« 曽田本その2を読み解く26スクラップ小学校に於ける剣道教育の動向と其使命26の3 | トップページ | 第21・22回土佐の居合 古伝神傳流秘書による古伝研究の集い »

2019年8月26日 (月)

曽田本その2を読み解く26スクラップ小学校に於ける剣道教育の動向と其使命26の4

曽田本その2を読み解く
26、スクラップ小学校に於ける剣道教育の動向と其使命
高知市江ノ口小学校 上田蔵刑
26の4

 次に剣道の理想について申し上げたいと思ひます。人間が死に直面するとき程偉大な力を現し死より免れんとするものはありますまい。生死の分れるとき何人も全霊を傾注せざる者はないと思います。しかし生に執着を持ち死を逃れるときはやがてその結果は死を招くことゝなります生死を超越するところに生もなく死もなく自由無碍となるのであります一切の雑念を去って所謂醇午三昧の境地に入る即ち無念夢想の時に我知らず知らずの中に敵の隙に入り勝を得るにいたるのであります。敵を斃そう斬らうとするはこれを客気といひ敵に心を奪われ斬ることに心を奪はれ我が身に心を奪はるので剣道ではこれを止心といって最も悪い病とされているのであります。
 宇宙間の神羅万象これ、個々の差別の上にこそ相対するがその本体の上には萬法一如で渾然全一である。われを中心として彼を見るがゆえに愛憎好悪のこころが動いて寂然不動たることを得ないのであるが、われといふ考へを棄てゝしまへば主観の心は客観の象を共に相忘れて自他一如となって一点の曇りなき明鏡の物の来るに随ってその影をうつし去るに従って消ゆるが如く動くことが出来る。
 この心境を
 うつるとも月も思はず
      うつすとも水も思はず去沢の池
 といふ歌がありますが此の気持になるとき自然に敵に勝つのであります、何事によらずこの所まで達しますとそこには偉大なる精神力が発揮されます。
 彼の神上典膳が姜鬼を瓶諸共に一刀両断致しました話や屋島の合戦に那須与一宗高が扇の的を射落したなども皆この心境における精神力の現れでありませう。
 血なまぐさき戦場を馳駆し君のため身を捨て家を忘れたゞひたむきに突き進む勇壮果敢なる将兵の貴い忠勇行為もまたかかる境地において発揮されるものであります。私はここに剣道の価値の最大なる物を認めこれを剣道の理想と考へています。現在の剣道においてはかかる理想を求めて自己を反省しながら歩みつゞけ、全一無二の境地に入らんと努力精進の中に己といふ人格の統一が出来、そこに確乎不抜の精神と、腹のきまる人間が作られるばかりでなく気品とか沈着とか、礼儀とか、快活とかの社会人として諸徳が具はると思ふのであります。

 以下次号

 剣道の勝を得られるのは、「無念夢想の時に我知らず知らずの中に敵の隙に入り勝を得る」という教えの受け売りから、「血なまぐさき戦場馳駆し君のため身を捨て家を忘れたゞひたむきに突き進む勇壮果敢なる将兵」を求めるに当たり、それには剣道が最も相応しいものと決めつけています。但し小学生から教育するのが相応しい理由は見当たりません。
 「君のため身を捨てる」は君を生かすためには、一般人は身も家も捨てろと云うのですが、身も家も守るために身を土壇となす土佐の居合「無雙神傳英信流居合兵法」にはなりません。君とは、身も家もの象徴が君所謂天皇というのであればそれなりでしょうが、国家の存続のみに固執してしまえば、国民の平安な暮らしはどうでもよく、安易な専制君主であったり民族主義に洗脳教育が横行する原因ともなり安いものです。其の上特定の人間の利権のおもちゃにされてしまうものです。
 現代における剣道を学ぶ最も重要な心は、それがコミュニケーションの最終手段であり、己の信じた道を貫き通す為に、止むおえざる状況で発せられるべきものであって勝たなければ総てが無になるものなのです。そこで重要なのは「己の信じた道」なのですがこれが、権威によって思いもよらない権力を振るわれ、その手先によって歪曲されて更にねじ曲がってしまうのが問題なのでしょう。人類愛などをかざせば非国民であり反逆者の汚名迄着せられてしまう。何故、何の為に戦うのかの根本を置き去りに戦い勝つだけが表に出て多くの不幸を生み出してきたはずです。

|

« 曽田本その2を読み解く26スクラップ小学校に於ける剣道教育の動向と其使命26の3 | トップページ | 第21・22回土佐の居合 古伝神傳流秘書による古伝研究の集い »

曾田本その2を読み解く」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曽田本その2を読み解く26スクラップ小学校に於ける剣道教育の動向と其使命26の3 | トップページ | 第21・22回土佐の居合 古伝神傳流秘書による古伝研究の集い »