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2019年6月10日 (月)

曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書立膝ノ部3稲妻

曾田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の5居合術業書
立膝ノ部3.稲妻

 正面に立膝に座し、例に依りて抜きつゝ立上り左足を引きて高く抜き払ひ、(上段の甲手に斬込む)左膝を跪くと同時に双手上段に振冠りて斬込み、刀を右に開き血振し納め終る。

 河野先生の大阪八重垣会の教本として、第18代穂岐山波雄先生の教述を書き留めてまとめられたもので、昭和8年1933年に「無雙直傳英信流居合術全」として発行された手附の元となったスクラップです。従って手附の内容は指導された穂岐山先生の動作がほとんどと思われます。
 その後昭和13年1938年発行の無雙直傳英信流居合道によって手附の記述方法が河野先生の考えで変わっています。しかしその内容は殆ど同じと見ていいでしょう。
 この、スクラップの書き出し「正面に立膝に座し、例に依りて抜きつゝ・・」ですが例に依りは「気充つれば、左手を鯉口に取りて拇指にて鯉口を切り、右手を柄に掛けるや、腰を少し浮かし刀を抜きつゝ・・」となります。

 ここで、大江居合の「剣道手ほどき」大正7年1918年を居合術独習法を抜粋して見ます。「(我が体を正面に向け座す)・(前方7尺の處を凝視し)丹田に気充つるとき静に左手にて刀の鞘鯉口を握り右手は第二関節を折り拇指の股を柄の鍔元に入れ。五指を静かに握り肘を落とし右肩を稍斜前に出す。左手にて鞘を少しく後へ引き、右手を斜前に出し静に抜く。此時両足の趾先を立て上体を自然とあげ・・」

 河野スクラップと大江居合の独習法を読めばすぐ気が付く事ですが、ここには少しも対敵意識のない、道場若しくは演武場での形を整えるための心持ちばかりがうたわれています。
 形は出来ても是では柄に手を掛けるそぶりをしただけで我が首は飛んでいます。初心者の独習をいつまでやっても居合になりません。「正面に立膝に座す」という場取りでは無く、「互に向き合い立膝に座す」人と向き合い、相手の表情や語気、動作を察知する意識から改めなければ「何時如何なる変に応じる」など夢物語に過ぎません。当然でしょうが「丹田に気充つる」まで相手は待ってなどいてくれるわけもないでしょう。
 初心者の独習心得を40年、50年とやって来られた先生ばかりでは、人生における「思いもよらぬ事態」などに応じられる訳も無いでしょう、限られた居合同好の士との触れ合いでの狭い縦社会による序列を頼りの自己満足ではお粗末です。
 何の為に修行しているのかも、理解できない様では困ったものです。居合の動作ばかり出来ても、この時代に刀で人殺しをするなどあってはならない事です。それにもかかわらず毎日稽古する「何を目指すのか」自問自答する事も大切でしょう。

大江先生の剣道手ほどきによる長谷川流居合稲妻:「正面に座し、右足を少しく立てながら左足を後へ引き、両膝を浮めて稍左斜へ斬付け、姿勢の儘上段に取り其体より両膝を板の間に着けて切り落すなり、血拭ひ刀を納むるは1と同じ。抜付けは刀尖を高くするを宜とす。(敵の甲手及び頭上を斬る)

古伝神傳流秘書英信流居合之事稲妻:「左足を引き敵の切て懸る(拳 曽田メモ)を払ふて打込み後同前」 この手附は、状況を何も指定して居ません。どの様に運剣するかは、「敵の切て懸る」想定次第で幾通りもあるでしょう。此の業一つで多くの「変に応ずる」事が可能でしょう。古伝はおおらかです。

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