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2019年6月18日 (火)

曾田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英神龍居合術20の6居合術業書奥居合居業之部1霞

曾田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の6居合術業書
奥居合居業之部1霞

 正面に向ひ立膝に座し、気分充つれば左手にて鯉口を握り拇指にて鯉口を切り、右手を柄にかけ刀をぬきかけ腰を延び切ると同時に右足を踏出して抜き払い、「払ひたる手の止まらぬ間に」総体を進ませ乍ら甲手を返して左を払ひ、(最初敵の右首に抜きつけ刀寸の足らざる故に更に体を進ませて左首に切り返すの意)左膝を進ませると同時に双手上段に振り冠りて切り込み、刀を右に開きて血振ひ同時に左手を腰に取りて後鯉口を握り、刀を納めつゝ右足を引きよせ左踵の上に臀部を下して納め終りて立上り、直立の姿勢となりて次の業に移る。

 河野居合の特徴の一つは「・・気充つれば・・」、居合は武的踊りでしょうか。何時如何なる変に応じる修行中なのに、気など充つるまでに我が首は飛んでます。
 正座ノ部八重垣と此の霞ですが抜き付け不充分で霞では「最初敵の右首に抜きつけ刀寸の足らざる故に・・」と云っています。充分気が充ちているのに、間と間合いが読み切れていない、敵は死人でも人形でもないのですから刀寸が足りないのは敵が我より優れていて間を読み切られて、斬り込まれる寸前に外されたならいざ知らず、間の読み違いではないでしょうね。やはり正座之部「前」、立膝ノ部「横雲」是一本で居合は充分かも知れません。流派の極意は最初に習う一本目にありかも知れません。

 「払いたる手の止まらぬ間に」横一線に抜き付けたが敵に外され、其の手が止まらないうちに斬り返せと云うのです。たいていの人は横一線の抜き付けを横雲の様に決めてから手を返し体を進め切り返しています。ここでは「外された」と知るや「払いたる手の止まらぬ間に総体を進ませ乍ら甲手を返し」切り返すのです。
 22代は「間合い遠く不十分にして、対敵、後退せんとするに乗じて直ちに斬り返し」として「間合い足りたると思いたるに間合い足らざりしが故に」の気と云います。「止まらざる刀の運び」は池田聖昂先生著「無雙時遺伝英信流居合道解説第二巻」に詳しいのでご参照ください。

 大江先生の剣道手ほどきより奥居合霞(俗に撫斬と云ふ):正面に座して抜き付け、手を上に返して、左側面水平に刀を打ち返す、直に上段となりて前面を斬る。血拭ひはよく、刀は早く納める事。其刀身を鞘へ六分程早く入れ、残りは静に直ると共に納むるものとす、以下納めは之れと同じ。この文章では棒読みしてしまい、抜き付け・外され・止める・手を返す・打ち返すとやってしまいそうです。

  大江先生の兄弟子細川義昌系の梅本三男先生に依る「居合兵法無雙神伝英信流抜刀術」英信流奥居合之部向払:「(正面に座して居る者を斬る)正面に向ひ居合膝に座し、例により鯉口を切り右手を柄に掛け刀を抜きつつ両膝を立て、腰伸びきるなり右足踏込んで(対手の右側面へ)抜付けたるも剣先が届かぬため、右足より迅速に体を進めつつ、抜付けた刀が止らぬ中に直ぐ振返し、返す刀で(対手の左側面へ)斬付け左膝を進めつつ諸手上段に引冠り、更に右足踏込んで斬込み刀を開き納め終る。」
 
 河野先生の霞と同じような手附と思われます。但し河野先生は後の「大日本居合道図譜」によって斬り返しの部位を「返したる右手の止まらぬうちに上体を敵に付け入る心持にて少し屈め体を進め乍ら敵の脛に斬返す」とされ当初の「左首」を「脛」に変えてしまっています。上体を屈めて付け入れば低くなってしまうものです。当初の様に「総体を進ませ乍ら甲手を返し左を払ひ」であるべきでしょう。安易に動作を変えてしまい流された様に思います。寧ろ奥居合ですから抜き付けも返す部位も最も有効な部位であるべきで、形に固執してしまった江戸末期から現代の武術の欠陥でしょう。

 古伝神傳流秘書抜刀心持之事向払:「向へ抜付返す刀に手を返し又払ひて打込み勝」

 古伝は抜けだらけですが、大森流・英信流・棒術・詰合・大小詰・大小立詰・大剣取と進めて稽古して来た者にはこの手附で充分理解できます。抜刀心持は其れだけの内容を秘めているのでしょう。

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