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2019年7月 6日 (土)

曽田本その2を読み解く20スクラップ無雙直傳英信流居合術20の5居合術業書奥居合立業之部11暇乞

曽田本その2を読み解く
20、スクラップ無雙直傳英信流居合術
20の5居合術業書
奥居合立業之部11暇乞

 正面に向ひて正座し、両手を前につきてわづかに頭を下げ礼をなす間も無くうつむきたるまゝ両爪先を立て刀を抜き取り、左肩側に刀を突込む如く双手上段に振冠り真向に切り込み(膝を乗り出し)刀を開きて血振り刀を納めつゝ両踵の上に臀部を下し納め終る。

 大江先生の剣道手ほどきでは奥居合の19番目に当たります。:「(黙礼)正座し両手を膝上に置き黙礼し、右手柄に掛かるや刀を斜に抜き付け上段にて斬る。」

 第18代穂岐山先生直伝と言う野村條吉先生の無雙直傳英信流居合道能参考より19番暇乞其の1:「正座し、両手を膝の上に置き対手に黙礼、右手は柄左手は鞘の鍔際を握るや刀を前に抜き、直ちに上段にかぶり真向を斬る。同様にて血拭い納刀す。

 細川義昌系統の梅本三男先生による居合兵法無雙神伝抜刀術英信流奥居合之部20抜打:「(対座して居る者を斬る」正面に向ひ対座し、刀を鞘なり前腹へ抱へ込む様に横たへ両手を前につかへ頭を下げ礼をして俯きたるまま、両手引込め鯉口と柄へ執り急に腰を伸しつつ刀を右前へ引抜き刀尖を左後へ突込み、諸手上段に引冠りて斬込み、刀を開き納めつつ両足の踵上へ臀部を下すと共に納め終り、爪先立てたる足先きを伸し正座して終る。」
 この抜打には、その1、その2、その3の違いは述べられていません。
 細川先生の教えに依る抜打ちは大森流にも英信流にもあるのですが、奥居合のみ「刀を鞘なり前腹へ抱へ込む様に横たへ両手を前につかへ頭を下げ礼をして俯きたるまま」という如何にも暇乞風の礼が示されています。
 次の刀の抜き方で、「刀を右前へ引抜き刀尖を左後へ突込み、諸手上段に引冠りて斬込み」は大森流の抜打も英信流の抜打も同じです。

 古伝神傳流秘書の抜刀心持之事では「抜打上中下」と有るばかりで暇乞の表記はありません。曽田先生のメモ書きが「(暇乞三本)格の低き者に対する黙礼の時、等輩に対する礼の時、目上の者に対する礼の時」と何かある様な書き込みが付されています。
 基本的には大森流居合事にある抜打が元であると解されます:「坐して居る所を向より切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請流し打込み開いて納る尤も請流に非ず此所筆に及ばず」であり、英信流居合之事抜打は:「大森流の抜打に同じ事也」と括られています。

 抜打の抜刀で、刀を前に抜いて左後へ突込み諸手上段」の記述は古伝の相手に斬り込まれ請け流しに相手刀を摺り落して上段に冠る、身を土壇となす教えが失伝しているのでしょう。
 暇乞の業名から、暇乞いの際、不意に相手を突き倒し斬り付ける教えが英信流居合目録秘訣極意ノ大事に示されています:「暇乞 仕物抔を云付けられたる時抔其者の所へ行て四方山の咄抔をして其内に切べし隙これ無ときは我が刀を取て復近日と立さまに鐺を以て突き倒し其侭引ぬいて突也、又は亭主我を送て出るとき其隙間を見て鐺にて突たおして其侭引ぬいて突くべし」
 この暇乞の際の教えを、暇乞だから卑怯な不意打と安易に解釈してしまい、現代居合での奥居合の暇乞は正式な演武会などでは演じてはならないと云う、お触れがあるやに聴き及びます。
 現代版暇乞いは、古伝の抜打です、相手が挨拶の際切って掛るので相手刀を摺り落して諸手上段から斬り下す、最も居合らしい凄い業なのです。先ず古伝の大森流居合之事抜打を手附通りに十分稽古した上でその心持ちを理解した上で指示すべきだったものでしょう。最近の正座の部の抜打ちも、立膝の部の真向も、対敵より抜打ちに真向に打込まれるのを受けるや摺り落して打込む抜き打ちの極意が見られず、抜いて振り冠って打ち下す踊りの様です。

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