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2019年6月 5日 (水)

曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の4居合術業書正座之部9月影

曾田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の4居合術業書
正座之部9月影

 正面より左向き約15度位ひに正座し、例に依り抜きかけつゝ右足を正面に踏み込みて高く抜きつけ、(上段の甲手に)左足を前に継足すると同時に雙手上段に振冠り、右足を踏み込みて高く敵の面に斬り込む、其儘左手は鯉口にとり刀は右外に廻つゝ振りかつぎて血振をなし、右足を一歩後に引きたちたるまゝ納め終る。

大江先生の剣道手ほどきによる月影:(左斜に向き右真向に抜き付ける)前左斜に向き正座し、同体の儘右足を出し中腰にて刀を高く抜き付け、右敵の甲手を斬る同体にて左足を出しつゝ上段に冠り、右足を出して稍直立体にて敵の頭上を真向に斬り刀尖を胸部にて止む。血拭ひは右足を引き一番と同じ要領にて、刀を納む。但し直立の儘。

 河野先生との違いは、正座した時の正面に対する向きの違いでしょう、大江先生「前左斜に向き正座」とやや大雑把です。河野先生は「正面より左向き約15度位ひに正座」と向きに拘っています。次いでですが、河野先生は大日本居合道図譜では「約45度位」に訂正されています。22代の解説書では「左45度位斜め向きにて」
 次に、大江先生は「右敵の甲手を斬る同体にて左足を出しつゝ上段に冠り、右足を出して・・」と歩み足で上段に振り冠真向に斬り込む。河野先生は「・・左足を前に継足すると同時に雙手上段に振冠り、右足を出して・・」と継足捌きです。細かい事をと云っても現代居合は形重視ですからそうなります。

 河野先生の無雙直傳英信流居合道の月影ではもっと細かく、しかもスクラップ(無雙直傳英信流居合術全)の手附を直しています:正面より斜左向き(約15度位ひ)に端坐し、刀を抜きかけつゝ右足を正面に踏み込みて体を左に開きて敵の上段にて斬り込まんとする其の左内甲手に高く抜き付け、左足を前に踏み込み乍ら雙手上段に振冠り、右足を踏み込むと同時に敵の真向より斬り下し、左手を鯉口にとり同要領にて血振いをなし、右足を退きて立ちたるまゝ(腰を下げ)納め終る。

 古伝神傳流秘書大森流居合之事「勢中刀」:右の向より切て懸るを踏出し立って抜付打込血震し納る此事は膝を付けず又抜付に払捨て打込事も有」

 古伝は我が座して居る、右向こうから斬ってかあるのです。正面は90度右になります。右に廻り立ち上がり右足を踏み込んで、打ち込まんとする敵の小手に横一線に抜き付ける、と現代居合の月影を習い覚えた者はやってしまいます。敵は立って来るならば、下から小手に斬り上げるのも容易です。その場合右足を稍々右に踏み込み敵の小手に切り上げるや体を替って敵の右側面から打ち込むのも出来るものです。
 現代居合の15度だ45度は初歩の場合には敵に対し易い角度に過ぎません。敵は我が応じにくい位置から斬り込んで来るものです。・・とやっていると飛んで来る古参が居るので面白いものです。

 細川義昌先生系統の梅本三男先生の居合兵法無雙神伝抜刀術の大森流之部勢中刀:「(右側より斬込み来たる者を斬る)正面より左向きに正座し左手を鯉口に右手を柄に掛け(対手が上段より斬込まんとする刹那)膝を浮かべ、右へ廻りつつ立ち上がり、左足を一歩後へ退くと同時に(斜上へ高く対手の右甲手へ)抜付け、直ぐ左足を右前足に踏揃へる、同時に右諸手自上段に引冠り右足を踏込んで斬込み、血振ひ後左足を右足前足へ踏揃へ、更に右足を一歩後へ退き立身のまま刀を納め終り、右足を左前足に踏揃へるなり柄を向ふへ向け直立の姿勢となり終る。」

 細川居合では勢中刀の業名称でした。座し方も左向きに座して居ます。抜き付けは右足を踏み込まず、左足を一歩退いて間を切って抜き付けています。相手次第で附け込むには左足を右足に踏み揃える足踏みで相手との間を調整して右足を踏み込むわけです。大江先生は細川先生と同門ですからこの勢中刀を習っていた筈です。
 古伝は「右の向より切て懸るを踏出し立って抜付」ですから、細川先生の「左足を一歩退くと同時に抜付け」は古伝と異なります。

 大江先生は古伝の業名「勢中刀」を「月影」と改めてしまいました。何故か業名変更には中学校の校長の指図があったのではないかと、この頃、ふと思われて仕方がありません。習い覚えた業名と業を簡単に捨ててしまえるほど大江先生は飛んでる様には思えません。この流に拘わらない者には平気で出来る事でしょう。其の上この「月影」の業名は古伝太刀打之事5本目「月影」の業名です。太刀打之事を反故にする心は当流の修行者の心とは思えません。然し大江先生の居合道型にはこの月影と同じような業を「鍔留」の業名として残されています。明治維新による過去の日本を打ち壊す気風が為せる事かとも思える事です。
 古伝はおおらかです、状況次第です。敵が斬り込まんとする上段の小手あるいは肘に右足を踏み込んで立って抜き付けろと云っています。場合によっては拂い捨てても良いのです。即座に振り冠って打ち込む。敵が打ち込まんと振り冠る刹那でも、上段から打ち込む瞬間でも相手次第です。
 その際抜打ちに斬られた敵が引き下がるならば左足、右足と歩み足でも、追い足でも附け入って行くのも、敵が退かなければ踏み変えるだけでも、真向でも袈裟がけでも稽古は幾通りも考えられます。

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