« 曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合居合業之部4戸脇 | トップページ | 曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合居業之部6棚下 »

2019年6月22日 (土)

曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直伝英信流居合術20の5居合術業書奥居合居業之部5四方切り

曽田本その2を読み解く
20、無雙直傳英信流居合術
20の5居合術業書
奥居合居業之部5四方切り

 正面に向ひ立膝に座し、例に依りて柄に右手を掛けると同時に右足を右斜前に踏み込みて刀を抜き取り、顔及胸を左後ろに向けて刀尖を左肩下より鍔元迄突込みて直ちに諸手上段となりて右斜前の敵に斬りつけ、左膝頭にて大きく廻りて左斜前に右足を踏込みて双手上段(此時刀尖は右より廻して冠る)にて割りつけ、更に正面に向き直りて右足を踏込むと同時に双手上段より(此時刀尖は左より廻して冠る)振り冠りて割付けて血振ひして納刀する事前に同じ。

 四方切りと云うのですが、敵は左後・右前・左前・正面という変則です。この敵の配置はどのような謂れから組み立てられたのか疑問です。
 先ず大江先生はどの様に指導されたか、剣道手ほどきから奥居合の3番目四方切から稽古して見ます。:「右足を右斜へ出し、刀を右斜に抜き、刀峯を胸の處に当て、刀を平として斜に左後を突き右側面の横に右足を踏み変へ、上段にて切り、右足を左斜横に踏み変へて(受け返して打つ)上段になりて切り、右足を正面に踏み変へて、上段より切る。

 大江先生の四方切の敵も河野先生と同じです。明治以降の奥居合四方切りはこの変則四方で右後ろには敵は居ないのです。大江居合は意味不明な文言が突然出て来て悩まされます。左後を突いた後の動作で「・・・右側面の横に右足を踏み変え」とは何処でしょう。次の「(受け返して打つ)」の意味もよくわかりません、右の敵を斬って左斜め前の敵に振り向くには刀で右肩を覆う様に振り向き振り冠ると教えられていますから、その動作をさすのかなあ、と憶測します。

 大江先生は奥居合四方切は3番目に置かれています。戸詰、戸脇は四方切の後に在ります。河野先生は何故四方切りを5番目とされたのでしょう。寧ろ18代穂岐山先生は何故大江居合の順番を入れ替えたのか、何処にもその説明はありません。
 憶測すれば、戸詰、戸脇は敵は二人で四方切りは配置はどうでも4人であって、戸詰、戸脇の技法の習熟があればより四方切が容易だと考えたのでしょう。誰が考えたのか、河野居合は穂岐山居合ですが業の順番は河野先生の独断かも知れません。憶測です。

 古伝神傳流秘書抜刀心持之事では、四方切りの業名は無く、三角及び四角の業が相当します。
 三角:「抜て身を添へ右廻りに後へ振り廻りて打込む」
 四角:「抜左の後の角を突右の後の角を切右の向を請流し左の向を切又右の向を切る也」

 三角は三人の敵に囲まれ、四角は四人の敵に囲まれている想定でしょう。英信流居合目録秘訣の上意之大事に詳しい解説が為されています。
 三角:「三人並居る所を切る心得也、ケ様のときふかぶかと勝んとする故におくれを取る也、居合の大事は浅く勝事肝要也、三人並居る所の抜打に紋所のあたりを切先はづれにはろをときはびくとするなり、其所を仕留る也、三人を一人づつ切らんと思ふ心得なれば必仕損ずる也、一度に払ふて其おくれに付込で勝べし」
  四角:「三角にかわる事無し、是は前後左右に詰合ふ之心得也故に後ろへ迄廻って抜付る也。」
 三角は三人前に並んでいる時は、左の敵に浅く抜き付け、其の侭切先を二人目、三人目と振り払って敵がびくっとした処を順に、左・右・正面と斬り付けろと云います。
 四角は前後左右に敵に囲まれた時も同じと云うわけです。左を刺突し、其の侭前・右・後と切先外れに紋所の辺りを払い、後・前・右と上段になって斬り下す。現代居合が失念した技法を展開しています。現代居合とは言え細川義昌先生の系統梅本三男先生の「居合兵法無雙神伝抜刀術」の英信流奥居合之部には、三角、四角の業名で古伝の技法を伝えています。
 大江先生の居合は下村派14代下村茂市の奥居合迄手ほどきを受けなかった、同様に谷村派16代五藤孫兵衛正亮からも指導されなかった為の独創奥居合と考えて良さそうです。
 河野先生も曽田先生から曽田本を送られ曽田先生の死後「無雙直傳英信流居合兵法叢書」を発行されています。57才の時ですが既に第20代宗家の紹統印可を受けておられ自ら、大江居合の幾つかを否定する事は不可能であったでしょう。
 その自叙に「英信流を学ぶ者は、自然享保以来伝承された土佐を中心とする地の文献だけしか蒐集する事が出来なかったが、洩れたる土佐の文献は元より日本全国の斯道の文献を追加且つ私の足らざる所を補足して呉れる様な熱意ある研究家を待つ次第である。」と述べられています。
 ミツヒラブログの筆者も、曽田本の原本をお預かりした以上、その復元と現代居合との関係を確認し、後世に伝承し得るものを研究せざる得ません。

 細川居合の三角、四角を梅本三男先生の「居合兵法無雙神伝抜刀術」より紹介しておきます。
 三角:「(前右後の三人を斬る)正面より(左廻りに)後向き、居合膝に座し例により鯉口を切り右手を柄に掛け、前に掛かると見せて右足を摺り出し、腰を伸ばし刀を引き抜くなり、右足を左足に引き寄せるなり刃部を外へ向け左腕外へ深く突込み、立上りつつ右へくるりと廻りながら前、右、後の三人を軽く斬り正面へ向く、同時に左膝を跪きつつ諸手上段に引冠り右足踏込んで斬り込み刀を開き納め終る。」

 四角:「四隅に居る者を斬る)正面に向ひ居合膝に座し、例により鯉口を切り右手を柄に掛け腰を伸し右脛を立てつつ(右前へ掛かると見せ)、刀を其方向へ引抜き、咄嗟に左膝頭で(左廻りに)後斜へ廻り向き、左後隅の者を(右片手にて)突き直ぐ右へくるりと廻りつつ、諸手上段に引冠り右後隅の者へ斬込み直ぐ左へ廻りつつ刀を頭上へ振冠り(右前隅の者より斬込み来る太刀を受け流しながら)左前隅の者へ斬込み、直ぐ再び右へ振向きつつ諸手上段に引冠り右前隅の者へ斬込み、刀を開き納め終る。」

 

 

 

 

|

« 曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合居合業之部4戸脇 | トップページ | 曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合居業之部6棚下 »

曾田本その2を読み解く」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合居合業之部4戸脇 | トップページ | 曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合居業之部6棚下 »