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2019年6月30日 (日)

曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合立業之部5信夫

曽田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の5居合術業書
奥居合立業之部5信夫

 正面に向ひて進みつゝ、例に依りて鯉口を切り体を沈め向ふを透し見て左に一歩披き刀を抜き正面を見つゝ体を右に十分及ばして刀を右前に突き出し、及びたる体を引き越し空を切らせ、直ちに刀を右より双手上段に振り冠り右足を踏込みて切り下し納め終る事前に同じ。(詳細は口伝の事)

 大江先生の剣道手ほどきより信夫:「(暗打ち)左足より右足と左斜方向に廻りつゝ、静に刀を抜き、右足の出でたるとき、右足を右斜へ踏み、両足を斜に開き、体を稍や右横へ屈め中腰となり、其刀尖を板の間に着け左足を左斜に踏み込みて上段より真直に斬る、其まゝの中腰の体勢にて、血拭ひ刀を納む。」

 大江先生と河野先生では足捌きが異なります。
 河野先生は前進中正面をすかし見ながら(透かし見るのですから、敵の位置は把握できていそうです)左に一歩左足を踏み込み刀を抜く、体は正面向きですが左足は左斜め前に踏み込まれています。足は正面左斜め向きです、体を右に倒しながら刀尖を右前に突き出し(この時現代居合は剣尖で地を打つのですがここでは突き出すだけです、意味のある動作でしょうか、敢えて言えば誘いです)、敵が斬り込んで来るのを体を起して外し、直ちに右から双手上段に振り冠って、右足を敵の方へ向けて踏み込み斬り下し納める。 敵を想定して打込むのですが、敵も我を認識しているのでしょうか、状況が判らない攻防です、詳細は口伝などと云う業手附ではお粗末です。

 大江先生は暗打ちとは闇討ちでしょうか、左斜めに左足右足を踏み込んで正面歩行線より左へ「廻りつゝ」刀を抜き、右足を右斜めへ踏込んで左右の爪先を外に開き、体をやや右横に屈め中腰となって、刀尖を板の間に着け(どのあたりに着けるのか、多分右足爪先の右前方に身を屈めて刀尖を着けるのでしょう)、左足を左斜め(前)に踏み込み敵の打込みを外し、同時に上段から(刀尖を床板に着けた位置に)真っ直ぐに斬る。

 河野信夫も大江信夫も抜けだらけなのか、表現力が乏しいのか、私の理解力が現代居合にとらわれ過ぎて惑わされているのか、誤字があるのか「ぼーっと稽古してんじゃねえよ」って叱られそうです。

 河野先生を指導された18代穂岐山先生の指導による野村條吉先生の無雙直傳英信流居合道能参考より信夫:「惣留同様暗夜に敵を誘い打つ。静かに前進しつゝ敵の近づきたるを感得し、抜き足にて右足を左足の左前に踏み、次に左足をその前に踏まんとする時柄に手をかけ徐ろに刀を抜き、更に右足を左足の前に踏出すに及び体を右横にそらせ切先を以て右前の路上を軽く叩きて敵を牽制し、敵の其方向に打ち込み来るを待ちて上段となり左足より突進右足を出して斬り下す。其まゝの体勢にて血拭い納刀す。」

 「敵の其方向に打ち込み来るを待ちて上段となり左足より突進右足を出して斬り下す」の文言が気がかりですが前者の文章より理解できます。

 細川義昌先生の系統の梅本三男先生による居合兵法無雙神伝抜刀術の夜太刀:「(暗夜に斬込み来る者を斬る)「正面へ歩み往き止まりて、左足を左へ大きく披き体を右へ倒し低く沈め、正面より来掛かる者を透し見つつ刀を引抜き向ふへ突出し、刀尖で地面を叩きその音に斬込み来るを急に右足諸共体を引起こしつつ諸手上段に冠り(空を斬って居る者へ)右足踏込んで斬込み、刀を開き納め終る。」

 梅本先生の文章は状況を明確に感じさせるもので、真暗闇なので敵も我を認識しても不覚を取るので、地面を叩いて誘い、切って懸るを体を外して打込むのでしょう。

 古伝神傳流秘書抜刀心持之事夜ノ太刀:「歩み行抜て体を下り刀を右脇へ出し地をパタと打って打込む闇夜の仕合也」

 古伝は抜けだらけですが、要点はきちんと押さえています。状況が目に浮かぶのは現代居合の信夫のお陰でしょう。

 河野先生も昭和13年1938年の無雙直傳英信流居合道の信夫:「意義-暗夜、前方に幽かに敵を認め、吾れ左側に体をかわし、敵の進み来る真正面の地面に我が剣先を着けて敵を引き寄せ、敵其の所に切り込み来るを上段より切り付けて勝つの意なり。動作略す」

 闇夜でも目が慣れて来ればかなり見えるものです。ましてかすかにでも敵を認識出来れば誘いも出来るでしょう。同様に敵も我を認識できると思って当然です。真っ暗闇だから、音を立てて敵を誘って切るとの教えもある様ですがそれだけに捉われたのでは、ここで示された敵の切り込みを外して斬る業はできないでしょう。この業は居合と云うより剣術の心得と云えます。

 英信流居合目録秘訣極意ノ大事に夜之太刀があります。:「夜中の仕合わ我わ白き物を着べしてきの太刀筋能見ゆるなり場合も能知るゝものなり。放れ口もなり安し、白き肌着などを着たらば上着の肩を脱ぐべし、かまえは夜中には下段宜し敵の足を薙ぐ心得肝要なり、或は不意に下段になして敵に倒れたると見せて足を薙ぐ心得も有るべし」

 居合兵法極意巻秘訣にも月夜之事:「月夜には我は陰の方に居て敵を月に向はすべし、我はかくれて敵をあらわす徳有り」
 同じく闇夜之事:「やみ夜は我が身をしずめて敵の形を能見透かすべし、兵器の色をはかるべし、若難所有らば我が前に当て戦うべし、敵の裾をなぐる心持ちよし」

 是等をよく読んでみますと、細川先生の夜太刀はその心持ちを含んでいる様です。
 河野先生の大日本居合道図譜の信夫の意義:「夜太刀とも称し暗夜前方幽かに敵を認め我左方に体を転じて、進み来る敵の正面を避けて、右方(敵の正面)に剣先を地につけ音をさせて其所に敵を引附け、之に斬り込み来るを我右斜めに進みて上段より斬下して勝つの意」
 第22代はさらに「・・暗夜の中互に其の存在を求めて忍び会う中、我密かに敵に先んじて敵の存在を認め、・・」と変わっています。先んじて敵を認識する事は出来るでしょうが、少しでも我が動けば敵も即座に認識すると思えます。この信夫、古伝の夜の太刀の真意は何処にあるのか、悩みます。形は演じられても術が決まるかがポイントでしょう。古流剣術は形は出来ている様に見えても術が決まらず奥の深さに己の不甲斐なさに泣かされるものです。

 

 

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