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2019年11月18日 (月)

曾田本その2を読み解く50神道無念流居合幾つか50の1本目

曾田本その2を読み解く
50、神道無念流居合幾つか
50の1
1本目

太田龍峰著中山博道校閲「居合読本」神道無念流(立居合12本)1本目:
意義 
若干歩前方にある敵が将に刀を抜かんとする機に先ち敵の右前肘を下方より切るも続いて敵前進し来るを以って後退して切り更に敵の後退するを進んで切るのであって此際敵は倒れたとするのである。
動作
第1、右足より前進し二歩目(左足の地についた時)右手の拇指を下方よりその他の指を上方より鍔元近く刀柄を握り右足(三歩目)を出すと同時に右手を以って刀を抜き(此時左手で鞘を前方に出す気持ちを加へ後方に振り上げ上体を左斜にして十字形をなし左足は右足につれ前方に送り概ね左足尖を右踵に接する如くあらしむ)敵の右前肘を下方より切り上ぐ。
第2右手で刀を左肩の方向に大円を描き右拳を頭上にして振り上ぐると同時に左手で柄頭を握り右足を一歩後退して敵の正面を切る。
第3両手で刀を大きく頭上に振り上げ右足を一歩進出して再び敵の正面を切る(此際、左足は右足につれて前方み送る)。
第4刀を収む

曾田本その2神道無念流(立居合12本)1本目:
意義
数歩前方にある敵が将に刀を抜んとする機に先ち敵の右前肘を下方より切るも続いて敵前進し来るを以て後退して切り更に敵の後退するを進んで切るのであって此の時敵は倒れたものとす。
第1、右足より前進し二歩目左足にて柄を握り三歩目右足を出すと同時に抜刀。(此時左手で鞘を前方に出す気持を加へ後方に振り上げ上体を左斜にして十字形をなし左足は右足につれ前方に送り左足先を右踵に接する如くする)敵の右前肘を下より切り上ぐ。
第2、次に右手を左肩より振り冠り左手を添へ右足を一歩引き敵の正面を切る。
第3、更に右足一歩進め真向より正面を切る
第4納刀

 居合読本と曾田本の異なる表現の仕方を赤字で上げて見ました。これで見ると動作に大きな違をもたらす表現は見られません。曽田本は総じて省略気味でむしろ「抜け」が出てしまっている様です。居合を知らない人ではどちらも動作に至れなかもしれません。
第1の「十字形をなし」の形はどのような形に成ればいいのか見当がつきません。刀と我が体が十文字形になるのかな、など悩みっぱなしで答えは出て来ません。 
第2の曾田本の表現は土佐の居合の表現でしょう。是で通じますが居合読本の「右手で刀を左肩の方向に大円を描き右拳を頭上にして振り上ぐると同時に左手で柄頭を握り」が曾田本しの2では「右手を左肩より振り冠り左手を添え」です。
第3では、曽田本は再び上段に振り冠る動作を表現せずに「更に右足一歩進め真向より正面を切る」す。「真向より正面を切る」はどの様に考えて書いたのか頭を捻っています。
 曾田本その2の神道無念流立居合と居合読本の神道無念流立居合の礼式(敬礼)などの前回の処で曽田先生は居合読本を書き写したのだろうと思うと言っていながら、「あれ」、別の手附を書き写したのかと思える様な表現の仕方です。実はそうだったと云う資料がどこかから出て来ればそれはそれで誤りは正すべきでしょう。然し今の処表現は土佐の居合の表現に少し直されているだけで「居合読本」が参考資料だったであろうとしか言えない状況です。
 土佐藩の範士も参勤交代などで江戸へ出るなり、江戸詰の範士も居たでしょうから、其の際江戸で神道無念流の道場に通った人も居るでしょう。何処かに何かあってもおかしくありません。
続けて、大村藩無念流立居合業手付と戸賀崎無念流立居合業手付と曾田本その2神道無念流立居合を稽古して行きます。

木村高士著長州藩相伝神道無念流から大村藩無念流立居合業手付
1本目 前敵 右足より三歩進み、右足が床につくと同時に、敵の右前肘を下方より刀に反りをうたせながら抜付け切上げる。
右足を左足に引き揃えて刀を上段に冠り(ー右足を左足の後に引いて左上段に構える・・長州藩)諸手で真向に打込む。
右足を一歩踏み出して水月まで切り下す。
晴眼に構えて右足を左足に引き揃えながら刀を左肩にとる。・・につき省略。

 「刀に反りをうたせながら抜付け切り上げる」この表現は意味不明です。というより他流の者には理解できないだけかもしれません。恐らくは刀の刃を下に返して抜付ける切上げの刃の返しを指すのでしょう。敵の右前肘は、上段から振り下さんとする右前肘なのか、刀を抜かんとする右前肘なのかこの手附では判断不能です。どの様な状況であっても下から切上げればいいのでしょう。
 次に「右足を左足に揃えて上段に冠り諸手で真向に打込む」其の際両足は揃えたままというのはおかしいので、表現されて居なくとも左足か右足を引いて、敵の攻め込んで来る間合いを保ちながら切り下す事になる筈です。その際敵が真向から打ち込まれて、後方に下がるとすれば右足か左足を踏み込んで水月迄切り下すのでしょう。そうであれば右足を引いて真向へ打込み、左前足に右足を踏み揃えて上段に振り冠り右足を踏み込んで水月迄切り下す。此の足捌きは敵との間に依るでしょうから、追い足捌きか、歩み足か、などこの手附ではおおらかに稽古する事になります。

戸賀崎無念流立居合業手付
1本目 三歩進んで間に入るや「」と、右手を水平にして前敵に抜付ける抜付けたとき、刀は水平にして切先は眼の高さ、刀刃は斜左に向く。左手は鞘を放して、後方水平になるまで腕と指も伸ばす。
 右足から二歩退しながら、刀は左から上段に冠り、真甲に「」と打込む。
 左足を引き、右足を左足に引き揃えたとき、その場に飛上り両足を床に踏んで音をさせ、刀は諸手で握り、肱を頭上一杯にのばし、刀は垂直に、刃は前方に向け天(剣)上段に構える。右、左足を進めて逆足となり、真甲正面に「矢」と打込む。
 右足を左足に揃え、左足を右足の後に引いて正眼に構える。右足を進めて霞に一歩攻め入る。

 戸賀崎氏は、戸賀崎熊太郎暉芳延享元年1744年武州埼玉郡清久村生まれ、16歳で江戸に出て神道無念流福井嘉平の門を叩き21歳の時免許皆伝を伝授されている。
 「矢」「当」の掛声と飛び上がる動作が独特の様です。
 右足を踏み込んで「矢」と掛声を上げ、右手を水平に前敵の何処に抜き付けるのか手付には無いのですが、刀は水平切先は眼の高さ、刀刃は左斜めに向ける。恐らく敵の右コメカミ或いは上段に構えた右肘に抜き付けるのでしょう。刀刃は左斜めに向く訳は無いので切先は左斜めに向けると解釈しました。
 敵が怯まずに前に攻めて来るので、右足を引き付け上段に冠り右足を後方に引くや敵の真向に「当」と打込む。
 左足を右足の後方に引き、右足を踏み揃えるや、刀を振り上げてその場で飛上がりドンと音を立てて飛び降り、刀は垂直に切先を天に向け刃を前に向けて、右足左足と踏込み、左足前の逆足で真甲正面の敵に「矢」と打込む。
 右足を左足に踏み揃え、左足を後方に踏み替え正眼、右足を進めて霞に構えて攻め入る様に残心、納刀。
 この手付もややこしい足捌きですから、厄介です。
 飛び上がるのはどのような意味があるのか、然もドンと音を立てて飛び降りるわけです。水平抜付けして敵に攻め込まれて退きながら真向に打込んだ、敵はそれでも攻めてこようとする意識が感じられ、後方に退いてその場で飛び上がってドンと音高く飛び降りる事で、敵は思いもしない奇妙な行動に、圧せられて退く所を攻め込んで打ち込む、とやって見ました。 
 

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