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2019年11月 5日 (火)

曾田本その2を読み解く46行宗先生より中村虎猪氏に授与したる中傳書写46の9曲尺及び奥書

曾田本その2を読み解く
46、行宗先生より中村虎猪氏に授与したる中傳書写
46の9曲尺及び奥書

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 凡そ居合術は曲尺を以て身体の所置手足の離合等を論ずるものなれば其宜しきに違(?)戻すべからず又た業を行ふ時も行なわさる時も常に身心を正しうすべし。

 居合術を学ぶ者の注意すべき点2、3を揚ぐれば左の如し。
1、人と対談する時。
1、多衆人の中に通路する時。
1、暗夜通路の時。
1、路の曲りを通行する時、

 古歌一首
劔とる道は数多に岐るれど
    敵の心を我が物とせよ

 右中傳今般貴殿に授与し広く斯道を伝授する事を許容するもの也
 明治39年秋8月27日
 大日本武徳会高知支部
 居合術講習係 行宗貞義
 中村虎猪殿

 中村虎猪への中傳の奥書になるのですが、、初めは抜き付けの絵が書き込まれ、抜き付けの正しい姿は右側の絵の様に、刀は正中線と平行に、切先は正面を向き、右手は正中線に45度となる形で、左側の様に切先が正中線上で止まるものではない。とするのです。一刀目の抜き付けで敵を制するもので、切り払えと云うことで右に流れたり、途中で止まる様では不可という事でしょう。
 この体勢に依るもので、身体の所置手足の形による離合の良し悪しを論じて、行うもので安易に流れるべきではない。またいかなる時も身心は正しくあるべきである。
 文章表現からこの様に読み解いてみましたが、異論もあって然るべきものでしょう。

 左の図は現代では全剣連居合の制定居合一本目前、或いは夢想神傳流の初発刀の形になるでしょう。是を否定しています。
 無双直伝英信流は左の図の上体が45度左へ開いて切先を正中線に並行させると右拳関節が延びた延手になるので好ましくありません。此処は上体を正面に正対させるべきでしょう。 
 その場合、刀は正中線に並行にしてしまうと切先は敵の正中線から人身幅程斬り抜くことになります。是では切先は敵の左肩の垂直線上から外れ過ぎです。一考を要する処でしょう。切手で抜付ければ、上体を正態させていれば切先は敵の方の垂直線上に納まる筈です。

 居合を学ぶ者の注意すべき点は2、3が4項目になっています。人と対談する時、大勢の人の中を通過する時、暗夜の通路、道の曲がり角を通る時、と並べています。この場所で何を注意すべきかは述べられていません。一般的に想像する、議論の食い違い、人を敬うべき態度、危険や危害を加えられやすい場所の用心。

 古歌は剣術を修業する道は多岐に渡るものであるが、敵の心を我が物として稽古せよと云うのでしょう。
 この中傳以降の免許は、中村虎猪しが授与されたものは見当たりません。中傳の目録授与という事ですが、目録に手附けが附随しているのは珍しいものでしょう。
 明治39年は西暦1906年ですから今から113年前のものです。奥書の行宗貞義先生の肩書きには無双直伝英信流とはされずに、大日本武徳会の肩書きです。何を意味するものなのか不明ですが、行宗先生は下村茂市の門人だったとされています。下村茂市より根元之巻もその他伝書の授与は受けていなかったろうと思われます。従って現職の大日本武徳会高知支部居合術講習係とされたのかも知れません。
 この、行宗先生に依る中村虎猪への中傳は、河野先生の「無雙直傳英信流居合兵法叢書」には掲載されています。

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