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2019年10月 2日 (水)

曾田本その2を読み解く44神道無念流居合44の2神道無念流(立居合12本)1本目

曾田本その2を読み解く
44、神道無念流居合
44の2神道無念流(立居合12本)
1本目

(意義)数歩前方にある敵が将に刀を抜かんとする機に先じ敵の右前肘を下方より切るも続いて敵前進し来るを以て後退して切り更らに敵の後退するを進んで切るのであって此の時敵の倒れたるものとす。

(動作)
第1、右足より前進し二歩目左足にて柄を握り三歩目右足を出すと同時に抜刀(此時左手で鞘を前方に出す気持を加へ後方に振り上げ上体を左斜めにして十字形をなし左足は右足につれ前方に送り左足先を右踵に接する如くする)敵の右前肘を下より切りあぐ。
第2、次に右手を左肩より振り冠り左手を添へ右足を一歩引き敵の正面を切る。
第3、更に右足一歩進め真向より正面を切る。
第4、納刀

 前進しつつ下より切り上げ、退きながら真向に切り下し、再び前進して真向に切り下す業です、中山博道先生の有信館でも稽古されていたのかどうか、そこでは立居合の初伝1本目は、堂本明彦編著による原著者は中山善道、稲村栄一による「中山博道剣道口述集」に依れば以下の様です。
 「自然体で左手を鯉口にかけ右手を柄につけて、左足右足で刀尖三寸まで抜き、一足大きく出て抜き付け即ち左から右に水平に切り払う(人に依って左斜下から右斜上に切り上げる細田謙蔵先輩の如き人も居るが、これは正式ではないので注意されたい)。
 左足を右足につけて左から振り上げ、右足を出し左手を柄につけて諸手真向を切りおろす。刀尖は地上一尺位のところで止める。次に体を左に向け霞の構えとなって左足を出し、出来るだけ水平に左から右に切り払う(これに就いても一本目は水平であるが、切り上げる事もあるので注意されたい)。」
 これでは、まず足運びが左右左で左から右へ水平の抜きつけ、踏み出した左足を右足に引き付けつつ左から上段に振り冠って、右足を出して諸手で真向に切り下ろす。更に体を左に向けて逆横霞に構えて左足を踏み込んで左から右に水平に切り払う。となりそうです。これでは曾田本とかけ離れてしまいそうです。
 
 口述集の初伝1本目は、「右左右で右片手で前面を左から右に水平に払い切り、左から刀を振り上げ右足を引いて諸手切り下げをなし、又右足を出して諸手切り下げをして、左霞をとって、左足を出して前面を斬り払って終る」
 此の方が一刀目は水平切りですが、二刀目、三刀目は曾田本に同じ動作になりそうです。四刀目はオマケです。神道無念流の切り上げが見たい、更に口述集の頁を繰ってみます。

 上伝の2本目、「左足を静かに出しながら右手で静かに三分の二位抜刀し、右足を大きく前に出すと共に右片手で左から右に切り上げる(この切り上げは斜切りと称する。後から又出てくるので覚えて置く事)左足を右足に揃え、刀を左から振り上げて、右回りしながら右足左足と送り込んで諸手切り下げをなし、其のままの体位で右霞をとって右足を踏み込み、右斜下から左斜上に切り上げて終る。」
 一刀目に切り上げが出て来たのですが、それ以降は別物です。曽田本の神道無念流の居合は有信館に伝わった居合では無さそうです。

 其の流派の業は、其の流派の中で当たり前とする、約束事例えば構や、動作の方法を知らない者にはその流の手附からだけでは演じられないものです。従ってその流の心持ちなど口伝に依ることなど他流では読み取ることは難しでしょう。従って連盟の制定した形をもって優劣をつけようとするのが現今の考え方と思います。是では500年も伝承されてきた流派の奥義の業と心を失念してしまい居合踊りになってしまいそうです。流派の免許皆伝より連盟の段位を優位に思っておられる居合人の何と多いことでしょう。
 堂本明彦氏の「中山博道有信館」平成5年1993年発行をめくりながら、博道先生の神道無念流を振り返って居る時こんな一文に出合ってしまいました。
 有信館の進級試験の後の懇親会の一席での事「当時の道場の気分はつまりはかくのごとくで、いまどきのように剣道の理念は人間形成であるなどとうたいあげ、それはたしかに結構な事だが、おかげで段位が人よりも上ならば人格もまた人より優れていると、いつのまにか思いこんでしまうようなおかしな風潮はまだはびこっておらず、その意味ではニセモノがいなかった。つけ焼き刃の浅薄な精神訓話を垂れてしたり顔する剣道家が巷に増え始めたのがいつ頃なのか、もっと調べてみないとわからない。」思いつくままに、余談です。

 全居連の刀法三本目切上げの元になった業は神道無念流にあるとされています。
切上げ:「剣理:敵が真向上段に抜き上げて仕懸けんとするを、我れ其の右腋つぼ(腋窩)に下から斬り上げ、直ちに双手上段から敵の左袈裟に斬りおろして勝つ意也」池田聖昂著全日本居合道刀法解説より。全日本居合道連盟全日本居合道刀法昭和31年1956年10月7日制定、昭和52年1979年5月1日配布の「切上げ」と同文。

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