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2019年11月 1日 (金)

曾田本その2を読み解く46行宗先生より中村虎猪氏に授与したる中傳書写46の5長谷川流居合術岩浪

曾田本その2を読み解く
46、行宗先生より中村虎猪氏に授与したる中傳書写
46の5長谷川流居合術
1、岩浪 敵にて左の方より我が胸を取んと両手を出す時我柄を左足の方へよぢて敵の胸乳の上へ切先上りに突込勝つ。

神傳流秘書:左へ振り向き左の足を引刀を抜左の手切先へ添へ右の膝の外より突く膝の内に引き後山下風に同じ。
大江居合:右に向き、左足を後へ引き、刀を体前に抜き直に左手にて刀尖を押へ、右膝頭の處へ着け、左足を右足に寄せ、体を正面に直し、左手と右手とを水平とし、右足を其儘一度踏み全体を上に伸し、直に体を落し、左膝を突き右手を差伸し、左手は刀尖を押へたる儘、伸ばして刀を斜め形として敵之胸を突き、右足を右へ充分引き変へ体を右向きとし、両手にて刀を横に引き、敵を引き倒し、その姿勢にて刀を振り右肩上にかざし、上段に取ると、同時に左足を後へ引き、右足を前にて踏み変へ正面に向いて上段より斬る。(左の敵の胸を突く)
細川居合:・・右手を柄に掛け腰を浮しつつ前へ俯き、左足を後へ退き刀を前へ引抜き、刀尖放れ際に左膝頭をつかへ刀尖の棟へ左手の拇指を示指で挟む様に添へ、右膝を左足に引き寄せつつ正面を向く、同時に(刃部を下へ向け刀尖を前柄は後水平に)刀を右膝横へ引付、右足を少し踏み出すと共に対敵の左横腹へ突込み、刀の腰へ左手の四指を添へ切先下へ柄頭を後上へ引上げつつ右足を右後へ退き(体は再び正面より右向きとなりつつ)対手を押倒し、左膝を跪き右足を向うへ踏出すと同時に刀尖を上より後へ振返し、双手を向うへ突き出し横一文字に構へ(視線は左正面の対手に注ぐ)左膝を右足に引き寄せ主面へ向きつつ右上段に振冠り、右足踏込んで斬り込み刀を開き納め終る。

 相手の仕掛けて来る様子が何処にも見い出せないまま相手を刺突している様です。いわゆる仮想敵は如何様でも良いのでしょう。そこへ行くと行宗居合は、敵が「我が胸を取らんと両手を出す時」に応じる前提です。河野先生の昭和13年1938年発行の無雙直傳英信流居合道の立膝の部岩浪の意義として「横列に座し居る場合、吾が左側に近接して座す敵の動向を察知し其の機先を制して、直ちに左に向きその右胸部を刺突して勝つの意なり」とされています。この文章から岩浪の敵の仕掛けは穂岐山先生からも指導されていなかった、業の動作だけが伝えられたとしか思えません。

 曾田本その2に「大阪八重垣会幹事?剣道錬士河野氏との文通質疑より質問を受けたる事項次の如し」という覚書があってその中に「居合は本来の目的よりして剣道の所謂先々の先にあらずして先又は後の先の一刀と信じますが、上意抜打ちは別とし(之とて上意と呼びてなすとする)一切敵を「ダマシ」打にする事は無之と信じますが、立膝の岩浪に於て左に向き右足トンと踏みたる時敵ハッと右に振りたる其の胸(又はのど)をさすと説くは丁度之にては「ダマシ」打ち之あり、本業の正しき解義を是▢御教示の程御願申上ます」と河野先生は曽田先生に手紙で質問されています。これに対して曽田先生は「解説、正面より我刀柄を取り押えんとするにより我先に廻り柄を右によじて刀を抜き敵を突く技にて決し「ダマシ打」にあらず、当突時足を「ドン」と踏むは突く刀勢を添ふるものなるにより(又一説には敵我刀を押えんとする其柄をふむ心持ありと)音をせずして突くもあること心懸くべし」と回答しています。(2019年9月29日ブログ掲載)

 曽田先生との文通で、河野先生は、敵が我が柄を取り押さえに来るのかと、目から鱗が落ちたでしょう。昭和17年1942年の大日本居合道図譜の立膝の部岩浪の意義は「我が左側の敵が我が柄を制せんとするを、其の機先を制して胸部を刺突して勝つの意なり」と明快にされています。しかしこれは河野先生の独創ではないかと言えるのですが、曽田先生の回答がそれを後押ししているのでしょう。曽田先生は行宗先生の弟子でした、行宗先生は敵が我が胸を取りに来るのでした。

 業の意義を追及していきますと、「敵が我が柄を取りに来るので、柄を取られない様に刀を抜き出し、敵がハッとして引き下がるに従って振り向いて胸部を刺突する」と尾ひれがついてきます。
 古伝神傳流秘書は「左へ振り向き左の足を引刀を抜左の手切先へ添へ右の膝の外より突」でした。敵の動向を察して、右足を軸に敵の方に振り向きながら刀を抜き出し左足を後方に引き抜刀するや左手を切先に添え右膝の外に付けて刺突体制をとって左膝を着くと同時に刺突しているのです。」

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