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2019年8月17日 (土)

曽田本その2を読み解く24スクラップ居合英信流の恩人林六太夫守政先生24の6中西岩樹の4

曽田本その2を読み解く
24、スクラップ居合英信流の恩人林六太夫先生
24の6居合術教士剣道錬士中西岩樹先生の4

 又或る時八軒町に火災アリ火焔其の邸宅に至らんとして挙家騒擾一方ならず家財雑具を外部に搬出す此の時先生は床上の畳を一枚宛小隅を取って投出し泉水一つ越して向ふの築山の下に堆く積上げたが目覚しい働きにて何か術が有って斯く為し得たであらふかと皆の人は驚嘆したといふ。
 又或る年君主の伴をして参勤交替の為藩船に乗り大阪の川口港に碇泊した、此處には折柄薩摩家の召船も碇泊していたが、其船中御料理方であらふ庖丁の名手が有って生魚を斬り之を竹の魚箸で挟み水中に下してすすぐこと実に妙見る人の目を駭した(おどろかした)、先生は傍の船にて之を見舷側に倚掛り同じく魚箸を取って磁盆を挟み波間に差下して雪ぐこと数回にして引上げた見る人感に堪えず彼の料理する人も己の業を恥ぢてやめたといふ。昔の御料理方は逆も手が利いていたさうで、之が試験には能く器に油を充たし其中に小判を落込み之を箸で取らせたといふが仲々出来る業ではない。又土佐の磁盆は肴や料理を入れる大鉢で深さは余り深くないが直径一尺位から二尺以上もある重い磁器で水中では手で持っても辷り落ち易いものである、それを箸で挟み水中で数回すゝいで引上げたとは余程手の利いていたものであらふ。
 又先生が事に熱心で何事にも其徹底を期せざれば歇(や)まなかったといふ一例に次の記録がある。偖又(さてまた)在江戸而諸国の士集合之時奥人某鉛子除之法を知ると称し一時数人鳥銃の口を揃へて対ひし事ありしに我此の法を行而放事不能終とて自負したるを満坐妄言なりと思惟大笑其人怒気甚敷公等予之言不信笑事不安今其術可見とて火縄に移火座中の人々に持たせ一々消而通りしに人眼不遮一時滅火人々初て驚失笑罪謝六太夫深感其術学欲後日其宅訪ふて懇乞需しかと先に笑はれしことを以て許容せざりしかは大に侮いて假令妄言なるも白笑フ事勿益無事也とて此事を證として子孫を戒めたりと云ふ。
 天性の器用に此の熱心ありたればこそ人に師たるの16を得ていられたのである。ー(終)ー

 林六太夫の逸話の意味は何なのかスクラップを写し乍ら何も際立ったものを持たないので、火事場の働きにしても、磁器を箸で挟んで洗われても是と云って、へそ曲がりの私は感動する事もありません。いざという時に力を発揮し、些細な事でも見過ごさず熱心に稽古して磨き上げれば器用さはより秀でる事はあり得るものでしょう。
 偖又(さてまた)で始まる逸話は読みずらい漢文調ですが、要はたとえ妄言であっても軽々しく人を笑いものにするような無益な事をしない様に子孫を戒めたと云うのでしょう。
 

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