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2019年7月 3日 (水)

曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合立業之部8門入

曽田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の5居合術業書
奥居合立業之部8門入

 正面に進みつつ、例に依りて鯉口をきり右手を柄に掛け右足を出し前に抜き左足を踏み出して右拳を後方に引き(刀身は水平にして刀尖は鯉口の近くに)右足を踏出し、同時に右拳を前方に突込み左足を中心として左に廻りつゝ諸手上段に冠りて右足を大きく後方に踏込みて切り下し、更に左廻り(左足を中心として)には正面に右足を踏込みて切り下し、納刀する事前に同じ(頭上に鴨居又は門等ありて、刀尖が閊へる場合に行ふ業)次下次号。

 下線の右足の踏み込みについて、曽田先生のメモ「足踏みは右足を出して突きたる儘左廻りに後方を斬り又右廻りに前方を斬る足踏みは変へざるなり」

 大江先生の剣道手ほどきより門入:「(進行中片手にて前を突き後を斬り前を斬る)右足を出したる時、刀を抜き、左足を出して、刀柄を握り、腰に当て刀峯を胸に当て、右足を出して、右手を上に返し、刀刃を左外方に向け、敵の胸部を突き、其足踏みのまゝ体を左へ振り向け、後へ向き、上段にて斬り、直に右へ廻り前面に向き上段にて斬る。

 曽田先生も大江先生も足踏みを変えずに前後を斬って居ますが、この業で得るべき心得は何も示されていません。門の想定を考えた時、斬り込む際上が閊える場合の斬り込みは棚下の様にすべきでしょう。棚下でも現代居合の様に棚下から抜け出して斬る様なおかしな想定では無く、棚下で斬る想定で稽古すべきものでしょう。足踏みを変えずに後ろを切り前を斬る。是では門から抜け出ていません。
 河野先生の足踏みでは、後の敵を斬る時は門の中心から抜け出ていますが、振りかえって前の敵を斬る時は門の中心に体軸はあるので斬り込みは後ろと同前とは言えません。

 河野先生の大日本居合道図譜の門入りの意義:「我門の出入りに際し、門の内外に多数の敵を受けたる時(前後に多敵を受けたる場合と同意)我れ門の真中に進み内外の敵を仆すの意なり」ですから、是は古伝の棚下での運剣を学ばなければ不覚を取りそうです。

 古伝神傳流秘書抜刀心持之事棚下:「大森流逆刀の如く立って上へ抜打込む時体をうつむき打込是は二階下様の上へ打込ぬ心持也」この教えは現代は棚下から抜け出る教えに変わってしまったので、上が閊える場所での運剣は稽古業には無くなってしまいました。

 門入は古伝神傳流秘書抜刀心持之事には業名および業書として存在しません。居合兵法極意秘訣の當流申伝之事に:「門戸出入之事夜中うたがわしき處にては先ず我が足より先へ出すべし、刀鞘共にぬきかけて我が首之上にかぶりて出入すべし三方のワザワイ止るなり、其上は時々自分自分のはたらき有るべし。」と有ります。
 又、英信流目録秘訣の上意之大事に門入の解説があります。:「戸口を出入するの心得也戸口の内に刀をふり上て待つを計り知るときは刀の下緒のはしを左の手に取刀を背負いてうつむきとどこおり無く走り込むべし、我が胴中に切かくるや否や脇指を以て抜つけに足をなぐべし。」

 これらの教えをミックスして門入と云う業を大江先生は独創したかも知れません。細川先生系統の梅本三男先生の居合兵法無雙神傳抜刀術にはそれらしき業は見当たりません。
 下村派第14代下村茂市から細川先生に業手附として伝わるものが無かったのでしょう。大江先生の独創された業であったと云うより、谷村派第18代穂岐山波雄先生の教えに門入の動作があったのでしょう。大江先生の教えと云えます。
 それにしても「門入」と云うのならば河野先生の(頭上に鴨居又は門等ありて、刀尖が閊へる場合に行ふ業)の動作が河野先生にも大江先生にも文章でその動作が見えないのは何故なのでしょう。既に棚下で刀が天井に当たるのを避けた運剣を稽古して来ています。
 河野先生の右足を踏出す足捌きは、状況次第で出しても出さなくても良いのでしょうが、大江先生の独創された業ならば更に独創するなと言えるでしょう。
 河野先生は、右足の踏み出しは大日本居合道図譜でもスクラップ同様に踏み込んでいます。刺突の刀刃の向きですが大江先生は「右手を上に返し、刀刃を左外方に向け、敵の胸部を突く」ですが、河野先生は、無雙直傳英信流居合道でも大日本居合道図譜でも「刃を外にして」ですから、右手を上に返さず、刃を右側外向きにされています。
 同様の突き業は立膝の部瀧落にあるのですが、大江先生の瀧落の突きは「胸に当てたる刀を右手を伸ばし刀は刃を右横に平として突き」あります。門入りは「刃を左外方に向け」しかも「右手を上に返し」です。手を上に返すと簡単にはたき落されてしまいますし、衝撃によって握りが外れる可能性は高いものです。手を下に向け、柄を右手上腕部下に納めるべきでしょう。

 

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