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2019年5月11日 (土)

曾田本その2を読み解く17居合の伝書開巻第一に

曾田本その2を読み解く
17、居合の伝書開巻第一に
 「居合とは人に斬られず人斬らず只請け止めて平らかにせよ」
とあるも、正義人格平和を第一義諦としたことが分明する。
 日本刀が真に日本刀として武士道を発揮するも凶器として武士道を汚すも此の根本相違からである。
 居合の特徴は実に我が武士道の表徴とも謂うべき日本刀を以て錬磨するところにあって、日本刀は単に之れを見るだけにても精神修養となる、まして之を帯して或は座し又は立て進退撃刺の状をなすにおいておや。
 居合は運動の方面より見るも、自身の筋肉を働かし厳寒の時と雖も15分乃至20分の練習を行ふ時は流汗淋漓の有様で、近時人情浮華に流れ質実剛健の風を払ひ利を見て義を顧ず、或は軽佻詭激(けいちょうきげき)の言旨、道の基礎を危からんしめんとする時、日本刀を揮て心身の鍛錬をすることは確に時世に鑑み一種の清涼剤たらざるを得ないのである。
 「抜かば斬れ抜かずは斬るな此の刀只斬ることに大事こそあれ」
 居合の伝書を開くとまず一番先に「居合とは人に斬られず人斬らず只請け止めて平らかにせよ」とある。と云っていますがこの伝書とは何を指すのか解りません。
 曽田本その1の古伝神傳流秘書の開巻第一は抜刀心持引歌から始まります。その一首目は「帆を懸て急ぐ小舟に乗らずとも行水鳥の心知るべし」でした。
 巻末の居合兵法の和歌では一首目は「居合とはへちまのかわの段袋すっかりとしてみはどっちやら」から始まり、三首目に「居合とは人に切られず人切らず唯請とめて平にかつ」と出てきます。
 この曽田本その2は、何時書き込まれたものか明確には判りませんが、昭和の初めころから21年頃に書かれたものだろうと思います。曽田先生派昭和20年に高知空襲で家も家財も焼かれこの書き込んだ覚えを大切に抱えて土佐を出ている様です。昭和25年に逝去されています。
 この項を読んでいますと、何時の時代にも真摯に居合に取り組んだ者が他人に抱く違和感を曽田先生は感じておられた様に思います。然しそれは、真摯に取り組んだ人に課せられた己自身へのものであろうと思います。

 

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