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2019年8月28日 (水)

曽田本その2を読み解く27スクラップ居合術の実戦的価値と教育的価値27の上

曽田本その2を読み解く
27、スクラップ居合術の実戦的価値と教育的価値
居合術教士 西川倍水
27の上

 現今最も広く普及されている武道は何といっても剣道、柔道、弓道である、これ等代表的わが国武道と居合術を比較する時はその修行者の数においても雲泥の差がある、しかしこれが戦場における実用価値は遥かにこれ等を凌駕していることは今次事変に参加し実戦の体験者の異口同音とはなる所である。
 即ち居合術は日頃精神を打ち込んで自己の魂としている日本刀(軍隊に在りては軍刀)そのものを以て敵を前後左右に仮想してその場の敵に対し、攻撃する敵に対し退却する敵に対し平坦地は勿論屋内、塹壕内、掩蓋内等狭地に在りてもなほ且つ抜く手も見せず行ふを特徴とする技あるから、その精神においても確に優越して居るといふことは事実である。
 その斬撃の方法においても最も切れ味のよいといはれる引き切りである。即ち刀の中央部を先づ切らすとするものに切り込み刀尖四五寸の所において最大限の威力を発揮する如く手の内を活動させるのである。
 吾人が刀の斬れ味を知るために行ふ試し切りは皆この引き切りでやるのを見ても、切るためには必ず居合流でなければならぬことが判る。
 今次事変において何十人斬等といふやうな赫々たる武道を現はして居る者もあるが、皆居合流の切り方である私も江南戦線に於て実際に之を体得したのであるが抜きつけた場合の刀の高低、刃の方向右臂の力の入れ方左臂の捻り、切り込んだ場合の姿勢、態度等、古人の教への尊いことは今更ながら感服して居る次第である、以上の如くであるから、軍隊においても剣道を演練すると共に、居合術に依って自己の軍刀の斬れ味を知り我が腕前を試し、手の内の作用を会得し、常に自信力をつけて置くといふ事は、腰に刀を佩ぶ帯刀本分者の特に必要なことである。
 将来科学が如何に進歩しても、機械が如何に発達しても、最後の決戦は矢張り活きた人間戦即ち肉弾戦でなければならぬことは今次支那事変が雄弁に物語って居る所である。
 扨て居合術を教育的に考へて見たなれば次の如き価値がある。
 第一に身体的陶冶価値がある。居合を行ふ間において諸器官が鍛錬せられる、即ち身体各部を均斉に発達せしめ四肢の動作を機敏にして全身の健康が増進する。
 第二には知的陶冶価値があることである。形式的には感覚を鋭敏にし直観を正確ならしめ、観念を豊富にし注意を錬磨し記憶、想像、思考、判断等を鍛錬する、また内容的には幾多の知識を習得する。
 第三には道徳的陶冶価値のあることである、即ち忍耐、持久、快活、勇気、規律、節制、勤勉、剛毅、服従等の諸徳が涵養せられる。
 第四には技術的、芸術的陶冶価値のあることである、即ち感情を純化して精緻ならしめ美意識を養ひ創作性等を盛んにし幾多の技能を養ふことが出来る(写真は武装せる西川氏)

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以下次号

 実戦的価値については他の武道もそれなりに称えることが有ろうかと思いますが、真剣をもって稽古する事で得られる斬るという感覚は養われるであろうと思います。但し実戦で役に立つには仮想敵をどの様に認識して運剣するかが大切なのでしょう。
 赤字の部分は、現代居合ではすっぽ抜けて、むしろ斬る部位に浅く当てて押し込んでいく様な指導をして居たりしています。
 業の動作の順番を追っているばかりだったり、形ばかり追うのであれば、独りよがりや、意味の乏しい形に捉われてしまい何十年やっても武術として進歩する事は無さそうです。ゆっくり大きくやっていれば老人体操としては身体的には有効でしょう。
 第二、第三、第四については居合が特出している事とは言えない、何事でも芸事を極める限りは望めるものでしょう。
 

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