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2019年6月14日 (金)

曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書立膝ノ部7鱗返

曾田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の5居合術業書
立膝ノ部7鱗返

 正面より右向に立膝に座し例に依り鯉口を切り右手を柄にかけ立ち上がりつゝ左へ(くるり)と廻り正面に向き、同時に左足を後に引き腰を延ばしきりて抜払ひ右一文字に切りつけ、左膝を跪き、双手上段に振冠り真向を割りつけ刀を開き納め終る。

 大江先生の剣道手ほどきより、長谷川流居合左身の部7鱗返:「右に向き、左より廻りて正面に向ひ、中腰にて左足を引きて抜付け、此抜付けは水平とする事、上段に取り、座しながら斬り落とすなり。血拭ひ刀納めは前と同じ。中腰は両膝を浮めて抜き付けるなり。(敵の甲手を斬る)」

 河野先生の業手附は「立ち上がりつゝ左へ(くるり)と廻り正面向き」、大江先生は「左より廻りて正面に向ひ」で同じ事を書いていますが(くるり)が矢鱈早い回転を要求している様に感じてしまいます。敵の状況に応じた回転であるべきでしょう。
 大江先生の抜き付けは敵の甲手と奥書に明記されています、しかも「中腰にて左足を引きて抜き付け」ですから河野先生の「左足を後に引き腰を延ばしきりて抜払ひ」とはイメージが違います。「中腰は両膝を浮めて抜き付ける」と大江先生は又言っています。敵の状況を如何にとらえるかによって抜き付けの高さは異なる筈です、又抜き付ける部位により変わります。大江先生も演武居合ですが河野先生は想定を特定しているのでしょう。左足を後に引き腰を延ばして抜付けの位置調整はともすると小手先の動きに依ってしまいそうです。

 河野先生の昭和13年1938年の「無雙直傳英信流居合道」の鱗返の意義:「吾が左側に座す敵の機先を制してその首に斬り付けて勝つの意にして、正座の右の業と同意義なり。」で腰を延ばしきりてはそのままです。
 昭和17年1942年の大日本居合道図譜の鱗返:「意義-左側に座す敵の機先を制して之に勝つ事正座右の業に同じ。 右向きに座し、中腰に立上りつゝ抜きかけて左に廻る。左足を大きく一歩後方に退くや横一文字に斬付ける。次に左膝を下しつゝ諸手上段となり敵の真向に打下し血振、納刀す。」

 穂岐山先生口伝口授の動作は消えてしまいました。これでは古伝と同じでおおらかですから想定次第によって抜き付けの高さは変わり足腰の高さもそれにつれて決まるものになったわけです。然し演武形はここの想定によってまちまちになってしまいます。

 第22代池田先生は、「我が左側に座す敵の、機先を制して其の首に斬り付けて勝つ意にして、正座の「右」の業と同意義也。」と戻されています。

 古伝神傳流秘書英信流居居合之事鱗返:「(秘書には岩波と同じ事を記しあり、口伝口授の時写し違へたるならん 曽田メモ)左脇へ廻り抜付打込み開き納る(曽田先生に依る手附と思われる ミツヒラ)」

 木村栄寿先生の「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流傳書集及び業手付解説」の神傳流業手付英信流抜刀之事鱗返:「右に向き居って左廻りに向へ抜付左の足を引冠り打込み開き納る也」
 この様に書かれていますが、木村先生の處で書き込まれた文章の様に思います。何故ならば、文体の意図するものが古伝と雰囲気が違い過ぎる。さらに「右に向き居って左廻りに」は岩浪では「左へふり向左の足を引き刀を抜き」であって、座す位置の指定など古伝はしない。「左の足を引き」についても、次の浪返しでは「後へ抜付打込み」であって左足を引くか否かは指定して居ません。この鱗返の手附は曽田先生の書かれたものの方が古伝を伝えてきます。

 此の業を考える時、大江先生の様に中腰に立ちつつ左廻りに敵に向き、抜刀する際左足を退く事も状況次第でしょう。正座と同様であり敵の首に抜き付けるならば、立膝で腰を上げた状況での左廻りを手に入れなければ不都合です。其の上で敵の攻撃が早ければ左足を退き小手を斬るべきでしょう。

 

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