« 曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書立膝ノ部9滝落 | トップページ | 曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英神龍居合術20の6居合術業書奥居合居業之部1霞 »

2019年6月17日 (月)

曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20ノ5居合術業書立膝ノ部10真向

曾田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の5居合術業書
立膝ノ部10真向

 正面に向ひて正座し、鯉口を切りつゝ右手を柄に掛け、膝頭と両足の爪先とにて膝を伸ばすや右斜前に刀を抜き、刀尖を左肩先へ突込む気持にて刀を双手上段に振り冠りて真向に切込み、刀を右に開きて納め終る。

 この動作は、河野先生の正座ノ部11本目抜打と同じです。大江先生の剣道手ほどきによる抜打は「正面に座す、対座にて前の敵を斬る心組みにて其正座の儘刀を前より頭上に抜き、上段に冠り、身体を前に少しく出し、前面の頭上を斬る。血拭ひは中腰の同体にて刀を納む」であって刀の抜き方と冠り方が違います。
 大江先生の次の18代穂岐山居合がこの時期の河野居合の原点ですから何故大江居合が薄れてしまったのでしょう。河野先生の居合経験が浅く力量不足と言えるかもしれませんが剣道歴は20年以上ですから(14才からこの時期35才ですから21年剣道歴)充分看取る事は出来たと思います。穂岐山居合が大江居合とは異なったのか気になります。
 穂岐山先生の直弟子の野村條吉先生の「夢想直伝英信流居合道の参考」昭和40年1966年では抜打:「敵と対座斬り込み来る敵刃をすり上ぐる心地にて頭上に抜き両膝を着き足先を立てたるまま両膝にて踏切り低く前へ飛びつゝ敵の頭上を斬る・・」と有ります。大江抜打の抜刀心が伝わってきますが反面立膝ノ部真向では「・・腰を浮かし両趾先を立てつゝ刀を前に抜き上段となり同体にて前の敵を斬る。此の時両膝を少しく左右に開く。・・」ですから、刀を抜いてから如何に上段に取るかが不明ですが抜いて振り冠るだけなら河野真向になってしまいます。「すり上ぐる心地」が伝わってきません。

 大江先生の剣道手ほどきに依る真向:「正面に向って座し、腰を伸ばし趾先を立て、刀を上に抜き上段となり、同体にて切る此時両膝を左右に少しく開く。・・。」

 古伝神傳流秘書英信流居合之事抜打:「大森流の抜打に同じ事也」:大森流居合之事抜打「座して居る所を向より切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請流し打込み開いて納る最も請流に非ず 此所筆に及ばず」

 古伝は、対坐する敵が切って来るのを請流して打込のであって単なる機先を制して敵の斬り込む以前に抜き打つものでは無かったのです。一方的に斬り込むのと勘違いするものではありません。
 「この請流に非ず 此所筆に及ばず」については曽田本その1で紹介した「英信流居合目録秘訣外之物ノ大事雷電霞八相」に解説されていると思います。
そのポイントは「夢うつゝの如くの所よりひらりと勝事有其勝事無疵に勝と思ふべからず我身を先ず土壇となして後自然に勝有其の勝所は敵の拳也」敵の拳に勝つ事は無双直伝英信流では失伝してしまったようですが「身を土壇となして」は居合心、いや武術の心得の根本でしょう。

 河野先生は昭和8年の真向は昭和13年の「無雙直傳英信流居合道」でも機先を制するに拘ったままで先を取るばかりでした。大日本居合道図譜昭和17年1942年の真向では:要領は正坐抜打と同じ。之を省略す。:「正面に対座する敵の害意を認むるや直ちに其の真向より抜打にして勝の意なり。 腰を上げ乍ら刀刃を少し外向け右斜前にスット物打辺り迄抜き出す。右拳を上に上げつつ抜きとり剣先は下げ左肩を囲ふ様に把り(敵斬込むとも之を受流す心)にて上段になり真向に斬り下す」

 大森流居合之事抜打が出来て来ました、この業を英信流の真向に引き上げるには、敵が抜打ちに斬り込んで来るのを「身を土壇となして腰を伸し趾先を立て、刀を上に抜き(左肩を覆う様にして敵刀を摺り落し)上段となり、同体にて切る」大江先生の真向に昇華するものでしょう。恐らく筆には書き足りない部分があって当たり前ですが、やらねばならない事を怠れば、武術は形のみ出来ても術が決まらないものです。

|

« 曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書立膝ノ部9滝落 | トップページ | 曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英神龍居合術20の6居合術業書奥居合居業之部1霞 »

曾田本その2を読み解く」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書立膝ノ部9滝落 | トップページ | 曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英神龍居合術20の6居合術業書奥居合居業之部1霞 »