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2019年6月21日 (金)

曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合居合業之部4戸脇

曽田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の5居合術業書
奥居合居業之部4戸脇

 正面に向ひて立膝にて座し例に依りて柄に手を掛け同時に右足を右斜前に踏込て右斜に刀を抜き取りて顔及胸を左後に向けて拳を返して刀尖を左肩下より鍔元迄水平に突込みて左後方の敵を斃し、直ちに右斜に振向き直りつゝ双手上段となりて切り下し、刀を納め終る事前に同じ。

 大江先生の剣道手ほどきより奥居合5番戸脇:「(左を突き右を切る)右足を右斜へ踏み出し、刀を抜き、左横を顧みながら突き、足踏みは其まゝにて上体を右横に振り向け、上段にて切り下す。」

 古伝神傳流秘書抜刀心持之事両詰:「抜て片手にて左脇を突き直に振向いて右脇を切る。」(右脇へ抜打に切り付け左を斬る)

 河野先生の「無雙直傳英信流居合道」昭和13年1938年奥居合之部居業之部戸脇:「正面に向ひ立膝に座し、柄に手をかけるや、右足を右斜前に踏み込みて右斜に刀を抜き(刃は上に)取り、左後に振向き拳を返えして(刃を外、棟を胸)刀先を左肩下に、腕に近接して鍔元迄水平に突込み、左後方の敵を仆し、直ちに右斜に振向きつゝ双手上段となりて打下し、血振い納刀す。注意 刀を右斜前に抜き取る時は、柄頭を以て右方の敵を牽制するの意を以てなす。
 意義-吾が直前の左右に戸あり、敷居の向ふ側右と吾が左後方に敵を受け、左後の敵を刺殺し更に右方の敵を斬りて勝の意なり。
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 河野先生の「大日本居合道図譜」奥居合之部奥居合居業4本目戸脇:「意義-前述と同様の場合右向ふと左後に敵あり。左後敵を刺突し右敵に斬下して勝つの意なり。右足を右斜前に一歩踏込むや柄頭にて右敵を抜打つ気勢にて牽制しつゝ刀を右に抜き左に注目して抜き放つ。(此時刃を返して外に向ける)、刀を抜き取るや直ちに其の体勢にて後敵を刺突す。次に直に諸手上段となりつゝ右に向き同体勢にて右敵の真向に斬下し上段となりつゝ右に向き同体勢にて右敵の真向に斬下し血振納刀す。
註1、右肘はあまり上げず、柄頭が前膊部の外に触れる位ひ、刀は水平、上膊部の中程の高さ腕に近接して突く。
註2、突く時に左肘を落して後ろに引く心得の事。

 穂岐山先生の指導による野村條吉凱風先生の「無雙直傳英信流居合道の参考」より戸脇:「左後の敵に対し、右足を右前へ踏み出し、其方向に刀を抜き左後の敵を顧みながら突き同体にて上段となり右斜前の敵を斬り血拭納刀」

 細川義昌系統の梅本三男先生による「居合兵法無雙神伝抜刀術」英信流奥居合之部前後詰:(前後に座して居る者を斬る)正面に向ひ居合膝に座し、例により鯉口を切り、右手を柄に掛けるなり腰を伸しつつ右足を前へ踏出し(前へ掛かると見せ)、刀を其方向へ引抜き、咄嗟に(左廻りに)後へ向くなり後者の胸部へ(右片手にて)突込み、直ぐ(右廻りに)正面へ廻りつつ諸手上段に引冠り前者へ斬込み、刀を開き納め終る。」

 細川先生は大江先生の兄弟子、穂岐山先生は大江先生の後を第18代として引き継ぎ、その指導を野村條吉先生と河野先生が受けています。古伝は「両詰」で敵二人に詰め寄られる想定の上で基本業は敵は我の左脇右脇を手附けにしています。
 大江先生は両詰の業名を「戸詰」と「戸脇」に分けてしまい、古伝を知らなかった河野先生は、昭和13年の「無雙直傳英信流居合道」では如何にも場の想定が優先する様に「吾が直前の左右の戸あり」と意義に書き込んでしまいました。昭和17年の「大日本居合道図譜」では、戸の有無は不問となって居ます。現代居合ではこの戸の有無を業に組み込んだ運剣動作を要求されます。
 想定を特定の条件に追い込む事と、古伝の様に敵は左右と云う大らかな手附から、力量が上がれば如何様にも変化に応じられる教えとどちらも、学ぶ者が選択すれば行きつく處は同じでしょう。
 しかし、昇段審査や演武競技などによって、一定の条件に依る演武を要求され、それに拘った者は其処から抜け出られない者が多いでしょう。
 この両詰を自由自在に角度を変えて稽古する事はさして難しくはありません。河野先生の心得を頼りに稽古して見る事も楽しいものです。稽古は楽しくやるものでしかめっ面して肩肘張っても無駄なばかりです。

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