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2019年6月 4日 (火)

曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の4居合術業書正座之部8附込

曾田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の4居合術業書
正座之部8、附込

 正面に向って正座し、例に依りて抜き掛けつゝ右足を右前斜に踏み出し、立上り様刀を右前斜に引抜き(抜き払はぬ事、踏出したる右足を引き左足に踏み揃へ)正面より切込み来るを後に引きはづすと同時に、大きく雙手上段に左より振冠り右足を踏み出して高く切り込み、左足を前に継足すると同時に又雙手上段に冠り、右足を踏み込みて腰を下げ、低く切り下し、左足を前に踏み揃へ右足を後に一歩引きつゝ上段に冠り、右足を跪きて刀を前に静かに下し、(残心の意)右手を逆手に取り替へて血拭し、左手を鯉口に取り刀を振返して納め終る(此場合右手を逆に取り替へたる時、左手は鍔元を下より受けるが如くし、右手拳を右に返し刀刃を前に向け、左手腹にて棟をすらす)。

 「抜かけつゝ右足を右前斜に踏み出し」の意味がわかりません。敵は「正面より切込み来る」ならば筋を替える積りの足踏みかと思いましたら「踏出したる右足を引き左足に踏み揃へ」るそうです。それでは筋は変わりませんから、右足は正面に踏み出すので良い筈です。
 もう一つ腑に落ちない動作は「立上り様刀を右前斜に引抜き(抜き払はぬ事・・)」正面より敵が斬り込んで来るので立ち上がり様に右足を引いて「後に引きはづす」のですから、刀は上に抜き上げなければ、右前斜に引抜いたならば小手か柄に切り込まれてしまいます。
 右足を右前斜に踏み出し、刀を右前斜に引出し、敵を牽制しつつ引付るならば何とか納得します。小細工の意味を述べるべきでしょう。

 大江居合「剣道手ほどき大森流居合附込」を読んでみます。この附込は古伝神傳流秘書は「逆刀」です。大江先生は附込(俗に追切)と云っていますが、俗です。
 「正面に向いて正座す、右足を少しく前に踏み出しつゝ、刀を抜き、刀尖の鞘に離るゝ時頭上に冠り、右足を左足に引き揃へ、直立体となり、右足より左足と追足にて前方へ一度は軽く頭上を切り、二度目は頭上を同一の体勢にて追足にて斬る、此体勢より右足を後部へ引き、中腰となりて更に上段構を取り、敵の生死を確めつゝ残心を示す(抜付けより之れ迄は早きを良しとす)此残心を示したる体勢より自然前方へ刀を下して青眼構へとなる、此時は右足の膝を板の間につけ、左足の膝を立て全体を落す、更に同体にて右手を逆手となし、刀柄を握り、左手は左膝の上に刀峯を乗せ血拭ひをなし刀を逆手の儘同体にて納む。」

 敵は斬り込んだが外されて、後方へ退かんとするのに「附込」の意味なのでしょう、だから「追切」なのでしょう。河野居合が第18代穂岐山波雄先生の指導による業手附であれば、大江居合に添った動作とも言えない様です。自分流を出すのは否定しませんが、宗家を名乗る者がポイントを外したのでは困ったものです。

 河野先生の昭和13年の無雙直傳英信流居合道から「附込」:「正面に向ひて端坐し、刀を抜きかけつゝ右足を前に約半歩踏み出すと同時に刀の刃を上にして右斜前に半ば抜き、立ち上るや右足を左足に踏み揃へつゝ刀を斜に高く頭部より左肩を囲む様に抜き払ひて(直立)敵の刀を外し(此場合敵との間合近き時は此の状態にて敵刀を摺り落すの意)雙手上段に振り冠り、右足を大きく踏み込みて(左足も継ぎ足にて進み右足に接近す)中腰にて高く斬り下し(第一刀不十分にて直ちに第二刀を下す関係上、深く斬り下げず)更に雙手上段に冠り乍ら右足を大きく踏み込みて(第一刀と同様、左足を継ぎ足)腰を下げて深く斬り下し、右足を大きく一歩退きつゝ上段になりて残心を示し、・・」

 河野先生、右足の踏み出しと、刀の抜き出し、右足を左足に踏み揃え、左肩を囲む様に抜き払う技法を身に着けられたようです。敵の切り込みを外して、一刀目の打込み不十分だから高く斬り下すと云っています。是も腑に落ちません。外されて下がる相手に附け込んで斬り付けています。退くよりも追い込む方が有利です。寧ろ一刀目は間合いは十分だが相手の切り込みを外すや打ち込むが中腰なので充分斬り籠めるはずです。敢えて浅く斬り込み、二刀目で深く止めの打込みをする、と考えるべきでしょう。

 細川先生の系統で梅本先生の「居合兵法無雙神伝抜刀術逆刀」:「・・右足を右前へ踏み出し、其方向へ刀を引抜き 立上りつつ左足より一歩後へ退き(対手が斬込み来る剣先を退き外し)更に右足踏込んで斬込み(対手倒れる)左足を右前足に踏揃へつつ諸手上段に引冠り 更に又右足を少し踏込み上体を前掛りに(対手の胴体へ)斬込み・・・」

 古伝神傳流秘書大森流之事逆刀:「向より切て懸るを先々に廻り抜打に切右足を進んで亦打込み足踏揃へ又右足を後へ引冠逆手に取返し前を突逆手に納る也。」

 古伝の手附では抜けだらけです。現代居合を頭に描きながら古伝を想像するのもまた、この業の真髄に触れられるものです。

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