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2019年11月26日 (火)

曾田本その2を読み解く50神道無念流居合幾つか50の9本目

曾田本その2を読み解く
50、神道無念流居合幾つか
50の9本目

太田龍峰著中山博道校閲「居合読本」より神道無念流(立居合12本)9本目
意義
敵の刀を抜かんとする前肘を切るも(第1本に同じ)敵之れを脱し我胴を切り来るに対し変化して切り倒す動作である。
動作
第1、第1本、第1動に同じ。
 「右足より前進し二歩目(左足の地についた時)右手の拇指を下方より其他の指を上方より鍔元近く刀柄を握り右足(三歩目)を出すと同時に右手を以って刀を抜き(此時左手で鞘を前方に出す気持ちを加へ後方に振り上げ上体を左斜にして十字形をなし左足は右足につれ前方に送り概ね左足尖を右踵に接する如くあらしむ)敵の右前肘を下方より切り上ぐ」。
第2、刀を頭上に被りつゝ右足より二歩後退し、刀の鎬ぎを以って敵、刀を下方に圧し、敵の我が胴を切り来るを防ぐ如く刀を体の右前下方に持ち来る(此時右足は左足に着く如く引き寄せる)。
第3、刀を其状態の儘少しく上げつゝ僅に前進す、此際左足は右足につく如く送り込む(敵を襲ふ気持なり)。
第4、切り返しをなす(第2本、第4動に同じ)
 「両手で刀刃を上方にし刀刃を以て敵の刀を払ひ流し(此際刀尖は其位置を変ずることなく左拳を刀尖より稍々上ぐ)同時に左手を中心にして刀を右肩の方面に転回しつゝ左足を左前に踏み開き右足を左足の後方にひき敵の右肩より左斜下方に切り下ぐ」。
第5、刀を収む。

曾田本その2神道無念流(立居合12本)9本目
意義
敵の抜かんとする前肘を切るも(1本目に同じ)敵之れを弛し我が胴を切り来るに対し体を変えし切り倒す。
動作
第1、1本目第1動に同じ
 「右足より前進し二歩目左足より柄を握り三歩目右足を出すと同時に抜刀(此時左手で鞘を前方に出す気持を加へ後方に振り上げ上体を左斜にして十字形をなし左足は右足につれ前方に送り左足先を右踵に接する如くする)敵の右前肘を下より切り上ぐ」。
第2、上段のまゝ右足より二歩退き次に鎬を以って敵刀を下方に押へ、敵我胴を切り来るを防ぐ如く刀を体の右前下方に持ち来る此の時右足を左足に引き付くる。
第3、次に青眼に直りつゝ少し前進す此の時左足は右足につく如く送り敵を襲う気持なり。
第4、次に切り返しをなす2本目第4動に同じ。
 「両手で刀刃を上にし刀刃を以て敵の刀を払流し(此の時刀尖は其儘位置にて左拳を刀尖より稍上ぐ)同時に左手を中心に右肩より冠りつゝ左足を左前に踏み右足を左足の後に引き敵之右肩より八相に切下ぐ」。
第5、次に納刀。

居合読本と曾田本では少々文言がことなる処が有りますが、ほぼ同じと見ていいでしょう。曽田先生も何故文言を変えたのか、或いは居合読本以外の資料によったのか疑問です。
 些細な文言の違いとは言え第3動で居合読本は「刀を其状態の儘少しく上げつゝ僅かに前進す」。曾田本は「青眼に直りつゝ少し前進す」。敵が我が胴に斬りこんで来るのを、裏鎬で右前下方に押さえ(圧し)た後の動作ですが、此処は敵が後退するならば曾田本の青眼は成り立つでしょうが、居合読本の方が良さそうです。神道無念流立居合は相手の状況は細部にわたって書かれて居ませんから此処は仮想敵の動きは自分で想像して第3動から第4動に繋いでいくのでしょう。

木村高士著長州藩相伝神道無念流より大村藩無念流立居合業手付9本目
 三歩進んで前方に抜刀。(ー1本目のように敵の右肘に切上げる・・長州藩相伝)敵が胴に打ち込んで来るので、僅かに左足を引き、続いて右、左と大きくこうたいして、右腰脇で刀の裏鎬をもって敵刀を払い落す。素早く晴眼で一歩攻める。再び打込んで来る敵刀を切返して右肩へ打込む・血振い、納刀は前に同じ。

 大村藩神道無念流立居合は敵と我との攻防が読めますが、「三歩進んで前方に抜刀」ではどうしていいか分からない。
 1本目は「敵の右肘を下方より刀に反りをうたせながら抜付け切上げる」。
 2本目は「三歩進んで、左足を僅かに引き上段に冠る。右、左足と二歩後退して真向に打込む」。
 3本目は「右足より三歩進み、右足が床についたとき左回り後方に向き、同時に抜刀し、右足を踏み出して上段から真向に打込む」。
 4本目は「三歩進んで後敵に目を注ぎ、右片手で刀を低く抜き、刃を上にして左上膊部に支え後敵を刺突す」。
 5本目は「三歩進んで左足を軸に右に向き、右足を一歩踏み出すと共に頭上に抜刀し、右敵の正面に打込む」。
 6本目は「三歩進んで右足の出たところで抜刀し、右足を軸に左に向き、左足を右足の後に引き、上段から左敵の正面に打込む」。
 7本目は「三歩進んで抜刀、右足を軸に左足を右足の後に引き右に向き、真向より右敵の正面に打込む」。
 8本目は「その場において右足を踏み出し、諸手で横一文字に抜付ける。
 9本目は「三歩進んで前方に抜刀。敵が胴に打込んで来るので、僅かに左足を引き、続いて右、左足と大きく後退して右腰脇で刀の裏鎬追をもって敵刀を払い落す」。
 居合と言えるか、抜いてから構えて切るのでは疑問を感じてしまいます、がこれも文章表現の仕方によると思えばそうかもしれません。然し9本目などは長州藩相伝は「前方の敵に下方から抜付ける、前敵は身を転じて我が胴を打って来るので、右足から二歩後退しながら左回りに刀を上段に冠り、敵の刀を刃をもって右前下に打ち払う」。と明快に居合抜から始まっています。

木村高士著「長州藩相伝神道無念流」より戸賀崎無念流立居合業手付
 前の如く刀を頭上に抜く。右、左足と後に引き、諸手で柄を握り、切先を左から小さく上に回して刃を前に向け敵刀を抑える。このとき、体重は後左足にかけ、切先は膝の高さとなる。右足を進め「当」と霞み、左斜前に変って「鋭」と切返す。正眼に攻める。納刀。

 戸賀崎居合も大村藩と同様です。鞘の内からの抜打を居合と思い込んでいる無双直伝英信流では之は居合ではないと思ってしまいます。恐らく元は居合としての抜打が稽古されて来たのでしょうが、抜打によって敵を一刀のもとに倒していない事からこの様な抜いてしまってからの動作にポイントがずれて行ったのかも知れません。其の辺のことは神道無念流にどっぷりつかって考えなければならないかもしれません。

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