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2019年7月 1日 (月)

曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合立業之部6行違

曽田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の5居合術業書
奥居合立業之部6行違

 正面に向ひて進みつゝ、右足を踏み込みて鞘諸共抜出し、柄頭を以て敵の顔面を一撃し、其のまゝ刀を上に抜取りつゝ体を左方より後に向き(足は其儘)双手上段に振り冠て後方の敵に切り込み、更に右廻り正面になりつゝ真向に割り付けて刀を納め終る事前に同じ(詳細は口伝の事)

 大江先生の剣道手ほどきより行違:「(進行中正面を柄頭にて打ち、後を斬り又前を斬る)右足の出でたる時、(敵顔面を柄頭にて)左手は鞘と鍔を拇指にて押へ、右手は柄を握りたるまゝ前方に伸し、柄当りをなし、其足踏みのまゝ体を左へ廻して、後方に向ひつゝ、抜き付右手にて斬り、直に前方の右へ振り向き上段に斬る。」

 どちらの文章も不十分な表現ですが、両方読んでみると動作が見えて来る様です。河野先生の「詳細は口伝の事」は何でしょう。
 河野先生の無雙直傳英信流居合道昭和13年1938年の行違:「意義-吾れ前進し、敵両名前後して進み来る時、敵の両者の間に至りてすれ違ひざまに前面の敵の顔面人中を柄頭にて当て、後に振向きて先頭の敵を仆し、更に旧に向き直りて前面の敵を仆して勝つの意なり。 
 注意-武士の歩行は帯刀の関係上、現今と同様左側通行なりしを以て、其の心持にて行ふ事。
 動作-正面に向ひて直立し、前に進みつゝ左手を鯉口に拇指を鍔に掛け、右手を柄にかけるや、右足を踏み込み鞘諸共も左腕を十分延ばして抜き出し柄頭を以て敵の顔面を一撃し、其のまゝ刀を上に抜きとりつゝ体を左より廻りて後に向き(足は其位置にて)て双手上段となり後方の敵に斬り下し、更に右より廻りて正面になりつゝ双手上段に振冠りて真向より斬り下し、血振ひ納刀す。」

 河野先生の言われる「詳細は口伝の事」が、さて含まれているのでしょうか。大江先生は「・・後方に向ひつゝ、抜き付右手にて斬り」ですから、右片手抜打ちして後方の敵を倒し、「前方の右へ振り向き上段に斬る」前方の右へ振り向きの意味が疑問ですが、現代風にやれば右廻りして、上段ですから諸手になって斬り下すのでしょう。

 古伝神傳流秘書抜刀心持では、この行違は「連達」となって居ます。「歩み行内前を右の拳にて突其儘に左廻りに振返り後を切り又前へ振向て打込也」
 連達ですから、前後に敵を受けて同一方向へ歩み行く際の攻防でしょう。我から仕掛けてまず、柄頭では無く拳で前の敵の後頭部を打ち、即座に左回りに振り向きざま後方の敵を斬る、其の侭振り向いて前の敵を斬って居ます。
 大江居合はここでも、敵は我が前方より二人して近づいてくるので行き違う際の攻防です。そこで河野居合の武士の左側通行が約束されているからそのつもりで演武しろと云うのです。現代居合はどう見ても行き違う動作は無く、連れ達の動作ばかりです。想定をいじったら動作もいじらなければおかしいでしょう。
 敵が前方より来るならば、一人目をやり過ごしてその二人の間に右足を斜め前に踏み入れ柄当てしてから後ろに廻る・・。之が口伝。でも動作は連れ達のまま右への踏み込みはしない。

 古伝の行違は:「行違に左の脇に添へて拂ひ捨冠って打込也」。
 此の場合は、敵は前方より我が左側を行き違いに行こうとしている攻防としてとらえていますが、指定されていないので右側を通る場合にも応用できなければならないでしょう。
 大江先生はこの業名を、拝借してしまったのでしょう。現代居合では次の業「袖摺返」が近いものになります。古伝はおおらかですが当を得た動作であるべきでしょう。

 細川居合では梅本先生の行違は:「(摺違ひに左側の者を斬る)・・」ですから古伝と同じです。
 連達は:「(前後の者を斬る)正面へ歩み往きつつ、鯉口を切り右手を柄に掛けるなり抜打に(前の者へ)斬付け直ぐ(左廻りに)後へ振返へりつつ諸手上段に振冠り右足踏み込んで(後の者へ)斬込み刀を開き納め終る。」
 前の敵を抜き打ちに斬って振り向いています。下村派14代の教えは何処かおかしかった、敵の位置情報が連れ達の場合としては不明確、是では前後に詰めかけられた場合とも取れます。古伝の心は失われていたのでしょう。

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