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2019年5月30日 (木)

曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の4居合術業書正座之部3左

曾田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の2居合術業書 
正座之部3左

 正面より左に正座し、例によって抜き掛けつゝ爪先を立て、左膝頭を中心として動作に移り、右に廻り正面に向ひて刀を右足を踏み込むと同時に抜き放ち、更に雙手上段に真向に割付け血振り刀を納むる事同前(此場合の動作は右の場合と反対の動作なり)

 此処で大江先生の居合を「剣道手ほどき」大正7年1918年と対比してみます。このスクラップは第18代穂岐山先生の指導に従って河野先生がメモしたものとされています。剣道手ほどきは、大江先生と堀田捨次郎先生共著と云う事ですが、大江先生は監修されたかどうか疑問です、現代の大江流無双直伝英信流の最も古い手附になります。
 参考に一本目前、右、左の三本を読んでみます。
1番前
 我が体を正面に向け正座す、右足を出しつつ刀を抜付け前の敵首を切り更に上段になり同体にて前面の頭部を真直に切り、血拭ひ刀を納む。

2番右
 我体を右に向け正座す左足を出しつつ右敵首を切る心組みにて抜付け、同体にて上段となりて前面真直ぐに敵の頭を斬る。此左足を出したる時は右足の膝にて左へ廻る意を以て右足に体の重心を乗せ、左足を軽く出す事に注意すべし、血拭ひは一番と同じ要領にて行ひ、左足を後部へ引き刀を納むる事。

3番
 左に向きて正座し、左足膝にて右へ廻り右足を出して首に抜付け上段に取り、直に頭上に斬り下す、血拭ひは右足を後方に引き刀を納む。

 筆者は堀田捨次郎先生ですから、土佐の居合の伝書は見た事も無いのではないかと思われます。大江先生の業を見ながらメモを取って纏められたと思います。手附の表現の仕方がスクラップと違う様な気がします。

 細川義昌先生系統の梅本三男先生の居合兵法無雙神傳抜刀術昭和49年1974年の大森流之部3、右刀を読んでみます。
3、右刀(右側に座して居る者を斬る)
 正面より左向きに正座し、例により鯉口を切り、右手を柄に掛け刀を抜きながら右脛を立てつつ左膝頭で右へ廻り正面へ向くなり右足踏込んで(対手の右側面へ)抜付け、左膝を前へ進ませつつ刀を左後へ突込み右諸手上段に引冠り、更に右足踏込んで斬込み血振ひして刀を納め終る。


 「剣道手ほどき」に見られる様に大江先生は、古伝神傳流秘書による或は下村茂市の教えも無視して業名称も想定もいじってしまったのでしょう。古伝神傳流秘書の大森流居合之事3本目は「右刀」です。梅本先生の手附と同じ業名となります。大江先生は左右入れ替わって「正座之部 左」です。
 古伝神傳流秘書大森流之事右刀「右足を踏み出し右へ振り向抜付打込血震納る」

 谷村派第15代谷村亀之丞自雄による英信流目録大森流之位右刀「是は左脇へ向いて坐する也、右へ廻り右の足をふみ出し抜付すぐに討込血ふるひの時左の足を右に揃納る時右を一足引納る也」
 
 この谷村亀之丞自雄による手附が、大江先生の頭の中にあるのかも知れません、それは右刀と題しながら「左脇へ向いて坐する」という一節から、敵は我が右脇に居るが、演武では正面左に向いて坐りなさい、そうすれば右脇に敵が居る事になる、というわけです。谷村亀之丞自雄の英信流目録は嘉永5年1852年に書かれています。明治維新まであと16年、江戸末期には土佐の居合も対敵意識が薄れ稽古業として武的演舞になりつつあったのかと、ふと思ってしまいます。
 

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