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2019年4月 9日 (火)

曽田本その2を読み解く10英信流太刀打之位10の1出合

曽田本その2を読み解く
10、英信流太刀打之位
10の1出合
参考
古伝神傳流秘書
太刀打之事
1本目
出合:相懸りにかゝり相手より下へ抜付るを抜合せ留て打込相手請る右足也
曽田先生
業附口伝
太刀打之位
1本目
出合:(仕打相納刀)(詰合の発早の立業)是は互に刀を鞘に納めて相掛りにてスカスカと行、場合にて右の足を出しさかさまに抜き合せ敵引く処を付込みて左足にてかむり右足より討込也、此の時敵一歩退き頭上にて十文字に請け止むるなり、互に中段となり我二歩退き敵二歩進み更めて五歩つつ退く也納刀
 曽田本その2は前回までが詰合之位でした、古伝は太刀打之事、坂橋流之棒が13本あって詰合です。古伝の順番は、詰合は「重信流也、従是奥之事、極意たるに依って格日(確実)に稽古する也」と前書きしています。
 曽田先生は、詰合之位は座しての組太刀打から太刀打之位が後であるべきだろうとされたのかも知れません。
 是は、大江先生の英信流居合の型1本目出合の元の業でしょう。
参考
大江先生
英信流居合の型
1本目
出合:打太刀は柄に手を掛ける、仕太刀は打太刀の如く、柄に手を掛け、双方体を前方少しく屈め、虎走りにて五尺の距離に出て、右足を出したるとき、膝の處にて打は請、仕は抜打にて刀を合す、仕太刀は直ちに、右足左足と一歩摺り込みて上段より真面に打ち込む、打太刀は左足より右足と追い足にて退き、刀を左斜にして受ける、仕太刀は二歩退り、打太刀は二歩出て、中段の構へとなり、残心を示す、これより互に後へ五歩づつ下り元の位置に帰り血拭ひ刀を納む。
*
 古伝は、やるべき事をサラッと書いてあるだけで、後は口伝口授だったのか、口伝口授されたものをポイントの覚書にしておいたのか、いずれにしても後は自分で考えて行動しろと云うのでしょう。
 曽田先生の出合は古伝の抜けを補って動作を詳細に指定しています。
 納刀したまま双方歩み寄り、間境で刀を下に抜き出し右足を踏み込んで抜き付け相打、打が退くところを左足を進めて付け込んで振り冠り、右足を踏み込んで打の真向に斬り込む、打は左足を退いて右足を追い足に仕の打込みを頭上で十文字受けする。
 古伝は打が先に下へ抜き付けて来るので、それを受け留めています。この動作は指定されていませんから、間境で打の抜打ちを察して打込まれた瞬間右足を踏み込み斬り付けるように受け止めるのも、左足を退いて受け止めるのも状況次第です。この「おおらかさ」が稽古業です。
 大江先生は、双方虎一足の様に走り寄るのです。この動作は何をイメージしたのでしょう。其の上仕が先に切り込み打が受けるとしています。この抜き付けは見た事がありません。忘れられたのでしょう。走り寄る処はしっかりと残っています。「突撃」の合図で突進していく日本兵を思い描いて嫌な気分にさせられます。
 何れにしても先に切り込ませて請ける、請けるや間を置かず左足を前に進めて打を圧する、打が態勢を立て直さんと引く処に着け込むのか、請けるや打を圧して崩し真向から切り下すのか、打の刀を摺り上げて崩すのか、幾通りも出来るものです。
 業附口伝に捉われると、動作は限られ、相手の動作の順番待ちをしたりして、それでは形を追うばかりです。
 江戸時代末期に防具を着用し、竹刀で仕合稽古に慣れた者に、この様な形ばかりの剣術流派は打ち負かされてしまい、形稽古をそこそこに仕合稽古転じて行ったのも頷けます。
 十文字受けの方法がなにも指定されていません。刀で刀を請けるには、原則としては、相手の切り込む刀の刃を我も刃で請ける。バッテンの状況で請ける事を十文字受けと云います。
 打は仕に摺り上げられても、自分で上段に冠るとしても、右片手で相手の膝に斬り付けていれば左側から冠るでしょう。
 請け太刀の形は、左手を物打付近に添るか、左から冠りながら相手の打ち込む刀をはねてしまうか、切先を右斜め上に向けて請けるか、でしょう。此処は左手を物打附近に添えて十文字受けするのが良さそうです。
 請けられる余裕があるならば、反撃の機会を持てる受け太刀は有効です。その以前で打の振り冠るのが早く斬り込まれそうならば、仕はどうする・・・。
第19代福井春政先生の直伝
嶋専吉先生の無雙直伝英信流居合術形乾
太刀打之位
1本目
出合:姿勢及び構へ、仕太刀、打太刀共に刀を鞘に納めて帯刀のまゝ互に約九歩を距てゝ立姿にて相対す
業、帯刀のまゝ柄を把りつゝ相掛りにてスカスカと前進(「互に三歩前進」とせるもあり)、間合いにて右の足を踏出すと共に互に相手の右足に斬付くる心にて剱尖を下方に抜き合す。
 続いて打太刀退くところを仕太刀附け込み左足を右足に進めて振り冠り更に右足を一歩踏込みて上段より打太刀の面を打つ、このとき打太刀は一歩体を退き(右足を軽く退き更に左足を退き)仕太刀の刀を頭上にて剱尖を右方に十文字に請け止むるなり。
 次で互に中段となり静かに刀を合はせつゝ打太刀小幅に二歩前進、仕太刀二歩後退して中央の位置に就き更めて各五歩(退歩は歩幅狭きため五歩となる)退き血振ひの上、刀を鞘に納む。
 曽田先生の業附口伝による動作を更に詳細にしています。指導者が第19代であれば太刀打之位は形が固定化されてしまい演武の催し物の武的演舞は必然的に固まるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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