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2019年6月25日 (火)

曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合居業之部8虎走

曽田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の5居合術業書
奥居合居業之部8虎走

 正面に向ひ立膝に座し、左手にて鯉口を握りたるまゝ右手を柄にかけ、体を低くして立ち上り前方に小走にて走り行き、腰を延して右足を踏み込みて抜き払ひ左膝を跪きて双手上段となりて割付けて血振ひして納刀し、直ちに右足を左足に引き付け右手は柄に掛けたるまゝ更に低く立上りて、小走に走り戻りて左足を退きて抜き払ひ左膝を跪きて双手上段に割りつけ、血振ひして納刀する事前に同じ。

 大江先生の剣道手ほどきより虎走り:「(中腰となり、走り抜斬又後ざりして抜斬る)座したる處より柄に手を掛け、稍や腰を屈め、小走りにて数歩進み出で、右足の踏み出したる時抜き付け、同体にて座して斬る(血拭ひ刀を納むるや)刀を納めて二三寸残りし時屈めたる姿勢にて、数歩退り左足を退きたる時中腰にて抜付け上段となり座して斬る。(座抜き終り)」

 大江先生と河野先生は同じと思われます。
 古伝神傳流秘書抜刀心持虎走:「居合膝に座して居立って向へ腰をかゞめつかつかと行き抜口の外へ見へぬ様に抜付打込納 又右の通り腰をかゞめ後へ引抜付打込也」

 古伝の虎走と業名および動作は略同じでしょう。古伝の虎走は、座して居ますが立って斬る事からでしょう、立業に属します。虎走の要点は、小走りに敵に追いすがるのではなく「つかつか」と敵に悟られない様に、周囲の同坐する者に気付かれない様に自然体で歩み行き「抜口の外へ見へぬ様に抜付」るポイントが失伝しています。
 英信流居合目録秘訣上意之大事に虎走のポイントが述べられています:「仕物抔云付られたる時は殊に此心得入用也其外とても此心得肝要也、敵二間も三間も隔てゝ座して居る時は直に切事不能其上同座し人々居並ぶ時は、色に見せては仕損る也、さわらぬ躰に向ふゑつかつかと腰をかゞめ歩行内に抜口の外へ見ゑぬ様に躰の内にて刀を逆さまに抜つくべし、虎の一足の事の如しと知るべし、大事とする所は歩みにあり、はこび滞り無く取合する事不能の位と知るべし。」

 河野先生がこの古伝の教えを目にしたのは無雙直傳英信流居合術全発行以降の事でしょう。大日本居合道図譜の虎走では:「中腰にて体を低くし小足にて進む。恰も虎の獲物に向ひて進む心持ちにて足心を以て歩く心得の事」
 と述べられていますが、意義では「敵前方に逃げ去らんとするを、小走にて追い進み」と何処かおかしい。現代居合では状況も解らずただ追い懸ける様に、走り行くとか、ドタドタ足踏みさせたりしていまし。
 古伝の奥居合は動作よりもやらねばならない心得を教えている場合がある様です。逃げる敵に追い懸けっこなのか、敵にも周囲にも気付かせないで打ち取る極意なのか見直すべきものでしょう。
 もう一つの重要なポイントは、「抜口の外へ見へぬ様に抜付」です。更に「躰の内にて刀を逆さまに抜つくべし」の抜刀です。所謂下からの切り上げでしょう。

 細川義昌先生の教えを伝承する梅本三男先生の居合兵法無雙神傳抜刀術より虎走:「(次の間に居る者を斬り、退る処へ追掛け来る者を斬る)正面位へ向ひ居合膝に座し、左手を鯉口に右手を柄に執り抱へ込む様にして立上り、上体を俯け前方に小走に馳せ往き腰を伸すなり右足踏込んで(対手の右側面へ)抜付け、左膝を右足横ヘ跪きつつ諸手上段に引冠り、更に右足踏込んで斬込み、刀を開き納めたるまま立上り、又刀を抱へ込む様に前へ俯き小走に退リ腰伸すと同時に左足を一歩退き、追掛け来る者へ(右側面へ)大きく抜付け、又左膝を右足横へ跪きつつ諸手上段に引冠り右足踏込んで斬込み、刀を開き納め終る。」
 
 細川虎走も大江虎走と同様の様です。大江先生虎走は下村茂市より習ったのか、弟弟子行宗貞義から習ったのか解りませんが虎走は現代風に統一されています。古伝は間合いの遠い敵を倒す、それも周囲に気付かれずに、「刀を逆さまに抜つく」上意討ちなのです。

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