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2019年6月23日 (日)

曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合居業之部6棚下

曽田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の5居合術奥書
奥居合居業之部6棚下

 正面に向ひ立膝に座し、例に依りて柄に手を掛けると同時に体を前に「うつむけ、」体を低くして右膝を立て左足を右足踵に引付けると同時に刀を左肩より頭上に引抜くと共に双手を掛け右足を進めて前に低く切り込み、(打下したる時は上体は真直に)刀を開き納刀する事前に同じ。

 河野先生の棚下は、場の想定が棚下と有るので、柄に手を掛け「体を前にうつむけ体を低くして」這い進と同時に、前屈みのまま「刀を左肩より頭上に引き抜く」双手を柄に掛け右足を進めて「低く切り込み」低く切り込んでも(打下したる時は上体を真直に)するのであって、「うつむけ」た体のまま切り込むのです。上体を真直ぐに立ててから切りこむとは読めません。棚下から這い出て斬り込むならば「上体を真直に」は解りますが此の文章ではそうは読めません。

 大江先生の剣道手ほどきから棚下:「(頭を下げて斬る)座したる處より、頭を前方へ下げ、稍や腰を屈め右足を少し出しつゝ、刀を抜き、上体を上に起すと同時に上段となり、右足を踏み込みて真直に切り下す。」

 河野居合いや穂岐山居合と体を起すタイミングが違います。大江先生の棚下ではせっかく体を屈めて刀を抜き出したのに、上体を起こし上段になったのでは、切り込んだ時刀が棚に当たってしまいます。

 穂岐山先生に指導を受けた野村條吉先生の「無雙直伝英信流居合道の参考」による棚下:「棚下に座したる心地にて立膝、腰を屈め体を低く、右足を出しながら刀を前に抜き、左足を之に追随せしめ、上段にかぶり右足を一歩踏み出して正面を斬り血拭納刀」

 野村先生は前屈みのまま上段にかぶり其の腰を屈めた姿勢で斬り込んでいる様です。河野先生と同じと理解します。

 大江先生の兄弟子細川先生の教えに依る梅本三男先生の「居合兵法無雙神伝抜刀術」より棚下:「(上の閊へる所にて前の者を斬る)正面に向ひ居合膝に座し、例により鯉口を切り右手を柄に掛け体を前へ俯け腰を少し浮かせ、左足を後へ退き伸し其膝頭をつかへ、刀を背負ふ様に左後頭上へ引抜き、諸手を掛け前者へ斬込み、其のまま刀を右へ開き納めつつ体を退き起こし右脛を引付けるなり、左踵上へ臀部を下し納め終る。」

 細川居合を正しく伝承しているとすれば、大江先生の棚下はおかしい棚下で上体を起こして上段から斬り下すのでは、体を屈める必要などないでしょう。現代居合では棚下から這い出るや体を起して斬り込んでいます。棚下の様な刀が閊える場所での攻防であって、低い場所での刀の抜き方の稽古では意味がないでしょう。

 古伝神傳流秘書抜刀心持之事棚下:「大森流逆刀の如く立て上へ抜打込む時体をうつむき打込む是は二階下様の上へ打込ぬ心持也」

 「大森流逆刀の如く」の意味が大森流之事逆刀から読み取れません。逆刀:「向より切て懸るを先々に廻り抜打に切右足を進んで亦打込み足踏揃へ又右足を後へ引冠逆手にて返し前を突逆手に納る也」
 古伝は抜けだらけですから文章と口伝による口授、見取稽古が必要なのです、ここは「立て上へ抜、打ち込む時うつむき打ち込む」を立って上へ抜き上げた方法を、居合膝に座して腰を上げ乍ら上へ抜き上げ引き冠り、打ち込む時にうつむきになるのだと云うのでしょう。打込む時は切先が上に閊えない様にウツムキになって打ち込むと解するものです。

 河野先生の昭和13年1938年「無雙直傳英信流居合道」より棚下:正面に向ひ立膝に座し、鯉口をきり、右手を柄にかけるや、上体を前に「うつむけ」(着眼は前方にす)体は低くして右膝を立て、左足を右足踵に引き付け乍ら刀を前に抜き、左肩より頭上に引抜くと共に、双手上段となり、右足を前に踏み込むと同時に(此時上体は真直にす)敵の真向に斬り下し、血振い納刀す。意義-吾れ頭の閊へる低い場所に居る場合、其の所を這ひ出でて正面の敵を斬るの意なり。」

 河野先生の最初の文章は「前に低く切り込み(打ち下したる時は上体を真直に)」でした。改めて「右足を前に踏み込むと同時に(此時上体は真直にす)敵の真向に斬り下し」と微妙に変わっています。最初の文章もこの様な意図だったかもしれませんが止めは、意義の「その場所を 這ひ出でて・・」で明確に棚下を出る動作にされています。そうでなければこの「上体は真直に」が成り立たないと思われたのでしょう。

 古伝の教えは「二階下様の上へ打ち込む心持ち」は「打込む時体をうつむき打込む」のでした。

 古伝は英信流居合目録秘訣上意之大事棚下:二階天上のしたなどに於て仕合ふには上へ切りあてゝ毎度不覚を取る物也、故に打込む拍子に脛を突いて打込むべし、此の習いを心得るときは脛をつかずとも上へにあてざる心持ち有り」

 心得としても稽古するにしても古伝には伝わるものがありますが、大江居合も河野居合もこれでは意味のない稽古になってしまいます。寧ろ棚下にいるのであるならば、這い出て切るのは河野先生の嫌う不意打ちになってしまいます。棚下で抜刀してそこで斬るならば抜くや切先を返して刺突する、現代居合の両詰めを体を低くして稽古すべきでしょう。

 

 

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