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2019年6月19日 (水)

曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合居業ノ部2脛囲

曾田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合居業ノ部2脛囲

 正面に向ひ立膝に座し、例に依りて柄に手を掛け同時に立ち上り左足を一歩後に退くと同時に刀を抜き払ひ、「虎一足」の如く刀棟にて敵が脛を切りつけ来るを受留め、左足を膝まづくと同時に雙手上段に振り冠り真向に切り込みて血振ひして納刀する事前に同じ

 立膝にて座して居る者の脛に切り込んで来るでしょうか。そこからこの業の疑問が湧いてきます。双方が同時に抜刀しつつ立ち上がり、敵が我が右脛に抜き付けて来る、あるいは敵が立って打ち込んで来ようとするに応じ立ち上がりつつ刀を抜き、敵が低く脛に切り込んで来る、其処を虎一足の要領で、刀の「棟」で受け止める。
 このスクラップの虎一足は刀の差表で請け止めていました。河野先生の虎一足:「・・抜かけ立上り左足を一歩後に引きつゝ右斜前に殆ど刀を抜き、左腰を左方にひねると同時に刀を抜き放ち刀の差表にて受け留め向脛に切りつけ来るを右足を圍ひ・・」

 差表か棟かですが、河野先生の昭和13年1938年の「無雙直傳英信流居合道」の虎一足は「・・差表の棟にて敵刀を受け留め(向ふ脛に切りつけ来るを。正座、八重垣の脛圍ひと同要領)・・」でバラバラな差表と棟を合体させてきました。

 その八重垣では「左足を後方に退くや刀を抜き払ひて右脛を刀にて圍ひ(此時刀刃は左少し前とし左手は腰にとる)」と、是も文章不十分で意味不明でしょう。注意事項で「脛圍ひは、腰を十分左にヒネルと同時に剣先を抜き放ち、腹を出し腰のヒネリに依り刀勢を強める事、飽くまでも敵刀を強く払ひて効を奏せざらしむるの意なり」とのことです。刀の部位については述べられていません。

 大江先生の「剣道手ほどき」脛囲:「(長谷川流2番目と同じ)膝と刀を竪立斜として、刃を上に平に向けて、膝を圍ひ(体は中腰半身とす)体を正面に向けて、上段より斬り下す。」文章からは意味不明で読み取れません。恐らく、刀を抜き出すに当たり、中腰半身となり刃を上に向け水平に抜出し膝を立て刀を斜めに立てて脛を囲うのでしょう。

 長谷川流2番目は虎一足でした。大江居合の虎一足:「正面に座す、静かに立ちながら左足を引きて刀を抜付くと同時に膝を圍ふ、此圍は体を左向き中腰となり、横構にて受止める事、此体形にて刀を上段に冠り正面に向き座しながら斬り下すなり。・・」

 河野先生の昭和13年1938年発行の「無雙直傳英信流居合道」奥居合之部居業之部では脛囲:「正面に向ひ立膝に座し、柄に右手をかけるや立上りながら左足を一歩後に退くと同時に、腰をひねりて抜き払ひ、左足を膝まづき乍ら双手上段に振冠り、真向より打下して納め終る事、虎一足と同様なり。
 意義-吾が正面に対座する敵が、吾が右脚に薙ぎ付け来るを受留め、(払ふ気持、既述脛圍(虎一足の間違いか)に同じ)敵の退かんとするに乗じ上段より斬り付けて勝つの意義なり。」

 河野先生の昭和17年1942年の大日本居合道図譜の脛圍:「立膝の部虎一足と同意につき省略す。」
 虎一足:「意義-正面に対座する敵が右足の方向より斬付け来るを之に応じ其の退かんとするに乗じて上段より斬下して勝つの意なり。中腰になり乍ら抜きかけ右足を一歩後方に退き腰を捻るや抜付けて刀棟を以て敵刀を反撃す。左膝をつきつつ右手を頭上に把り剣先を下げたるまま運びて、諸手上段となりつつ左膝を進め右足を踏み込みて敵の真向に斬り下し血振ひ納刀・・」
 
 ここでは、また差表の棟が、棟に代っています。現在は差表の鎬になって居るようです。
 参考に第18代穂岐山先生の直弟子で大江先生の居合も見ておられた野村條吉凱風先生の無双直伝英信流居合道の参考に於ける虎一足:「・・静かに立ちながら後へ引き腰を左に捻り刀を右脛の前に抜き鎬にて・・(此時の体勢は左向中腰にて横構え腰を捻りて極める、刀は抜きはなちて敵刃を叩くにあらざるなり)」と有ります。表鎬でびしっと受け止めるのでしょう。奥居合の脛圍も同様です。

 次の疑問は、相手は無疵です。何故我は「左足を膝まづくと同時に双手上段に振り冠り真向に斬り込む」のでしょう。河野先生の大日本居合道図譜に至っても、・・退かんとするに乗じて、左膝をつきつつ上段となり、右足を踏み込んで敵の真向に斬り下して居ます。野村先生は「上段にかぶり左膝を地につけながら斬り下す」とされています。扨これをどの様に理解し演じられるでしょうか。何の疑問も抱かずにこの止めの斬り下しを演じられるでしょうか。
 私は、請け止められて、退かんとする態勢のまだ低い敵に乗じて、左膝を進め乍ら上段に振り冠り、右足を踏出して真向に斬り込みつつ左膝を床に付ける、折り伏す古流剣術の運剣動作を思い浮かべます。

 古伝神傳流秘書抜刀心持之事柄留は「虎之一足の如く下を留て打込」だけです。虎一足は「左足を引き敵の切て懸るを払ふて打込み後同前」です。
 先達の教えは如何様にも仮想敵に応じる工夫をせよと、形ばかりに拘る事を戒められている様に思えてなりません。

 

 

 

 

 

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