りて打込み勝也
(我左足を引きたる為め敵空を打ちたるを我すぐにかむりて敵の真向に打込也、体互に開きたる時は脇構の様になる也)
 古伝は打「冠り待」ですから上段だろうと思えますが、仕「右の脇に切先を下げて構へ行」時、打は「打太刀八相に打」ので、上段から八相に取るか、八相に初めから構えるかでしょう。時代背景から上段よりも八相の方が良さそうです。
 仕の構えは右下段でしょう、切先を右足前に向け下段に構える。
 仕の左面から左肩が開いているので打は右足を踏み込み左面に切り込んで来る、仕は切先を上げて打の真向に突き上げるようにして、打の刀を摺り留め互いに拳を合わせて押合い、双方右足を後方に退いて左身になって車に構える。
 仕は左膝に誘う様にし、打は透かさず、車の構えから右足を大きく踏込み仕の膝に斬り付ける。
 仕は左足を右足に引き付け打に空を打たせ、上段に振り冠り右足を踏み込んで打ち込み勝。
 打は仕の膝に体を低くして斬り付ける際車の構えから上段に振り冠らずに切り込むのが古流剣術でしょう。仕は左足を退くと同時に刀を右から引被る様に上段に取り、体を立て直そうとする打の真向に打込むのが良さそうです。
 業附口伝は、打は八相の構えから仕の左面を打って来る、仕は下段から切先を上げて突き上げ摺り込み刀を合わせ、押し合い、互に車に構え後は古伝と同じでしょう。
 此の業を演じるに当たり、打は八相から上段に構え直し、仕も下段から上段に構え直し双方拝み打ち、中間で物打を合わせるなど、おかしな事を何故するのでしょう。
 八相から上段に振り冠る間に、下段から刃を返して左小手を斬る事も出来そうです。八相の構えから仕の左面か左肩に斬り付けるべきでしょう。
 仕も下段から上段に構え直す間に打に切られそうです。
参考
大江先生の英信流居合の型
五本目
鍔留に状況は同じです。
鍔留:・・打太刀は中段となり、仕太刀は下段となる、互に右足より三歩出で、打太刀は右足を左足に引き上段に冠り真直ぐに打下し、仕太刀は右足を左足へ引き上段となり、右足を出して打下して互に刀を合す、仕打鍔元を押し合ひ双方右足を後へ引き左半身となり、刀刃脇構として刀尖を低くす、打太刀は直ぐに上段より右足を踏み込み仕太刀の左向脛を切る、仕太刀は左足を充分引き上段となり空を打たせ上段より頭を斬る、・・・。
 この手附は、何故そうするのか不思議です。打中段、仕下段で三歩相進み、其処で右足を左足に引き付けて上段に双方ともなっています。
 打はそのまま真向に打ち下す、仕は右足を出して打下します。此の無駄な動作と打の足捌きは文章の抜けでしょうか。
 中学生に真向相打ちの意味を教えていたのか疑問です。古伝も業附口伝も打が八相に切って来るので真向打ちでも刀を合わせられますが、これはどうでしょう。
 打は切先を低くした脇構えから上段に冠って、中腰となり上体を前に流して仕の左足を斬りに行く・・。仕も脇が前から上段に冠って打の頭を斬る。
 ギッタンバッコンですね。大江先生の英信流居合の型は、古伝を勉強して見直す時期に来ているでしょう。
第19代福井春政先生直伝
嶋専吉先生の無雙直伝英信流居合術形乾
5本目
月影:姿勢及構へ仕下段、打八相、共に立姿勢
業、八相に構へて互に前進、間合を取り(此場合稍々間合を近くとる)、打太刀はっそうより仕太刀の頭上に打込み来るを仕太刀之に応じて同じく打合はせ拳が行き合ふ瞬間鍔元にて押し合ひ更に双方右足を大きく退きて稍々左半身に体を開き剣尖を低くして脇構へとなり続いて打太刀は右足を一歩踏込み上段より仕太刀の左股に斬り込むを仕太刀充分に左足を退きて空を打たせ、立直りて右足を一歩踏出し上段より打太刀の頭上に打下す。 
 刀を合せ互に五歩退き血振ひ納刀。
業附口伝の打ち合いと同じでしょう。脇構えの切先を低くする竹刀剣道の脇構の形は昭和17年ですから大日本武徳会指導による大日本帝国剣道形に従わざるを得なかったでしょう。第19代の打の脇構えから仕に切り込む部位が「左股」です、是は上段から右足を踏み込み切り込むのです。
 この流の業技法は一人の指導者によって左右されてきました、技術委員会など立ち上げて正しい業技法を検討しなければ古伝との乖離は我慢できても対敵意識の乏しい演舞では何処をさ迷うのか疑問です。
 とは言え帝国剣道形も委員が集まって検討したとはいえ、結局大家によって力押しされたと思います。

 

 

 

 

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