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2019年6月29日 (土)

曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合立業之部4惣留

曽田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の5居合術業書
奥居合立業之部4惣留

 正面に進みつゝ、例に依りて鯉口を切り右手を柄に掛けると同時に右足を踏み出して腰を十分左に「ひねり」て右斜前に抜きつけ、左足を右足先迄引き寄せ乍ら刀を納め、右足を踏出しては又右斜前に抜きつけ三度足を繰り返し腰を正面に「ひねり」て血振ひして納刀する事前に同じ。

 大江先生の剣道手ほどきより奥居合立業能力部能力12、惣留め:「(進行中三四遍斬っては納む)右足を出して、刀を右斜へ抜き付け、左足を出して抜き付けたる刀を納む、以上の如く四五回進みつゝ行ひ、最後の時は其まゝにて刀を納む。

 河野先生も大江先生も同様の想定で動作を付けられていると思います。
 河野先生は右足を踏出し「右斜前に抜き付け、左足を右足先迄引き寄せ乍ら刀を納め」ます。
 大江先生も右足を出して「右斜へ抜き付け、左足を出して抜き付けたる刀を納む」です。
 どこが違うかです、大江先生は右足を踏み込んで右斜め前に抜き付け、左足を右足の前に出して刀を納めると読めてしまいます。河野先生は抜き付けた右足先迄左足を引き寄せ乍ら刀を納めます。「左足を出して」「左足を右足先迄引き寄せ」の読み解くのですが、文章表現は微妙です。

 河野先生の無雙直傳英信流居合道の惣留:「意義-吾れ狭まき板橋又は堤、或は階段等の、両側にかわせぬ様な場所を通行の時、前面より敵仕掛け来るを、其の胸部に斬り付け、一人宛を仆して勝つの意なり。動作-正面に向ひて直立し、前方に歩み行きつゝ、鯉口をきり、右手を柄にかけるや右足を前に踏み込み、腰を十分左に「ひねり」て半身となりて抜打に右斜に斬り付け、左足を右足先迄引き寄せ乍ら刀を納め、右足を踏み込みて前述同様に斬り付ける事三度にして、斬り付けたる所より腰を正面に捻ると同時に血振いし納刀す。」

 昭和8年のスクラップと同じで「左足を右足先迄引き寄せ」です。狭い板橋ですから、右足と左足を揃えるのは基本としても難しい場合が有りそうです、左足は右足前まで踏み込むべきかもしれません。

 18代穂岐山先生の指導を受けられた野村條吉先生の無雙直傳英信流居合道能参考による惣留:「暗夜細道にて敵に遭いたる心地にて右足を出し、中腰のまゝ体を左へ捻り刀は前に抜き打ち、左足を千鳥に前に出して(交叉)体は低く刀を納む、以上の動作を三、四回繰り返し、最後に体を正面に直し血拭い納刀。」
大江先生の教えに添っている様で、左足は「千鳥に出して(交叉)」と云って千鳥足の裁きで状況を示しています。

 面白いのは細川先生系統の梅本三男先生の居合兵法無雙神伝抜刀術英信流奥居合之部放打:「(右側へ来掛る者を一々斬る)正面へ歩み往きつつ、鯉口を切り左足踏出したる時、右手を柄に掛け右足踏出し右前へ抜付け左足を右前足に踏揃へる、同時に刀を納め、又右足踏出して抜付け左足を右前足に踏揃へるなり刀を納め、する事、数度繰返し(三回位して)刀を納め直立の姿勢となり終る。」

 梅本先生は河野先生同様に右足に左足を踏み揃えて納刀しています。細川先生と大江先生は下村茂市に師事した同門ですが、惣留の足裁きが違います。状況に応じて対処せよと云った塩梅でしょうか。

 古伝神傳流秘書の抜刀心持之事放打:「行内片手打に切納ては又切数きわまりなし」

 古伝はおおらかです、状況に応じて如何様にも工夫せよと云っています。
 参考に、居合兵法極意巻秘訣の絶道之事:「絶道の仕合は左右後の三方には道無前には敵多あるを云、左様の地にては少しものがれんと思ふべからず死を本とすべし、伝に云う両脇川池深田などの類にて後は山なる時は不去不退にて利を計るべし両脇の内に山ありて後池などある時は先の上へ登りて利を計るべし。」
 惣留の参考の端になり得たか否かです。

 惣留の連続して右斜めへの抜打ち後の足捌きは場によるとして、現代居合では一回ごとに納刀時に正面に向き直って納刀していますが、明治の方々は最後の抜打ち後の納刀のみ正面に向き直っています。河野先生の昭和17年1942年の大日本居合道図譜でも「「斬付の最後に半身より正面に体を向き直るや血振をなして納刀す・」とあって其の都度体を正面に向ける事は要求していません。次の敵が待ち構えて切って来るのですから、納刀するのも不自然ですが、納刀中次の敵が攻め来るを察知したのであれば半身の侭応じるべきでしょう。手打ちになりやすいので斬撃力を増すためには正対する事も不可とは言えません。

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