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2019年9月27日 (金)

曾田本その2を読み解く42大阪八重垣会幹事?剣道錬士河野稔氏との文通質疑42の3大森流流名に就て

曾田本その2を読み解く
42、大阪八重垣会幹事?剣道錬士河野稔氏との文通質疑
質問を受けたる事項次の如し
42の3大森流流名に就て

 其時代、始祖、どーも確信ある材料が無し
イ、林六太夫(9代の)剣の師匠大森六郎左衛門が真陰流の古流五本の形から案出して英信流に附属せしめた・・との説を根拠として(大森流は始祖大森六郎左衛門也)とする一説。

ロ、大森流は之れより以前英信より前にあったもので(然し年代始祖不明)大森六郎左衛門が始祖ではないとの一説。
 同氏の原稿には(福井先生の説を骨子とし)次の様に書いてある也
「当流の正座及び奥の立業は大森流と呼び正流第7代英信の以前より当流の正伝として代々伝来せられたる業にして立膝及び奥の居業は長谷川流と称し英信の創案に成く之れに形を加へ総称して無双直伝英信流と唱ふ」
 尚、太刀打之位、詰合之位、大小詰、大小立詰の四業に付て其の始祖及び年代ご教示を乞ふ。

 イの説が一般的ですが、別の説ロについては、聞いたこともそれらしき資料も知りません。河野先生の質問状には、福井先生の説と有りますので、この福井先生は第19代福井春政先生の事だろうと思います。福井先生は何処からその説を持って来たのかあれば楽しいでしょう。
 恐らくこの質疑は昭和10年以降のもので、第18代穂岐山先生が亡くなられた(昭和10年1935年)後に河野先生と曽田先生との交流が有ってからのものでしょう。現在までそれらしき資料の公開はされた事はありません。土佐の何方かが福井先生の残された資料をお持ちの方がおられれば良いのですが、この時代になっても土佐から門外不出でもないでしょう。
 私の使用する資料は古伝神傳流秘書は曽田先生の直筆写本と木村栄寿先生による細川家伝書に依ります。共に大江先生系統のものでは無く、一般に云う所の下村派系統の伝書です。第16代五藤正亮先生系統の谷村派の伝書が不明でせいぜい免許皆伝相当の根元之巻と目録程度のものばかりです。
 これらについて正しい答えは得られそうにはありませんが、古伝神傳流秘書によるところが良さそうです。南山大学の榎本鐘司先生の「北信濃における無雙直傳流の伝承について」の論文から「無双流和棒縄居合目録」により土佐の居合と業名が一致するものを拾うと以下の様です。
括弧内は土佐の古伝神傳流秘書による
 和:使者取(使者捕)・砂乱(五月雨)・弓返し(弓返し)・附入(附入)・左詰(右請)・抜捨(抜捨)・急天(胸点)・向面(向面)・猿猴(遠行)・鐺返し(鐺返) 
 立合の和:行連(行連)・夢相(夢想)・爪捕(裾取)・志けん(支剣)・車附(車附)・玉簾(玉簾)・打込(打込)・燕返し(燕返)・追捕(追捕)
 小具足:11本省略(11本)
 後立合:11本省略(11本)
 小具足割:11本省略(10本)
 大小詰:7本省略(8本)
 立合(詰):9本省略(大小立詰7本)
 大剣:13本省略(大剣取10本)
 棒目録:棒合(棒合)・腰車(腰車)・小手揚(小手上)・小手落(小手落)・見帰り(見返)
 居合向身:横雲(横雲)・稲妻(稲妻)
 居合右身:浮雲(浮雲)・山颪(山下風)
 居合左身:岩浪(岩浪)・鱗返(鱗返)
 居合後身:波返(波返)・瀧落(瀧落)

 この対比から土佐の居合は北信濃の無双直伝流と同じ流れを辿っていると思われます。それでは東北地方ではどうかと言えばニ三行き当たりそうに思えるのですが殆ど別物の様な業名です。北信濃の居合は土佐の居合で云えば大江流の立膝之部に相当しています。奥居合は「三角・四方切・▢乞・棚の下積」の目録にその雰囲気を感じますが不明です。居合は英信流そのものであって、大森流は土佐独特の居合で第9代林六太夫が大森六郎左衛門の居合を取り入れたとするのが自然かも知れません。

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