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2019年7月24日 (水)

曽田本その2を読み解く23スクラップ無雙直傳英信流居合術英信流居合形23の3業書1出合

曽田本その2を読み解く
23、スクラップ無雙直伝英信流居合術
英信流居合形
23の3業書
1、出合

 打太刀は柄に手を掛る。仕太刀も打太刀の如く柄に手を掛けて双方体を前方に少しく屈め、虎走りにて五尺の距離に出で、右足を出したる時膝の處にて打太刀は請け仕太刀は抜打にてを合はす、仕太刀は直ちに右足にて一歩摺り込み上段より真面に打込む、打太刀は左足より右足と追い足にて退き刀を左斜にして受ける、仕太刀は二歩退く打太刀は二歩出で中段の構となり残心を示す。是より互に後に五歩づゝ下り、元の位置に復し血振り刀を納む。

 大江先生の剣道手ほどきによる出合:「打太刀は柄に手を掛ける、仕太刀は打太刀の如く、柄に手を掛け、双方体を前方少しく屈め、虎走りにて五尺の距離に出て、右足を出したるとき、膝の處にて打は請、仕は抜打にてを合す、仕太刀は直ちに右足左足と一歩摺り込みて上段より真面に打ち込む、打太刀は左足より右足と追足にて退き、刀を左斜にして受ける、仕太刀は二歩退り、打太刀は二歩出て、中段の構となり、残心を示す、之れより互に後へ五歩づゝ下り元の位置に帰り血拭ひ刀を納む。

 河野先生の出合も大江先生の出合も概略変わらないのですが、気になる箇所は赤字の傍線部分でしょう。一つは、虎走りに間を詰める動作です。虎でもネコでも走る動作は水の流れる様な動きです。何処の道場でも前傾がきつく足をばたつかせ品など何処にも見いだせません。大江先生の独創によるのですが、歩兵を死地に追い立てる訓練を想い描いてしまい大江組太刀は何処かおかしいものと思われます。
 次に虎走りに間を詰め同時に斬り込むようですが、仕は抜打に打の膝に斬り込み。打は抜き請けに受けると読めます。
 河野先生はこの時双方刃を合わすのですが、大江先生は刀を合わすと大まかです。
 次の仕の打込で河野先生は抜打した右足前でしょう、その右足を一歩摺り込んで真面に打ち込んでいます。大江先生は右足左足と一歩摺り込んで真面に打ち込む。勝負あって「仕太刀は二歩退く打太刀は二歩出で中段の構となり残心」であれば、河野先生の仕の打ち込む際の「右足にて一歩摺り込み」はおかしい、大江先生の「右足左足と一歩摺り込み」も、足裁きとしては前進しずらい。

 河野先生の大日本居合道図譜の出合では:「互に間合ひに接するや、打太刀は仕太刀の脛に斬込むを仕太刀機先を制して同様に斬付け、膝の所にて刃を合わす。
註-右足を踏込むや腰を十分左に捻りて斬込む。打太刀は仕太刀に圧せられて後に退かんとするを、仕太刀すかさず之に乗じて、踏込みて其真向より敵刀諸共斬下して勝つ。
註‐打太刀は左足より追足にて一歩退き剣先を右に刃を上に柄を左に出し刀を水平に前額上に把る。註-仕太刀は左足を継足して諸手上段となるや右足を一歩摺り込みて打太刀の真向に斬り下す。・・・」と訂正されています。

 足捌きは、稽古の結果でしょう継足捌と決めたのでしょう。
 然しここでは、打が仕に圧せられて、仕の真向打込みを右足を左足に引付て上段になろうとする処、仕の打込みが早く左足を引いて刃を左に物打下に左手を添え刃を上向けて前額頭上に受けずに、刃を右に柄を左にして無理やり受けたのでしょう。何も考えずに師匠に言われたまま、英信流の人も、神伝流の人も真面目にやっています。
 仕に圧せられ、請け止められた刀を摺り上げられるにしろ、打ち返さんと上段に冠らんとするにしろ切先は左にある方が容易です。是も居合道形を演武会の見世物ならばそんな処でやっていればいいでしょう。打太刀は仕太刀に圧せられて下って勝口を得ようとするならば如何様に太刀を捌くか工夫する良い稽古業です。

 古伝神傳流秘書の太刀打ちの事一本目出合では:「相懸りにかゝり相手より下へ抜付るを抜合せ 留て打込相手請る右足なり」と是だけです。後は自分で考えろと云うのでしょう。
 
 古伝の出合の江戸末期の手附を曽田先生は業附口伝として実兄土居亀江の口述と田口先生(不明)から五藤正亮先生、谷村樵夫先生の教えを書かれています。
 古伝と略同じと云えますが、随所に古伝の心持ちと異なる心持ちが有るので、私は第九代林六太夫守政先生の手附とは思えません。江戸末期までに変わって来たか、曽田先生の独創もありそうです。
業付口伝太刀打之位(古伝は太刀打之事であり組太刀は仕組だったようです)一本目出合:「是は互に刀を鞘に納めて相懸りにてスカスカト行、場合にて右の足を出しさかさまに抜き合せ敵引く処を付込みて左足にてかむり右足にて討也、此の時敵一歩退き頭上にて十文字に請け止むる也、互に中段となり我二歩退き敵二歩進み更めて五歩ずつ退く也納刀」
 古伝の「相懸りにかゝり相手下より抜付けるを抜き合わせ 留めて」の心持が何処かへ行ってしまい、双方抜き合わせの相打ちになってしまっています。

 昭和17年1942年戦時中にもかかわらず、嶋専吉という人が土佐を訪れ第19代福井春政先生に太刀打之位を稽古をつけてもらった「無雙直傳英信流居合術形乾」という小冊子を残されています。
その出合:「帯刀のまゝ柄を把りつゝ相掛りにてスカスカと前進(「互に三歩前進」とせるもあり)間合にて右の足を踏出すと共に互に相手の右脚に斬付くる心にて剣尖を下方に抜き合はす。続いて打太刀退くところを仕太刀附け込み左足を右足に進めて振り冠り更に右足を一歩踏込みて上段より打太刀の面を打つ、このとき打太刀は一歩体を退き(右足を軽く退き更に左足を退き)仕太刀の刀を頭上にて剣尖を右方に十文字に請け止むるなり。次で互に中段となり静かに刀を合はせつゝ打太刀小幅に二歩前進、仕太刀二歩後退して中央の位置に就き更めて各五歩(退歩歩幅狭きため五歩となる)退き血振日の上、刀を鞘に納む。」
 足捌きも明瞭になりました。打の受け太刀は「剣尖を右方」とされています。河野流は第19代福井春政先生譲りかも知れません。 

 

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